今後「感染症と世界金融危機の時はひどかったけど、政府の対応は素晴らしかったね。」と過去の歴史を良いように改ざんして合理化しないように、今までの経緯をしっかりまとめておく必要性を感じました。
社会では騒動が終わると「勝ってよかった。すべて行動は正しかった。」と合理化され、誤った行動も歴史に埋葬され、日常回帰します。
「認識」と「記憶」だけが個人の実体感として残そうとするのです。
フランスのアルベール・カミュは著書「ペスト」の中でそう書いていました。
伝染病・感染症が流行ったあとに、歴史は「全て正しかった」と合理化していこうとするのです。
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伝染病の不条理で人の心は丸裸にされる~カミュのペストに学ぶ~
東京を大空襲したのも正しかった。
原爆を落として終戦したのも正しかった。
海外の戦争に参加したのも正しかった。
増税したのも正しかった。
大震災が起こった時の対応も正しかった。
と、すべてを「正しい」と修正していきます。
これは人が前向きに生きる上で大切なことです。
しかし問題があります。
「正しい」と「合っている」を取り違えているということです。
「正しい」と「合っている」は別
「正しい」と「合っている」かは別です。
例えば、歴史の問題で、
「1939年から世界で起こった戦争はなんですか」
「第二次世界大戦!」
「正解です。第二次世界大戦は正しいですか?」
「正しい!」
と言う「正解、合っている」と「正しい」を混同して間違えているケースがよくあります。
「そんなバカなこと」と思う人がいるかもしれませんが、「自分が正解で合っていたから、それは正しい。」と混同している人は意外といるのです。
「なぜ正しいと思いますか?」と聞くと「私が正解したから!合っていたから!」というトンチンカンなことになっています。
「最初の入力、先入観が更新されない」という症状です。
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危機的な状況の時ほど判断を誤る!認知バイアスに注意せよ!
歴史も同じように、「合っている」「正しい」の混同の下に埋葬されていきます。
これに対応するには「起こった事実」を坦々と記録する必要があります。
例えば、2020年2月からの世界でのコ口ナ騒動での日本政府の対応を思い返しましょう。
厚生労働省が頑張ったという大ウソ
この時、様々なデマが流れました。
中でもひどかったのは「厚生労働省は正しく頑張っている」というものです。
新型コ口ナウイルスの騒動が、各国メディアで大々的に報じられるようになったのは2月3日頃から。
横浜港大黒埠頭のダイヤモンド・プリンセス号というクルーズ船の乗客の集団感染時からです。
この頃、私も厚生労働省の水際対策で「きっとクルーズ船も感染専門医や感染管理看護師のインフェクションコントロールドクタークラスが厚労省経由で対応しているもの」と思っていました。
しかし岩田健太郎医師が突入して「ひどい感染対策をしている」という告発動画がありました。これに対して「厚生労働省の匿名専門家」が「問題ない」と言だしました。
政府も日本国民も「官僚の匿名の専門家を信じる」という意味不明な事態が起こりました。一部おかしさに気付いた人たちは「???」となりました。
結局、岩田医師の言う通り、厚労省職員を無防備のまま突撃させたり帰宅させたりと「ひどい感染対策」だったとあとから分かりました。
厚生労働省は「事なかれ主義」で「事態を隠すこと」を頑張っていたのです。
その後に連日寝ずの残業で頑張ったでしょうが、それは事態を隠すことに頑張ったのであって、正しい頑張りではありませんでした。
「野党が自民党(与党)の邪魔をしているからうまくいかなかった」という大ウソ
同時に2月下旬にドイツ銀行の破綻ニュース、コ口ナショック、オイルショックのトリプルショックの経済が襲いました。
リーマンショック級以上の世界的な金融危機が起こりました。
アメリカを中心とした他の先進国では「非常事態宣言」が出され、ロックダウン(都市封鎖)しました。
国の中央銀行が量的緩和でドルを刷り、給付金をバラまき、減税し、倒産する前に企業を補助金や助成金で救済しようとしていました。
金融危機が起こった場合は、政治思想も右も左も関係なく「緩和、減税、給付」が経済の基礎中の基礎です。
2020年3月初旬~中旬、日本政府は何をしていたかと言うと「オリンピックは完全な形で行われる」と感染対策ではなくオリンピックの開催する前提で話を進めていました。
まだ2020年3月の段階で安倍内閣の日本政府は「緊急事態宣言(非常事態宣言)」も出されず「給付金」も「減税」の話も全く出ていません。
むしろ野党が「オリンピックの中止を!」「早く緩和と給付金と減税を!」と言い続けていました。しかし自民党(与党)はそれに反対し続けていました。
(増税福祉国家を推す共産党さえも減税を言い出していたのは本当にびっくりしました。)
ネット上でも熱心なネット右翼(自民党崇拝者)が「今は増税!給付金もなしでいい!オリンピックやって!野党に負けるな!」と応援していました。
心の底から、日本民族を愛する心さえなく、頭が悪いなぁと感じました。
与党はオリンピックで集団感染を拡大させてしまうという不安をよそに、「オリンピックは開催する」と言い続けていました。
3月の下旬まで「来年に延期する」なんて一言も言っていません。「開催する」と言い続けていました。
明らかに与党の対応が遅れたせいで採算が取れなくなり倒産・破綻する中小企業が出てきて、日本の感染者も増えていきました。
むしろ自民党(与党)こそが、日本国民の経済の邪魔をしてひっ迫させる反日的な行動をしていました。
給付金を配らず、布マスク2枚を配るという非合理的な行動
4月上旬、俗に言うアベノマスクという超激安で感染防御のないマスクを世帯に2枚配布することが決まりました。
布マスクは感染防御できない
マスクを配るなら別にいいのでは・・?
と私は最初は思いましたが、これが感染防御できない「布マスク」だったので、医師会を中心に現場で必死に感染症と戦っている医療従事者を激怒させました。
「花粉でさえ布マスクを抜けるのに、それより小さいウイルスが布マスクで防御できるわけがないだろ」と。
最低でも不織布マスクのサージカルマスクでなくては感染防御できません。意味がないのです。
わざと多額の予算をつけて激安布マスク、差額を利権団体にプレゼント
しかも激安な布マスク2枚。5500万世帯程度に配布するのに90億円程度で済むはず。
しかし税金予算に466億円という膨大なお金がかけられ、案の定、その差額は闇に消えました。
40億円程度の郵送料さえ日本郵政株式会社に120億円、その他の差額はマスク制作ノウハウのない安倍政権とコネのある商社に送られました。
それを差し引いても250億円の大口顧客は闇に消えました。
日本人の税金は、誰かの胸のポケットに入ったのです。
かつてマイナンバー通知でやった「40億円程度の郵送料だけど、100億円の予算をつける。差額はボーナスでプレゼント。」という手口と同じです。
アベノマスクこと布マスクが感染防御がないことは厚生労働省も実は分かっていて「限りなく安価な布マスクを売って、差額を給料にもらう」というビジネスに協力したのです。
布マスク配布のおかげでマスクが余って価格が下がったという大ウソ
とどのつまりは、アベノマスクこと布マスクは2020年5月中旬時点でもまだ日本全世帯に配布されていません。
配られてさえいないのに5月上旬頃から「布マスクが配布されたおかげでマスクが余った!価格が下がった!」という大ウソのデマまで出てくる始末。
マスクが余剰したのは、4月中旬から大企業も含めその他繊維系の企業が一斉にマスクを製造し始めたために余剰したのです。
マスクの製造年日を見れば分かります。4月です。
まだ布マスクが配布さえされていないのです(5月中旬現在)
参考
なぜ日本政府の配布はマスク2枚だったのか?
厚生労働省・保健所の感染患者の対応に激怒する医師たち
なぜ布マスクを刑務所で作るのか?
「布マスク=ウイルス感染防御できない」は医学の国家試験の必修レベルの基礎中の基礎知識
アベノマスク布マスク2枚配布の闇が深すぎた件
やっと絞り出せた一律給付10万円
2020年4月に入り、先進国の中では2ヶ月も遅れて日本で緊急事態宣言が出されました。
助成金や融資と称して、
日本政策金融公庫の有利子有担保のコロナ特別融資金のカードローンのほうがマシなプランや、
減収50%以上した200万円以下の一世帯30万円配るという「誰が当てはまるんだこれ?」と言いたくなる超限定的な給付金のプランが出てきました。
どちらも日本政府は全く国民の不景気の状況が分かっていないことがよく分かりました。
ほどなく日本政策金融公庫は無理し無担保になり、30万円給付は世帯に対して一律10万円給付に変わりました。
自民党の若手議員からさえも「10万円の一律給付を」という声が上がり、やっと実現したのです。
これも最初から野党が言い続けていたことです。与党(自民党)はずっと反対し続けていました。
なぜかこうなると与党(自民党)を支持する人たちは、
「いいぞ!安倍政権!いいぞ!緊急事態宣言!給付金!反対する野党許さん!」
「(あれ?あなた方、つい先月まで緊急事態宣言も給付金も大反対してませんでしたっけ?)」
という一瞬で手のひらを返すという、相手にするのも馬鹿らしくなるほど面白い行動をしていました。
2020年5月現在、はっきり言って3ヶ月分の経済クラッシュを10万円で済ませられる状態にはありません。
毎月連続して行う必要があります。
そもそも減税して消費税をゼロ%にすれば、配らなくても経済も回って景気回復するのでそちらの方が良いです。
まとめ
このように2020年のコ口ナ騒動でさえ、
終わると
「勝ってよかった。すべて行動は正しかった。」
「感染症と世界金融危機の時はひどかったけど、政府の対応は素晴らしかったね。」となってしまうかもしれませんが、
実際にはここまで間違ったことが起きていたのです。
「合っていた」「正しかった」と歴史修正主義で解釈するのではなく、一つひとつの行動を事実としてみて反省して、「繰り返さないように気をつけよう」とすることが大切です。