家族内で認知症を介護しているとイライラしますね。私は祖父、祖母、父の3人の要介護の障害者を10代から介護してきました。

その中で気づいた原因はこの大きく3つです。
・何度も同じことを繰り返す(学習しない)
・自分のお金や時間が奪われる
・厄介事に巻き込まれる

この3つがイライラする原因。つまりこれが起こらないように事前に対応すれば良いのです。

もっとも大切なのは「環境を整えること」です。


前提として

この記事は「要介護認定」が出ているという前提で書きます。

まずこれを読んでいる方で、

介護される側の人が「要介護認定」をされていない場合、必ず役場の福祉課に行くことを最優先してください。

役場の公的サービスの利用なしに家で介護するのは、水もなしに火事の中に突っ込むようなものです。

「認知症かな?」と思ったら「役場で健康診断があるらしい」と口実を作っても良いので、
病院の脳神経内科や物忘れ外来で検査を受けに行きましょう。

病院で何らかの病気の診断を受け、それから要介護認定をしてもらいます。

この前提の先で書きます。

介護用ベッドを置く在宅環境

介護用ベッドは「トイレが最も近い部屋」に置くことがベストです。

正直、介護とは「いかに介護する人が楽をするか」という視点で在宅環境を考えることが重要です。

介護をしていると、介護されている側は段々とわがままで傲慢になっていきます。

自分に余裕のない人は、相手にも福祉介護を与えることは出来ません。

「介護される張本人ができるだけ自分一人で何とかできるように環境を整えること」が最も大切です。

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段差はなくすこと

高齢者で最も怖いのは転倒です。いとも簡単に骨が折れてしまいます。

骨が折れるということは歩けなくなる、介護する手間が増えるということです。

そのリスクを避けるために、段差をなくすこと(バリアフリー)は必須です。

段差のスロープです。
ほとんどの場合3.0か3.5cmになると思います。(要確認)

シンエイテクノ 段差解消スロープ タッチスロープ68 TS68-30 幅68cm/段差3.0cm用

介護イス

病院や介護施設で使われているイスです。
角がなく、軽くてがっしりと安定しているので使いやすいです。

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4点杖です。通常の杖よりもバランスを取ってくれるので安定します。

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カレンダーと時計は部屋に置くこと

認知症は5W1Hを忘れます。いつ、誰、どこ、何、どのように。
これらを見当識障害と呼びます。

なのでカレンダーや時計はいらないのでは?

と思うかもしれませんが、軽度の認知症のうちからカレンダーや時計がないと時間を知るすべがないので余計に悪化します。

日付、曜日、時間は分かるような環境にしましょう。

これがないと
・何度も同じことを繰り返す(学習しない)
という行動が出て、何度も何度も日付、曜日、時間を聞きに来るようになります。

そして記憶できずに忘れ、また聞きに来るようになるので、介護者が徒労してしまいます。

デジタルのカレンダー時計にしよう

デジタルのカレンダー時計にしましょう。ポイントは「曜日」まで日本語で分かるようにすることです。
多くのデジタルのカレンダー時計は日付と時間しか分かりません。
すると「今日は何曜日?」と何度も聞きに来られる事態となるからです。

紙のカレンダーや日めくりにすると、本人がそもそも日付や曜日や時間が分かっていないので、直しようがないのです。

間違ったままズレていきます。電波時計で統一したほうが良いのです。


しかし「先の予定」は絶対に教えないこと

しかし家族内なら「先の予定」は絶対に教えないほうが良いです。

これは意地悪で言っているわけではないです。

前提として日付や曜日を忘れるので「先の予定」を教えてしまうと、毎日が「その日」になってしまい本人がパニックします。

そのパニックに介護者も巻き込まれて誰も得をしません。

例えば、「買い物」へ行く日が木曜日だとしましょう。
すると毎日が「木曜日」になります。
今が月曜日でも、その瞬間から「はい、行きましょう!」と言ってきたり、「木曜日ね」と念を押しても翌日の早朝4時から「今日が買い物!早く!」と言い出して起こしに来ます。

他にも「入学式」「卒業式」「結婚式」「お葬式」などのイベントも教えないほうが良いです。

毎日が入学式になります。
そして認知症の悲観的なうつ傾向と合わさって「いかにして入学式を不幸にさせて中止させるか」「いかにして結婚式を不幸にさせて中止させるか」という思考を巡らすようになります。

具体的には、不幸な妄想が広がって「入学式は危険だ!交通事故に合う!」と本人に電話をかけてしまったり、「結婚式の相手は危ない!」と新婦に迷惑千万な電話をかけてしまったりします。

なので私は家族には当日の3~4時間前にイベントを伝えるようにしていました。

もちろん病院や施設では「先の予定は教えるのは当然」です。
このような家族への巻き込み行動は病院内や施設内では達成不可能、あるいは抑止されるからです。

しかし在宅で家族介護しているのであれば家族の負担を鑑(かんが)みれば、教えないほうが双方に得策です。

連絡してしまいそうな人には事前に連絡しておくこと

私の祖母の場合、
他人のイベントを中止させようとするどころか、
勝手に「玄関に大量に人が押し寄せる!」という妄想を見て業者に玄関工事の発注をしたり、
早朝から「親戚の〇〇さんが倒れた!」という妄想を観て親戚中に電話をかけたりもしました。

しかしいろいろ他人を巻き込んでしまうとは言え、祖母と親しい人もいるので、電話まで取り上げてしまうわけにはいきません。

私の認知症の祖母への対応として、
祖母が連絡してしまう人には「うちの家族の〇〇から連絡が来たら申し訳ないですが認知症なので真に受けないように」と事前に連絡を入れておきました。


迷惑電話にはどう対応するか

それでも悪徳セールスや勧誘の迷惑電話まで認知症の人は受けてしまいます。

基本的には電話の機能で「184(いやよ)禁止機能」で、相手が匿名の場合は自動で切断する機能をつけました。
これはNTT等の契約の電話サービス会社でオプションで取り付けられます。

また親しい人だけは画面に名前が出るようにナンバーポータルディスプレイの機能もつけました。

「非通知の場合は名前が表示されないので出ない」ということで対応できます。

電気はLEDにすること

日付が分からないのでカレンダーをめくることが分からない。なので電波時計にすると前述しました。
消耗品をコントロールできなくなるからです。

同じ理由で電気も白熱電球ならLEDにしましょう。

通常の蛍光灯だと消耗して暗くなってきます。

すると本人が不安になるばかりか「電気が切れた!」ということを口実にまた操作をするようになります。

部屋が6畳ならアイリスオーヤマのシーリングライトがリモコンが単純で高齢者にも扱いやすいです。

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部屋が10畳程度なら日立のLEDシーリングライトにしましょう。これはエアコンのように自動で操作してくれます。

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自動で電気を点灯・消灯してくれる電気が素晴らしい


ガス栓は切ってお湯は常備しておくこと

私が最も困ったのは火の元でした。

祖母の認知症でも、炊飯器でスリッパを温めたり、座布団をコンロにかけたりと、小火(ぼや)を何度も起こしました。

IHなら問題ないかもしれませんが、ガスコンロだったので当然、ガス栓などの火の元は切ることになりました。

代わりに留守中に場合は、弁当を用意し、お湯はサーモスの保温ポットに準備しました。

サーモスの1.5L~2Lのものがおすすめです。これにお湯を事前に入れて常備しておきます。夕方まで保温されます。

足らない場合はティファール(電気で即席でお湯を沸かすポット)を用意しました。

ティファール

IHクッキングヒーターも用意しましたが祖母は使い方が分からず結局使われませんでした。
ただいざというときにないよりは良かったです。

IHクッキングヒーター

最後に

私は医療従事者ですが病院では患者さんに対してイライラすることはないです。

なぜかというと他人だからです。(冷たい言い方ですが)


もちろん親身になって確実な技量を尽くします。

家族のみにイライラしてしまうのは「愛していたがゆえの家族」だからです。

あなたがイライラしてしまうのは親や配偶者や子どもなど「相手のことをよく知っているから」です。

家というのはあなたがリラックスするための空間です。

それを同居者に脅(おびや)かされるのでイライラします。

なのであなたの心に余裕を持つことが第一です。

そのために「環境を整えて」「自動化」して、あなたの労力を最小限にすることが大切です。

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