成熟徴候の観察

成熟徴候の観察として皮下脂肪が弾力性に富み、よく発育し、皮膚の表面に張があり、しわがなく、皮下の血管が透けて見えない、四肢を屈曲位におき、活発に動かし、元気よく啼泣すること。

胎脂は皮膚の屈曲部のみに残り、毳毛は背部に一部残るのみ。吸啜反射、嚥下運動も良好であること。

出生後28日未満の乳児 を対象とし、早期新生児期(出生後1週未満)と後期新生児期(7日から28日未満)で観察する。

観察項目

(備考:観察項目)

吸啜反射:出生時より
胎便:出生直後-3日頃
生理的黄疸:出生後2-3日に出現。出生後4-6日にピーク   ←  出生時~出生後24時間内の黄疸は病的
生理的体重減少:出生後3-4日で最大。
臍帯の脱落:出生後5-7日

静脈管:閉鎖
動脈管:閉鎖
卵円孔:閉鎖
胸腺:心臓に比して大きい→右第1弓の突出が認められる。

・尿量
尿量:1-2ml/kg/hr-

・免疫
細胞性免疫>液性免疫
在胎26-33週に移行した母体のIgGによる受動免疫で感染から防御している。
出生後5ヶ月で消失

・血液
Ht:50-55%:生後細胞外液の喪失に伴い上昇、8日で生後の値にもどり、3ヶ月に最も低くなる。
Hb:17-19g/dL
白血球:9,000-30,000/mm3
血小板:10-28万/mm3 (SPE.74)

・身体所見
身体の大きさ
前後径、肩幅:11cm
大横径、小斜径、殿幅:9cm
体重:3300g
頭囲:33cm
胸囲:33cm

・正常なバイタルサイン
心拍数:120
呼吸数:40~50

・呼吸器

腹式呼吸
呼吸数:40-50/分 (早産児ではこれより早く、5-10秒の呼吸停止を挟む呼吸)
聴診:呼吸音は胸壁が薄いためよく聴取され、高調である。


経過観察できる所見

新生児中毒性紅斑
蒙古斑
産瘤、頭血腫
眼球結膜出血
上皮真珠腫
乳房肥大
臍ヘルニア
生理的範囲内の心雑音
性器出血(新生児月経)
陰嚢水腫
サーモンパッチ
啼泣時の口唇チアノーゼ←生後3日後に見られるようでは異常と考える
出生直後の頻呼吸(60/分)、軽度アシデミア(pH7.23は許容できる)

出生体重による分類

高出生体重児
巨大児:4000g以上
超巨大児:4500g以上
正出生体重児:2500g以上、4000g未満
低出生体重児:2500g未満
極低出生体重児:1500g未満
超低出生体重児:1000g未満


成熟新生児の身体所見

・頭部
大泉門は開存(4x4cm)しており、小泉門は小さい
産瘤(経腟分娩による場合)
頭頂部方向に長く変形(児が後頭位であって、経腟分娩により出生した典型的な場合)
骨重積(産瘤、頭部変形、骨重積は2日程度で戻る)(経腟分娩による場合)
頭髪の長さは2cm前後
耳介の巻き込み
面疱は鼻に限局

・体幹
うぶ毛は背中、肩甲部に限局   ←  未成熟の場合、うぶ毛は多い
皮膚は厚く、血管は透けない

・四肢
足底にしわを認める←未成熟の場合、しわは少ない
四肢に浮腫を認めない
関節屈曲部に胎脂が残る

・姿勢
上下肢は屈曲位をとる
ホルモンの影響
乳房組織を触れる
新生児と疾患
在胎週数と疾患

・早産時に多い
呼吸窮迫症候群 RDS
動脈管閉鎖の遷延
(極低出生体重児)脳室内出血
高ビリルビン血症に対する病的感受性が高い。未熟な血管脳関門をビリルビンが透過しやすい

・正産児~過期産児
胎便吸引症候群 MAS
新生児遷延性肺高血圧症 (重篤な分娩外傷の場合)硬膜下出血、クモ膜下出血