リファーなしにカウンセリングをする危険性

心理学・精神医学

「いろいろな人から相談を受けるので相談屋になろう」「悩み相談カウンセラーになろう」と考えていませんか?

ここでは「有資格者以外の人」がカウンセリングをするまでの最低限の準備を書きます。

基本は
・守秘義務は徹底する
・評価しない、啓発しない
・リファー先を必ず作る

の3つです。

※もちろん認定心理士・臨床心理士・公認心理師・精神保健福祉士その他、医療従事者、産業カウンセラーや社会福祉士等の有資格者の人は「知っていて当然」のこととします。

相談できる人が増えることは良いこと

まず大前提ですが、たくさん相談できる相手が増えることは良いことです。

悩みは一人で背負い込むことが大きな問題です。
その負担を整理して軽くするのがカウンセリングの役割です。

本来、信頼できる家族や友達が多い人は、意識しなくても愚痴を言える相談相手がいるので悩む人の気持は想像できません。
「なんでわざわざカウンセラーの専門の相談相手がいるの?」と疑問に思うほどでしょう。
それは健康な証拠です。
例えるなら、
医師が常に家にいるので「なんでわざわざ病院行くの?」というの同じです。病気になって病院へ行く人の気持ちは分かりません。
家に消防車があるので「なんでわざわざ火事で消防車呼ぶの?」というのと同じです。火事で消防車を呼ぶ人の気持ちは分かりません。

全体数を見れば相談できる人は減っているので、できるだけ相談に乗られるような人になってください。

なので相談を受けることに消極的にならないでください。

相談が拡大してきたら気をつけること

自分の身内や仲間でやっているうちは良いです。

しかしそれがそれ以外の人脈まで拡大した時に最低限、気をつけることがあります。

それは
・守秘義務は徹底する
・評価しない、啓発しない
・リファー先を必ず作る

守秘義務は徹底する

当たり前ですが、相談者(クライエント)から得られた情報を他で漏らしてはいけません。

自分一人で墓場まで持っていくつもりになってください。

評価しない、啓発しない

これも当たり前ですが、相談者の評価や啓発をしないことです。

「カウンセラーになりたい」という人に限って「この私が啓発してやる!助言してやる!」とお節介な上から目線で、自分の考えを押し付けたいだけの人も多いです。

カウンセリングは、相手に共感しながら寄り添うことです。
例えるなら、自転車であなた自身が補助輪となって動くことではありません。
相談者(クライエント)が補助輪なしで、無自覚に一人で動き出せるようになることが本望です。
(※1)

リファーなしにカウンセリングするのはやめよう

リファーとは「専門の(医療や社会)機関につなぐこと」です。

私はこれを忘れているカウンセラーが多いと感じます。

理由は、
・そもそも精神病はカウンセリングだけでは治らないから。
・問題がその人だけではなく、家族や社会まで派生するから。
・相談者自身も相談指導を受ける必要があるから。(スーパーバイズ)

です。

私はこれが必須だと感じます。なので少し厳し目に書きます。

そもそも精神病はカウンセリングだけでは治らない

例えば、精神病には神経症段階、人格障害段階、精神病段階の3つの段階があります。

神経症圏であればコミュニケーションが可能なので簡単なカウンセリングで改善が見込まれるかもしれませんが、
人格障害以上になると、薬との薬物療法とのワンセットの治療になります。
「心」以上に、物理的に「脳」の治療の範囲になるからです。

人格障害段階以上の人を相談だけのカウンセリングで治療することは無理だと科学的に分かっています。

人格障害以上の精神圏はカウンセリングでは対応できません。

うつ病や、統合失調症や、境界性人格障害や、自己愛性人格障害などはカウンセリングだけでは治療できません。

重度の精神病の方はこんな感じ

例えば、精神病と聞いてどこまで想像できているでしょうか?

本当の精神病の方に接したことのない人や、身内の悩み相談だけをしている人は「重度の精神病」と聞いて、「頭を抱えてすごく悩んでいる人」を想像するかもしれません。

そんな単純なものではありません。

とても重度の精神病の方は、ベッド上で、体が動けなくて、歩行も困難で、発語がなくて、点滴をしていて、食事や薬も食べさせてもらい、服も着替えさせてもらい、排便も難しいのでオムツをしていて、目も虚ろな要介護の状態です。自傷行為や暴れだす可能性もあるので身体拘束されている場合もあります。
そもそもコミュニケーションをすることすら困難です。
話せたとしても、妄想と虚言で、事実ではない話に振り回されることにもなります。

厳しい言い方ですが、
こんな方に対して「相談してどうにかなる」「カウンセリングしてどうにかなる」「啓発すればどうにかなる」と思うのはあまりに軽率です。

点滴、注射、薬物療法、食事療法、十分な看護介護ケアが必要になります。
カウンセラーだけでは絶対に無理です。

無理だからこそ、医療機関と必ず連携しましょう。

問題がその人だけではなく家族や社会まで派生するから

必ず悩みの問題は、相談者のクライエントの会社の人事部、産業医、上司、同僚、家族にも派生していきます。

精神病が深刻であるほど、パワハラや虐待などの絡む家庭的・社会的な問題に落ち込んでいるからです。

その問題に単独でダイレクトに繋がることは極めて危険です。

必ず専門機関を通してフォローしていきましょう。それがリファーです。

リファー医療機関(医療的な社会資源)とは、
・精神科の専門病院
・総合病院の精神科
・心療内科・メンタルクリニック
・訪問看護ステーション

です。連携・連絡先として必須です。

他に

・保健所
・精神保健福祉センター
・市町村
・警察署
・相談支援事務所
・地域包括支援センター
・社会福祉協議会
・児童相談所

・発達障害支援センター
・母子生活支援施設
・家庭裁判所
・特別支援学校
・特別養護老人ホーム、老人保健施設
・障害者支援施設
・知的障害者支援施設

・就労移行支援
・就労継続支援(A型、B型)
・自立訓練(生活訓練)

・障害者就業・生活支援センター
・公共職業安定所(ハローワーク)

・居宅介護(ホームヘルプ)
・行動援護
・短期入所(ショートステイ)

・自助グループ

・精神障害者保健福祉手帳
・療育手帳
・身体障害者手帳
・要介護度
・自立支援医療
・障害年金
・生活保護
・日常生活自立支援事業

これだけのリファーが、相談事業をする時に連携していることは最低限です。

特に医療的な社会資源とは必ずコネクションしてください。

もし上記の各施設の意味や、どういう場所か制度なのかが一つでも分からないのであれば、調べてください。

すべての社会福祉サービスを知らない状態でカウンセリング業務はしないでください。

相談者自身も相談指導を受ける必要があるから

これも専門職の間では基本ですが、カウンセラーにはスーパーバイザーという人がいます。

初心の心理職に対し、ベテランの精神科医や有資格者の心理職の人が指導する立場の人のことです。

初心といっても自分が年配だったら、スーパーバイザーが必要なくなるということはありません。

常に自身にもカウンセリングしてもらう「スーパーバイザー」は必ず必要になります。

一人でカウンセリングしていると、必ず先入観や固定概念ができてしまいます。
また自身も守秘義務から悩んでしまうことがあります。
なのでカンファレンスできる同じ職種が必須なのです。

以上のように「有資格者以外の人」がカウンセリングをするまでの最低限の準備としてのリファーの重要性を書きました。

・守秘義務は徹底する
・評価しない、啓発しない
・リファー先を必ず作る

・そもそも精神病はカウンセリングだけでは治らないから。
・問題がその人だけではなく、家族や社会まで派生するから。
・相談者自身も相談指導を受ける必要があるから。(スーパーバイズ)

身内から不特定多数に相談カウンセリングを行う場合、これらのことは最低限覚えておいてください。

(※1)
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