社会人になって無資格(ノーライセンス)だと自分が何者か忘れ、いつ会社に解雇されるか、解雇されたところで再就職先があるかと悩みながら勤めている人は多いです。

私が学生時代だった10代の頃に小売店でアルバイトしていました。そのとき30代の店長に「僕の歳に戻ったら何やってますか?」と聞いたことがありました。
店長は「もっと勉強していれば・・」と言っていました。
この勉強とは義務教育でやる国語や算数のことではありません。社会で技術(スキル)として役立つ「資格の勉強」です。
小売店だと何のスキルもつかないので代えが効きます。というか日本の仕事の8割方は代えが効く仕事です。
仮にも私は旧帝大の国立大学で研究していたので、国立大学を出ても生涯バイト暮らしをしている、大手企業系列で働いてもあまりの過労と昇給出世のなさで数年で辞めるという現状を知っていました。
なので研究しながら看護師の資格にチャレンジしようと決意しました。
またそれ以上に、私の場合、以下のような理由が重複的にありました。

過去記事
研究者から経営者へ、経営者から看護師に。

では社会人から看護師になる具体的な方法を裏ワザも含めて書きます。

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看護師になる方法

看護師になる(正看護師の資格を取る)ためには、
1、4年制大学の医学部や看護学部看護学科へ入学して受験資格を得る方法
2、3年制の短期大学や専門学校へ入学して受験資格を得る方法
3、中学卒業後、高校から大学相当までの5年制の看護教育過程のある高校へ進学して受験資格を得る方法
4、大きな市にある准看護学校へ入学して2年間で准看護師になり10年間現場で働いて正看護師試験を受ける方法
の大きく4つあります。

の方法があります。

社会人の場合、1、2、4が現実的です。

社会人からの大学医学部・看護学部は借金が増えるだけ。センター勉強も時間の無駄。

ただ1の場合、大学へ行った経験のない方でキャンパスライフを知りたいと言うのであれば良いと思いますが、国語、数学、理科、社会、英語その他というセンター試験を受けて受験することになります。
正直、五教科七科目の義務教育の知識と看護師に必要な知識は全く異なると感じます。「いや・・でも私は義務教育での学校成績は悪くて・・」と思う人も多いかも知れません。

確かに看護学校では生化学や生理学で理科の知識は必要になります。
しかし看護入学後にカバーできる範囲です。
逆を言えば、五教科から勉強し直すのは無意味です。
その隙があるのなら後々看護師の勉強(医療の勉強)したほうがいいと思えるくらい時間の無駄です。

まして国立大学を目指すならまだしも、私立大学を目指すならカネがかかって借金が増えるだけです。


准看護師はやめておきなさい

4もおすすめしません。
准看護師とは正看護師の下位資格です。栄養士と管理栄養士、作業療法士と理学療法士のようなものです。

大きな市には市と医師会が設置した准看護学校という2年過程の学校があります。
准看護師入学して准看護師になり10年間現場で働いて正看護師試験を受ける方法があります。

10年現場で働くという道が長すぎることもありますが、それ以前に今はもう厚生労働省が准看護師という古い資格をなくしていこうとしており、何より「求人にありません」。
准看護師では病院へ就職もできないのです。

確かに藁をもすがる思いで、夜間や半日日課などで働きながら安価に通うには良いかもしれませんが、ほとんどの授業の割合を占める「実習」においては夜間や半日なんてことはありません。
朝から夕方までがっつりやるので、大学や短大専門学校と結局大した違いはありません。

そこまでの苦労をして得るのなら、最初から短大専門学校へ向かったほうがいいのです。

動ける場所、拠点を決めること

よって方法は
2の3年制の短期大学や専門学校へ入学して受験資格を得る方法が現実的です。

さて短期大学や専門学校にも、県の運営する公立や個人の運営する私立があります。

私の場合、通える範囲すべての看護学校を受験しました。

理想として、
1、学校に近い場所に住むこと
2、できれば実家が望ましい

です。

なぜこうするのが良いかと言うと看護学校での「実習や勉強に耐えられない」からです。

看護学校での勉強は膨大な量になります。特にテスト前は時間が惜しいほどです。
実習では、実習自体は時間内なのですが、その後の膨大な記録で睡眠時間さえなくなります。
車で遠い場所だと確実に居眠り運転で事故ります。
私は車で一時間の場所から通っていたのでテストや実習時のみビジネスホテルから通っていました。

過労で倒れるので、食事や休息の環境が整えられている実家が理想的です。
安全基地と言って、安心して衣食住できる拠点となる場所が必要です。

一人暮らしもいいですが、それなら友達が必須です。
愚痴を言い合える仲間がいないとストレスで根底の気力さえ奪われてしまうからです。


病院の経営する看護学校を狙え!

3年制の短期大学や専門学校にも、県の運営する公立や個人の運営する私立があると書きました。

私は通える範囲のすべての学校を受験しました。
教科は国語、数学、英語など3教科であることが多いです。

結果から言えば、旧帝大の国立大学にいた私でも社会人入試(当時20代半ば)で短期大学も専門学校もガンガン落ちました。
偏差値40前後の学校でさえも5校ほど落ちました。

テストの点数が低かったわけではありません。社会人の定員枠が少なすぎるのです。
定員40名のところに多くて社会人5名ほど。

特に県の運営する県の専門学校なんてひどいもので数人の枠に20人以上の社会人が受験していました。
県の運営だと学費が安いからです。
県の専門学校は願書の時点で「どこの病院の、何医師の紹介できたのか?」と書く欄があり、「コネコネかよ・・」と人を平等にさえ見ていないゲスさに信頼を失いました。
公立の専門学校は「最初から社会人なんて取る気がない」ので選択肢から外しておいたほうがいいです。
まして私のような大卒者で社会人経験者だといくらテストの点数が良くても、それ以上に中卒や高卒者で「勉強をやり直したい、社会で生き残りたい」という反骨精神の強い人を優先したいはずです。

そして医専などの専門学校もカネを集めたいだけで病院との連携ができておらず、講師を外部から寄せ集めて「実習は自分で探してください」という環境的に劣悪なものになっています。

必ず病院との連携のある看護学校を狙いましょう。

病院との連携とは、学校のすぐ近くに医療法人の病院が隣接している学校のことです。

病院のお礼奉公で学費をタダ同然にする裏ワザ

最初に考えるのは学費。経済的な問題のはずです。

私立の短期大学・専門学校だと入学料、授業料、実習費等々で、年間130~180万円は確実です。

それを3年間なので600万円ほどは必要になります。

しかし病院の経営している看護学校であれば、「看護師国家試験を取った後その病院で働く」という俗に言う「お礼奉公」を入学後に事前に契約すれば、学費は免除あるいは一部免除になります。

これは看護学校入学後に、実は直営の病院でなくても他の病院でも「~の学校出たらそちらで働くので」と言えば、場所によっては可能です。お金をくれます。

看護師だけでなく、医学部の医師もこの方法を利用している人は多いです。

これに加えて独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)で奨学金を借金すれば更に学費は浮いてくるのです。

私は当時、国立大学の研究者かつ会社経営者でした。
とはいえ年間180万円は払えませんでしたので、奨学金を借りていました。

しかし周囲の現役生や社会人の看護学生の7割方は「お礼奉公」の契約で、お金をくれた病院に勤める前提で学生生活を送っていました。

この方法は病院は実習で学生の成熟度が分かっていますし、学生も病院の雰囲気が分かっているので良いです。


どれくらいの年齢までOKか?

私は当時20代半ばでしたが、入学してみると高卒18歳の女性が8割占める中で、21歳、22歳、23歳、28歳、30歳、32歳とまばらにいました。
社会人は7名ほど。
年齢層は18歳以上~30代前半まででした。先輩には40代の人もいました。
大学中退した人、大学卒業後数年で会社を辞めた人、シングルマザー、高卒社会人経験者・・などまばらでした。

社会人男性が多かったので私も友達がすぐできて安心しました。
(合格しても入学する前日まで人生をリセットされたような絶望に悩んでうつ病みたいになっていたのはここだけの秘密です)

多めに社会人を受け入れてくれるのは、専門学校か短大しかないと思われます。

トイレが綺麗な場所を選べ!

私が就職先や進学先でも判断基準としていることにトイレの綺麗さがあります。

いくら国公立でもトイレが凄まじく汚いことがあります。
汚いとは利用者の利用の仕方が悪いということだけではなく、機能が古いということです。
トイレにも設備投資できないというのは基本的なADLに目を向けれないということ。そんな経営者のいる場所は願い下げです。

洋式便器ではなく和式便座だったり、ウォシュレットがなかったり、障害者用のトイレへの配慮がなかったり、自動センサーでの電気や洗浄ではなかったり、水道が自動ではなく蛇口だったり、掃除係がいなくて職員の当番持ち回りだったりと「旧式」の場合、「口では患者のためいうくせに、それ以前に、人の尊厳を考えてないんだな」と経営の体質が分かります。

こういう場所は絶対に避けましょう。

カネだけ取られて汚いトイレのように学生を扱う悪質な学校や職場です。

何よりも「大学っぽい雰囲気」「自由な雰囲気」を出している環境を選ぶことが大切です。


悩みの相談窓口はあるか

私自身がカウンセラーだったので、現代において教育機関を名乗る以上、保健室のような駆け込み寺、逃げ場、安全基地・拠点があるかどうかは重要でした。

これを設置しているかどうかで学校の誠意が分かります。

これがないと頭の悪くて威張るだけの教員が、学生の方が100%悪いと理由も聞くことなく「制裁を加えることが教育である」と勘違いしている可能性が高いからです。

こういうのが原因で辞めて就職率が下がったり、自殺や殺人などの悪いニュースを引き寄せて学校の評価も下げるのです。

形だけでも心理士がいて、部屋が設置されている必要があります。

トレイが綺麗であることに加えて、窓口があることも重要な見極めポイントです。

古い専門学校、新しすぎる専門学校はやめたほうがいい

とある古い歴史ある病院系列の専門学校の体験入学に参加したところ、午前から午後までの空きコマもないがっつり授業。チャイムがあり、決まった小中学校と同じ机や椅子があり、起立・礼がありました。

・・刑務所かここは。

私の率直な感想でした。大学のキャンパスライフ(しかも教育学部で)を経た私にとっては義務教育を続けているようで吐き気すらしました。

こんな古くさい場所で育った人材は看護師にはなれるかもしれませんが、社会人にはなれません。

教える側が大学教育を受けていない専門学校卒の看護師であり、教育のノウハウを全く知りません。
「他人に理不尽に制裁を加えて抑圧して黙らせればいい」としか思っていません。
小学生のいじめっ子を教団に立たせているような幼稚な危うさがあります。

義務教育の律令制のまま、先生と先輩後輩の上下関係しか知らないからです。
年上の先輩が後輩になったとき、年下が自分より優れていたときに対応できなくなる人材が生まれてしまいます。
人には長所と短所があり、どんな年齢であってもそれを人としてのお互いの尊厳を尊重して生きていこうとする柔軟性と寛容性が社会人としての規範です。
それがなく、後輩であれば気に食わないので問答無用で本気で潰しにくるような害悪人材を量産するだけになります。

私が最低限、理想とした環境は専門学校にはありませんでした。

まして連携病院のない新しすぎる専門学校だと実習先を自分で探すという飛び込み営業みたいなことをするハメになります。
せめて昭和から原形学校あって、2005年以降くらいに新築したような専門学校を探しましょう。


なぜ短期大学がおすすめか

しかし「短期大学」(短大)は、大学の修士課程以上の教員が教えている(全員ではありませんが)こともあり、教員が大学環境を知っているという安心感がありました。
授業も無駄のない文科省の設定する大学の必須科目のみ。
専門学校だと明らかに空きコマで稼ぐための無駄な授業が入っていましたが、短期大学だとそれがありませんでした。

また「大学論文入試」という入試制度があり、私のように大学を出た社会人のために「卒業論文を入試に加える」という「あぁ大学での頑張りを認めてくれるのか」という入試制度がありました。
これにあやかって、私は大学の論文を提出し、受験科目は国語と小論文、あとは面接で合格しました。

今となっては大当たりで、教員もエビデンスに基づいた授業を行ってくれましたし、無駄な授業もありませんでした。
大学で履修した基礎の必須科目(心理学や社会学や法学など)は免除してくれたので、一年生の前期はほとんど授業がありませんでした。

また不良な生徒を切り捨てて弾くのではなく、どうしたのかと救い上げる前向きの方向性があり、追試をフォローしながら苦しい中でも安定していました。

何より病院系列の短大だと、大学の医学部から直接に教授(医師)が授業を講師として教えに来ていたので、医学部でもないのに同じ内容の授業が受けれて学費も医学部の1/3以下というメリットが享受できました。

「病院の経営している短期大学」

この条件が良いです。

看護師を目指す動機として

願書や履歴書に書く動機としてはどのようなものがあるのでしょうか?

「この私が弱者どもを介護してやるか」という見下した態度はアウトです。

この私が介護してやるかという見下した幼稚な態度はアウトです。

正直、素質すらないのでやらないでほしいです。

まだ生活のためにお金が欲しい、食いっぱぐれない資格が欲しいという方がマシです。

他人の尊厳を軽く見ている人は、自分のことに関しても破滅的に見ているのでやらないほうがいいです。

授業と実習はそんな軽い思いを粉砕するほど厳しいので、面接の時点で見抜かれるでしょう。

「前の職場で人のために寄り添いたい、社会の役に立ちたいと感じた」「親が病気で介護したい、同じような状態の人を助ける側に回りたい」「地元で貢献したい」「自分の可能性を確かめたい」くらいで面接官の心動かす前向きで革新的な動機がないといけません。

前向きでなければ患者も癒せませんし、前向きでない人を看護師にもしなくないし、看護されたくもありません。

そこに自分の体験談も含めた心動かすストーリーをのせて動機に一貫性を持たせる必要があります。

先輩の情報網が生命線

看護学校で必須のスキルだと感じます。

必ず信頼できる先輩と一人でも仲良くなっておきましょう。

特にテストの範囲が広すぎるのでテストの範囲と傾向が分かります。
さらに実習先で避けたほうが良い場所、危ない職員のことも分かります。

正直、これがないとかなりキツイです。

事前の情報網は大切にしましょう。

コミュ障の私も、コミュ障な優しい先輩(とはいえ年下ですが)と仲良くなりました。

そうやって情報網を広げていきましょう。

過去記事
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