静脈血栓塞栓症(VTE)と下肢静脈瘤の違い~足のマッサージはしてもいい?~

医学

「エコノミー症候群(深部静脈血栓症)は足のマッサージしてもいいのか?」と聞かれました。

おそらくエコノミー症候群(深部静脈血栓症)からの静脈血栓塞栓症(VTE)と下肢静脈瘤と間違えている可能性があります。

静脈血栓塞栓症(VTE)と下肢静脈瘤の違いをまとめます。

2つとも似ているようで違う疾患です。ただ近い疾患です。

なぜかネットで探してもあまり書かれていませんでした。

結論から書くと
どちらも基本的には「発症した後」では足のマッサージはしてはいけません。
ただし「発症する前」は足のマッサージをしたほうがいいです。※血栓がないと確信がある場合

では全く動かさなければいいのか?

そういうわけでもありません。適切な対処法があります。

静脈血栓塞栓症(VTE)

◎静脈血栓塞栓症(VTE)

症状

深部静脈血栓症→肺塞栓症の総称「静脈血栓塞栓症(VTE)」

手足の静脈の「深部静脈血栓症」での血栓が血管の中を流れ、肺の動脈に詰まる病気。

下肢の膨張、鈍痛、浮腫、ホーマンズ徴候(※)などがみられる

(※)


Homans徴候 より参考

「静脈血栓ができる前」の予防で「効果的」なこと

・下肢マッサージ
・足関節運動(足首を曲げたり、足先でじゃんけんするような運動)
・歩行運動
・温罨法(温めること)
・水分補給
・下肢挙上(足を上げて眠る、心不全の場合は禁忌)
・禁煙禁酒
・塩分制限

「静脈血栓ができた後」の禁忌(やってはいけないこと)

・下肢マッサージ(特にふくらはぎのマッサージはいけません。できた血栓が飛んでしまうため。)

下肢静脈瘤

◎下肢静脈瘤

症状


加齢などで静脈の逆流弁が機能しなくなり、血管が膨らんでボコボコと浮き出る疾患。

深部静脈血栓症と併発することもある。

「下肢静脈瘤ができる前」の予防で「効果的」なこと

・弾性ストッキング(軽い圧迫)
・温罨法
・歩行運動

「下肢静脈瘤ができた後」の禁忌(やってはいけないこと)

・下肢マッサージ。(血管が破れて皮下出血するため)

まとめ


どちらも基本的には「発症した後」では足のマッサージはしてはいけません。
ただし「発症する前」は足のマッサージをしたほうがいいです。※血栓がないと確信がある場合

抗凝固剤などの服薬をしながら「足関節運動、歩行運動」での治療が中心になります。

いずれにしても独自に判断せず、下肢の膨張、鈍痛、浮腫、血管の膨張、下肢の色が青い、青紫、赤いなどが現れた場合、まずはかかりつけの病院へ行って対応を聞くことが大切です。

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