【概要】
肺炎とは肺胞を中心とした炎症を主体とする下気道感染症。

肺胞領域は、肺胞上皮細胞と肺胞上皮細胞に囲まれた肺胞腔とからなる肺実質と、肺胞壁基底膜、毛細血管、結合織、肺嚢胞、肺胞道などの肺間質から成る。

【原因】
肺炎は病原微生物が肺胞に進入して、肺胞壁に滲出性変化を引き起こす。多くの場合、ウイルスが原因であるが、約20%は細菌性肺炎。
年齢層別では、乳児期は細菌、幼児期では細菌とウイルスによるものが多い。
学童期では肺炎マイコプラズマや肺炎クラミジアによるものが多くなる。
インフルエンザ菌、ついで肺炎球菌が多い。

【症状】
全身症状として発熱、悪寒、頭痛、関節痛。
呼吸器症状として、咳、痰、胸痛、呼吸困難。肺の下部の肺炎では腹痛などの消化器症状。

【検査・診断】
急性呼吸器症状に加え、胸部X線写真で新たに現れた異常浸潤影が認められた時。
血液検査では、細菌性では白血球数の増加と核の左方移動、CRP強陽性など。
年長児で痰を採取できる場合には痰から、採取できない場合には鼻咽頭からのスワブから細菌培養を行って原因菌を検索。

【治療】
全身状態が不良な場合には入院治療が必要。
胸部X線写真や血液検査の結果から細菌かウイルスかマイコプラズマかを推定して治療を開始。
細菌やマイコプラズマに対しては抗菌薬が使用され、マイコプラズマではマクロライド系の抗菌薬が使用。
ウイルス性では、インフルエンザウイルスなど一部のものには有効な抗ウイルス薬が使用されるが、それら以外には有効な薬剤がなく、使用されません。その他、気管支を拡張する気管支拡張薬、痰を切りやすくする去痰薬が使用される。