アニメやCGを見ていて何か動きが気持ち悪いな、違和感があるな、と思ったことはありませんか。
これはフレームレートが高いために起こります。
フレームレート(fps)とは、作画の枚数のことです。
作画枚数が多すぎると、リアリティは増しますが、アニメやCGなのに同時にナメクジのようにぬるぬる動きすぎて見ている側は気持ち悪くなります。
これを解決するにはどうすれば良いのでしょうか?
わざとフレームレートを落とすメリット
「アニメ化されている格闘ゲーム」(例:ドラゴンボールやバトル漫画→アニメ化→格闘ゲーム)や、けものフレンズがそうであったように、
アニメ絵の場合は意図してfpsを12や15に落とした方が抜け落ちたフレームにしています。
これは視聴者が抜け落ちたフレームを脳内補完しているからです。
60fpsのぬるぬるした動きより、12~15fpsの方が感覚的なリアリティを感じることができます。
例えば、
「ポプテピピック」のAC部の本気のエイサイハラマスコイ踊り作画や、
「悪の華」や「ディズニー」のロトスコープ作画(実写をそのまま作画に乗せる)がやるような、くどいくどいぬるぬる作画は、見ていて気持ち悪さしかありません。
フレームを下げないと視聴者は見にくくて疲れるのです。
実際に格闘ゲームは2016年頃まではリアリティ追求で30fpsでしたが、2017年頃からわざとフレームレートを下げて表現しています。
ドラゴンボールファイターズ(2018)
仮現運動・ファイ現象の錯覚を利用する
ジブリの宮崎駿監督は「もののけ姫」の中で刀の早い動きを光で断続的に見せることで刀の動きを錯覚させていました。
「この世界の片隅に」の片渕須直監督は遅い動きを細かく作画することでわずかな所作を錯覚させていました。
これをファイ現象(光の仮現運動)と言います。
同じように光を断続的に見せたりすることで、視聴者に錯覚を与えていました。
三次元から離れたリアリティのないキャラクターならフレームレートを下げた方がリアリティが出ます。
「踏み切りの信号」のように「赤色2つが点滅しているだけ」の2フレームでも、光が動いて見えてしまうのです。
フレームレートにも「不気味の谷」がある
二次元から三次元の途中には人間とそれ以外の境である「不気味の谷」があります。
ロボットが人間に嫌われる「不気味の谷」が証明される:研究結果
不気味の谷現象(ぶきみのたにげんしょう)とは、ロボットを実写の人間に限りなく近づけようとしても、実写の人間に似せるほど「不気味だ」「似ていない」と感じる現象です。
同じようにフレームレートも15fps(アニメ)~60fps(実写)へ上がっていきます。
アニメに60fpsにするとぬるぬる動作で不気味に感じます。
逆に実写が15fpsだとカクつきすぎて違和感を感じます。
アニメやCGの非実在の人間が30fpsを超えた時点で気色悪さを感じるのです。
VRはアニメやCGと相性が良い
アニメやMMDのような3Dモデルの方がVRと親和性高いです。
ドラマのような実写ではfpsが高い上にまだ解像度が低いのでリアリティに欠けます。
これからどれだけVRの解像度が良くなろうとも、眼球で見えるリアルを超すことはないのでVRはアニメ絵のコンテンツが中心になります。
格闘ゲームがどれだけ経っても実写ゲーム化しないのと同じです。
アニメCGの不気味の谷を克服する方法
2017年に“不気味の谷を超えた”とCG美少女「Saya」が話題にされましたが、やはり違和感があります。
今後どこまで高画質にしようとも、不気味の谷を超えることは出来ません。
超えることはなくてもMRの技術によって実写と融和することは考えられます。
不気味の谷を「埋め合わせる」のです。
実写を中心にして、部分的にCGで埋め合わせれば違和感はなくなります。