よく「昔はこんな人じゃなかった」という言葉を聞きます。
昔はやさしくて付き合ってみたけど今は暴力的な人になった。
昔は謙虚な人だったけど今は威張る人になった。
など。
「こんな人じゃなかった」は間違っています。
「昔はこんな人じゃなかった」と言われる人は、
100%、「昔からこんな人」です。
ドラマやアニメや漫画では「昔はあんな人ではなかったのに・・」というフリがあって、
「娘さんの死を通じて暴力的に変わってしまった・・」とか「そう、あの出来事があるまでは・・」とか、
さも同情を誘うような「実は良い人」的な補正が加えられますが、
現実にはそんなことはまずないです。
「あの人はひどい人だ」「あの人は暴力的な人だ」は、
100%、「昔からそんな人」です。
どれくらい昔からかというと5才児からです。
人間の脳は5才児までに90%は完成します。
そこを基本としてあとは人格をデコレーションしていきます。
なので幼児期までの育てられ方(主に親の関わり方、周囲の人との関わり方)で9割方決まります。
「こんなはずじゃなかった」との混同
なぜ「昔からこんな人」だったのに、「こんな人じゃなかった」と言うことになるかというと、
「こんなはずじゃなかった」という言葉との混同があります。
似た言葉で「こんなはずじゃなかった」という言葉があります。
これは正しいです。
頑張ったけどうまくいかなかった。
就職したけどつらすぎた。
お金を投資したけど失敗した。
という自分を含めての反省があります。
現在完了形として受容できれば、次は失敗せず発展できる期待があります。
この自分の「こんなはずじゃなかった」を認めたくない場合に、
相手に責任転嫁して「昔はこんな人じゃなかった」と言うのです。
自分が過去に人を選択を間違えたこと、恋してしまったこと、尊敬してしまったこと、同情してしまったこと。
それを「失敗」として認められないと、「昔はいい人だったんだけど、今は悪い人」と合理化して言うことになるのです。
そんなことはありません。
相手は昔から「そんな人だった」のです。「そんな悪いやつ」だったのです。
もし「昔はこんな人じゃなかった」と言っているとすれば、まだその人に対して過去を引きずっているという証拠です。
それは自分の失敗を認められないことから、最低限、相手を「良いやつだった」と納得しようとしているのです。
自分にウソをついているのでとても不健康です。
「昔からあんな人だった」「私が見抜けなかった」「こんなはずじゃなかった」「今後気をつけよう」と素直に認めることから次への一歩が踏み出せます。