漫画家の鳥山明先生が逝去されました。ご冥福をお祈りします。
私も手術勤務の経験から少しニュースが気になりました。
急性硬膜下血腫、おそらく架橋静脈を損傷してるため、事前に転倒など何らかの外部からの頭部打撲が推定されますね。
いきなり急死したりはしません。
【訃報】漫画家の鳥山明さん死去 ドラゴンボールなど世界的な大ヒット #FNNプライムオンライン https://fnn.jp/articles/-/668344 漫画家・鳥山明は2024年3月1日、急逝硬膜下血腫により永眠
よほど血腫の規模がひどくない限り、事前に意識障害や麻痺などの症状が明らかに出るので周りが気付けるはずです。
そして早期に穿頭術(30分程度でも終わる)すれば、そこまで予後は悪くないはずです。
硬膜外と硬膜下で難易度も予後も死亡率も倍増はしますが、
硬膜下であっても周りに誰かいれば意識障害や麻痺に早期に気付けるはずなので、
①いきなり強烈に頭部打撲して血腫が広範囲に広がったか
②周りに誰もいなくてじわじわ長時間放置されたか。
いずれかになります。
脳外科手術の難易度図
Easy
↑
硬膜外血腫(頭蓋骨と硬膜の間)
硬膜下血腫(硬膜とくも膜の間)
くも膜下出血(くも膜と軟膜の間)
脳内出血(脳の中)
↓
Hard
頭の手術。外から内へ。
脳外オペは硬膜の30分コース程度の簡易的なものから、難易度の間がありません。
硬膜下より内になると8時間以上コースになりオペ難易度が急に上がります。
いずれの手術も早期発見で早期手術が重要になります。
救急緊急手術で最も確率が高いのが外科と脳外科
救急緊急手術で最も確率が高いのが外科と脳外科。
外科は主に胃腸穿孔。特に上行結腸か横行結腸。術式は開腹の腸切除術。
脳外科は主に脳出血、慢性硬膜下血腫。術式は穿頭術。
一回オペ入ると時間的に連続手術は無理なのでどちらかになる可能性があります。
まとめるとオペ現場の緊急で多いのが
胃腸穿孔→腸切除術
硬膜外・硬膜下血腫→穿頭術
これ専属でいたほうが良いのではと感じます。
ついでに鼠径ヘルニアやラパ(腹腔鏡)やバッツ(胸腔鏡)の開腹しないほどの既定路線のオペも専属があれば良いと思います。
ただ癒着や急変などイレギュラーが生じない限り難易度の振り分けが難しく感じます。
何らかの「前フリ」「前兆」が必ずあったが放置されたはず
おそらく今後話題になるだろうけど、やはり亡くなり方が奇妙で、
・よほどの頭部外傷で突発的に来た
・髄まで圧迫するほどだった
・意識障害や麻痺を周りに気付かれずに放置された
・そもそも長期的にオペの予定や既往歴から服薬していた
いずれかの「前フリ」がないとこうはならない。
鳥山明氏に関して早期発見・早期治療の重要性を知るきっかけになりました。