財務省のトップは財務省事務次官ですが、このもう一つ上の出世先にアメリカのIMF(国際金融基金)の理事というポジションがあります。

総務(Governer)は財務大臣、総務代理(Alternate)は日本銀行総裁が担当しています。

このIMF(国際通貨基金)とは何でしょうか?


IMF(国際通貨基金)とは何か?

アメリカのIMF(国際通貨基金)とは、途上国にお金を貸す国際融資機関です。

金本位制からドル本位制になるとき、戦後の世界経済を立て直すための融資機関として生まれたのがIMFです。
同時に世界銀行という機関も生まれました。

世界銀行とIMF(国際通貨基金)は同じ

IMFの姉妹機関に「世界銀行」があります。

国際通貨基金(IMF)と世界銀行は、国連システムの中の姉妹機関です。
両者は加盟国の生活水準の向上という共通の目標を掲げています。 その目標達成へ向けた両者のアプローチは相互補完的で、IMFがマクロ経済の課題に注力する一方、世界銀行は長期的な経済開発と貧困削減に主眼を置いています。

IMFと世界銀行 International Monetary Fund(公式)
https://www.imf.org/external/np/exr/facts/jpn/imfwbj.htm

IMFが大きなマクロ経済中心、世界銀行は長期的な経済開発。

世界銀行(世銀)は金持ち国から貧乏な国に金を流します。
IMFは日本銀行(日銀)やアメリカ中央銀行(FRB)の上にある機関です。

姉妹機関でほとんど同じことをしていると思っていいです。


どこの国が主導しているの?

出資額と議決権を見ると出資上位(2018年)は、
アメリカ合衆国 17.46%
日本6.48%
中国6.41%

です。

IMF Members’ Quotas and Voting Power, and IMF Board of Governors
https://www.imf.org/external/np/sec/memdir/members.aspx#total

アメリカにあるのでアメリカが主体。

次いで日本と中国が並んでいます。

アメリカが主導しています。
トップ(専務理事)は理事会/議長/国際通貨基金の代表を兼ねます。

(2020年現在)クリスタリナ・ゲオルギエヴァというブルガリア出身者が専務理事です。
歴代専務理事ではアメリカ、フランスが多いです。

IMF傘下になって融資を受けるとどうなるの?

発展途上国や、経済破綻した国が、IMFの傘下に入ります。

IMFから融資を受ける、俗に言うとIMF傘下になると、
・構造調整
・市場開放

ということが行われます。

構造調整では、どんどん解雇できるようにして労働の流動性を増やしなさい。
市場開放では、投資を外国人まで可能にして外国の株主に任せなさい。

ということをします。


返済額が減額できない恐怖

IMFは繰延返済ができません。利子が取れなくなるからです。

債務返済繰延(さいむへんさいくりのべ:繰り延べ、リスケジュール)とは、返済期間を延長することにより、毎月の返済額を減額する方法です。

通常の民間銀行の貸し出しとIMFがやっていることは同じなのですが、IMFは返済期間が延長できないことが特徴です。

もし利子付きで返済ができなければ厳しい融資条件を立てて、もっと構造調整と市場開放をしなさいとやります。

当たり前ですが発展途上国や破綻した国が立て直そうとする場合、利子もつけて返済するのは困難です。

利子を上げて会社を破綻→大量に失業→途上国の低賃金のまま物価は先進国並に高く

しかしIMFはどんどん利子を上げていきます。
実際、2010年の欧州財政危機の時、ギリシア、スペインの国債の価値が下がり、国債の金利が上がって来た時も、10%まで政策金利を引き上げました。

借りたお金に10%も利子がつけられては経営破綻してしまいます。そして大量の失業者が生まれるのです。

結果的に、貧しい国、破綻した国から、アメリカへとお金だけ吸い上げられていく仕組みです。

そして通貨としてドルを使えるようにします。

ドル経済では賃金はその国のレベルなのに、食料品などの物価は先進国になります。

つまり大量の失業者が出た状態で、物も買えないほど貧困にさせられるということです。


かつてIMF傘下だった国

例えば、1997年のアジア通貨危機の時、韓国はIMFからドルの融資を受けました。

韓国はそれから経済発展したから良いじゃん!

・・・と思うかもしれませんが、

市場開放して規制緩和をしたので、トップのサムスンでさえ外国人株主が大半になりました。

外国人株主になるということは、その国が乗っ取られて、決定権がなくなるということです。

さらにに韓国は、構造改革がされて、外国の債券をたくさん買わせられることになりました。

本来、日本のように自国の国の債券で回っていれば信用は高いですが、他国の外国債券で運用すれば、
他国の言うことを聞くしかなくなり、他国が不経済になれば自国も不経済になるという問題が生じやすくなります。

韓国経済が今でも危ぶまれるのがこれが理由です。

お金持ちと貧乏人との間に極端に格差が開いてしまう。


これがために「韓国で身を立てるには、ソウル大学に合格して大手企業に就職するしかない」という肩身の狭すぎる国になったのです。

かつてルワンダでも同じように構造調整で農業の近代化をして内戦や紛争に至りました。
ボリビアでも構造調整で解雇されて、市場開放から外国から投資されるのが麻薬の密売による経済になって、治安が悪化しました。

このようにIMFの傘下になるということは、国民にとっては相当に苦しい生活になるということを覚えておきましょう。

続き
真っ先にアメリカのIMFへ税金をプレゼントした日本政府~2020年世界金融危機~

(参考)
貧困の世界化―IMFと世界銀行による構造調整の衝撃

世銀・IMFがもたらす「構造調整」という名の「破壊的経済モデル」~新自由主義的圧力で進んでゆく間接的植民地化――
https://iwj.co.jp/