戦国時代初期でも「親殺し」は絶対タブーです。
歴史上あったとしても「追放」などでした。
2020年の大河ドラマ「麒麟がくる」を見ていて「当時の斎藤義龍(斎藤高政)が、父親の斎藤道三を殺したのは珍しい。」と感じました。
これはひとえに「自分は土岐一族」と言う大義名分があったからこそできたことです。
斎藤義龍は自分の父親は、守護代の斎藤道三ではなく、その上司の守護の土岐頼芸だと信じていました。
そうでなければ斎藤義龍に「親殺し」の建前と面目がないからです。
織田信長の戦略
こうしてみると当時の織田信長は「親殺しのタブー」を逆に利用していたのでは?
と感じます。
尾張の守護・斯波義統の暗殺、その下で今川と通じた守護代の織田彦五郎の暗殺。斎藤道三と息子の斎藤義龍の対立。
織田信長は「殺したい人のナンバー2をうまく焚き付けて暗殺」させているのです。
織田に有利に転ぶように織田信長と帰蝶のコネクションでスパイを回して焚き付けただろうと推察できます。
第15回、ご覧いただきありがとうございました!
今週の「トリセツ」は・・・
・美濃と尾張の関係は?
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国のナンバー2を焚き付けて主君殺しさせる
→主君を殺すとは何事か、と大義名分を作り、主君を謀反した元ナンバー2を殺して封殺
→自分の配下のものとする。
これが織田信長のテンプレ行動パターンです。
斎藤義龍の行動は織田信長も予想外だったろう
織田信長目線で考えると、明智光秀と帰蝶(織田信長)とのコネクションがあったので、明智光秀と斎藤義龍は土岐一族という大企業銘柄に属して、斎藤道三を殺した後も懐柔できるはずが、斎藤義龍がまさか次男の斎藤孫四郎まで暗殺したのは予想外だったでしょう。
土岐頼芸を追放した時点で、斎藤道三には謀反されても仕方ない大義名分のお膳立てができています。
斎藤道三自身が織田信長の術中にハマったような動きをしているのです。
本来、斎藤義龍に大義名分があるけど、義龍が次男暗殺するのは明らかに流れに反する動きをしています。
だからこそ、ここに何か裏があったろうとは勘ぐります。
明智光秀は斎藤義龍についていれば天下統一できたろう論
斎藤道三は、長良川の戦いで息子の斎藤義龍に負けます。
明智光秀は斎藤道三の側につきました。
その時、斎藤道三 vs 美濃全土(現在の岐阜県)という構図だったので明智家は大失敗の選択だったでしょう。
織田信長も近所まで来たものの、斎藤道三に加勢することもなく遠くから傍観しているだけでした。
この時点で斎藤義龍に明智光秀が味方していれば、光秀は斎藤道三が負けて越前の朝倉氏に左遷されることもなく、織田信長と10年早く天下取れていたでしょう。
なぜ斎藤義龍は土岐ブランドを誇示するのに一色氏を名乗ったのか?
斎藤義龍は土岐源氏ブランドを誇示するのに、なぜ一色氏を名乗ったのかって言われます。
これは一色氏がそもそも土岐源氏の一門。
斎藤義龍の母方の深芳野が一色系譜と言われているからです。
いずれにしても斎藤義龍の斎藤道三の「親殺し」は当時でもタブー。
土岐氏という斎藤氏より上の大企業ブランドの名目があったからできたことです。
純血の「親殺し」を扱った作品
斎藤道三vs斎藤義龍で義龍の「親殺し」は歴史的にも稀な出来事です。
「ではアニメや漫画ではあったか?」と考えてみると面白いです。
「親殺し」するという展開はアニメや漫画でよくあります。
しかし斎藤義龍のように「母方の純血(土岐一族)」という名目で「親殺し」したのは少ないです。
近いのはアニメの「コードギアス」です。
ルルーシュの母親マリアンヌからの純血派を建前にして、父親の皇帝ブルタニア倒そうとする構図と似ています。
実父が土岐頼芸で、母の深芳野も土岐一色氏とすると、
俺の血族は実はTUEEだったというジャンプ漫画でありがちな展開、母親の純血立てて斎藤道三(親)殺す構図はそっくりです。
斎藤道三(父)=ブルタニア皇帝
ルルーシュ(子)=斎藤義龍
ジェレミア=明智光秀
でしょうか。
土岐氏という純血を建前に戦ってる構図が分かりやすいです。
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