2008年のリーマン・ショックから世界金融危機や社会情勢の不安、2011年の東日本大震災、2020年のドイツ銀行破綻、オイルショック、コ口ナショック、世界金融危機と金地金のニーズが高まり、価格も高騰してきました。

ただ金の買い時はいつでも良いですが、売り時はいつなのか?

そのまま売ると逆にお金がかかってしまうことがあります。

金地金を売る場合の注意点をまとめます。


海外に持ち出す場合

金地金を海外へ持ち出す場合、1kg以上は税関に「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書」の提出が必要です。

・100万円相当額以上の現金(本邦通貨、外国通貨)、小切手、トラベラーズ・チェック、旅行小切手、約束手形、有価証券(株券、国債等)
・金地金(純度90%以上)の重量が1kgが超える場合

のが日本の税関への申告が必要になります。

ただ日本では、買う時に消費税がかかっても、売るときにはかからないので、日本で売る方がメリットがあるかもしれません。
むしろ外国から日本で売るメリットを享受しようと密輸がされているぐらいなので。

前記事
日本が増税→海外の金が儲かって密輸が増える仕組み

しかし他の税金や手数料の問題があります。

日本で売る場合は売却手数料と譲渡所得税がかかる

多くの貴金属商で売却時に手数料がかかります。

どこの貴金属商でもおよそ、
500g以上は無料
300g以下は約16000円
50g以下は約9000円

です。

売買価格と別途手数料 田中貴金属工業
https://gold.tanaka.co.jp/inquire/buying/charge02.html

金を売却して得たお金は譲渡所得という所得にされます。

加えてそこに税金がかかります。

譲渡所得に対する税金は一律20%(所得税15%、地方税5%)の税率です。

これは通常の給与所得と合算して課税されます。

譲渡所得に対する税金は50万円までは控除されるので、非課税です。

●購入後、5年以内で売却した場合(保有期間が5年以内)= 短期譲渡所得
(地金の売却益+その他の該当する譲渡益)- 50万円
●購入後、5年超で売却した場合(保有期間が5年超)=長期譲渡所得
(地金の売却益+その他の該当する譲渡益)- 50万円}×1/2
※地金の売却益=売却価格 -(取得価格+売却費用)

(参考)
税金・その他 田中貴金属
https://gold.tanaka.co.jp/qa/qa_tax.html

つまり金を売却額して-50万円の控除を適応した後の数字が50万円以下であれば、課税はされません。

そして購入して5年以上保有していれば、課税額は1/2の半額になります。

ではシュミレーションしてみましょう。
(以下での計算の数値は手数料等を省いています。あくまで参考用に簡略化させたものです。)


例① 1g=1万円で100gを売るとしたら?

例えば、金が1g=1万円で、100g=100万円だったとします。

そこで売った場合、50万円まで控除されるので、帳簿上は100(利益)-50(控除)で50万円。
50万円の非課税の範囲内。
100万円は非課税のまま受け取れます。

例② 1g=1万5000円で100gを売るとしたら?

例えば、金が1g=1万5000円で、100g=150万円だったとします。

そこで売った場合、50万円まで控除されますが、帳簿上は150(利益)-50(控除)で100万円。
50万円の非課税の範囲から100万円オーバーしています。

金の保有が5年以内であれば
150万円-50万円=100万円←ここに20%税金
→150万円の売却利益→-20万円が税金で取られる

金の保有が5年以上であれば
150万円-50万円=100万円×1/2=25万円←ここに20%税金
→150万円の売却利益→-5万円が税金で取られる

を取られます。

金地金を売ったときの税金 国税庁
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/3161.htm


金を売るときに最も効率的な方法

なので金を売却する方法として最もコスパが良いのは、

・500g以上の現物の金を5年以上保有して手数料無料で売却する

です。

しかし売却時に200万円を超えてしまって国税庁への支払調書が発生してしまいます。
それが怖くてお金持ちの人でもやっている人は少ないです。

売却時に1万6000円の高い手数料を払ってでも、500g以下に抑えている人が多いです。

その後のリスクや維持費を考えると現実的には厳しい人が多いでしょう。

なのでどうするかというと、

大前提として

・現物を5年以上保有してから売却する。(譲渡所得への税金を1/2の最小限にするため)
・売却時に200万円は超えないようにする。(支払調書やマイナンバーが求められるため)

は共通。

そして

・売却時に100万円以下にする。(つまり-50万円控除=残50万円=非課税枠内にする)

しかありません。

まとめ

まとめると

・500g以上の現物の金を5年以上保有して手数料無料で売却する(国税庁に支払調書を申告する)

・売却時に100万円以下にする(つまり-50万円控除=残50万円=非課税枠内にする)
のどちらかです。

後者のやり方を連続している人が多いという印象です。

さて今後はどうなっていくでしょうか。↓


今後

今後、金の価格が上がっていくと国税庁は貴金属商に規制等で圧力をかけて「金を売れない」ようにしてくるでしょう。
金地金は普遍的な価値を持つので売れない状態は絶対にありえないのですが、
その時に国税庁がやりそうな手段で考えられるのが、
①売却手数料を上げる
②非課税枠を50万円以下に下げる
③200万円以上ではなく100万円以上の売却で支払調書を必要とさせる

等々と言った方法でコントロールしようとしてくるでしょう。

①の売却手数料を上げるのは、貴金属商の利益が大きくなる上、手数料が高すぎると金が海外へ逃げてしまうので国税庁は避けたいはずです。
②の5年以上の譲渡所得税1/2の仕組みが地金だけではなく、不動産等の売却や減価償却も見越して適応されているので、この税を上げるのは難しいでしょう。よって非課税枠を下げるのも難しいです。
③の「少額売却でも報告させて監視。売るのを難しくさせる。」という方法が最も考えられます。

先読みするとミニマムに分散保有かつ長期保有していたほうが効率がいいのです。