夢野久作の「ドグラ・マグラ」と、プルーストの「失われた時を求めて」は特に好きだ。
ドグラ・マグラ (角川文庫)
失われた時を求めて(1)――スワン家のほうへI (岩波文庫)
夢野久作(杉山泰道=禅僧・雲水萠円)のドグラマグラの出版は、日本の心理学の開拓者である池見酉次郎・河合隼雄・成瀬悟策がまだ子どもの時期。
心理学者ユングは23歳くらい。
なので夢野久作はかろうじてフロイトの原作を読んだ可能性がある。
ここまで「悟り」のプロセスを論文かつ実体験として味わえるように小説にした構成に感服する。
夢野久作(杉山泰道)の父の杉山茂丸=戦前右翼民族派の総元締め玄洋社(頭山満・杉山茂丸)。
その弟子の堀川辰吉郎を通じて世界紅卍字会などの中国道教。
ここと大本教の出口王仁三郎の弟子2人の世界救世教の岡田茂吉、生長の家の谷口雅春の人脈が預言者の集いだった。
確かにドグラマグラ書けそうな勢いはある。
「ループしているという認識さえも認識でした」という展開は、
唯識というか「空」だ。
「空」の定義と一心三観(空観、仮観、中観)
https://libpsy.com/kuugan-kegan-tyuugan/4082/
「ドグラ・マグラ」と「失われた時を求めて」は親和性高い。
プルーストの言う
「瞬間生(レアレテ)」とは「時間」と「空間」も分からなくなった「世界との一体感」。
近代資本主義の構造であるドロモロジーにより、現実をありのままに見ることが困難になった。
重度の自閉症・東田直樹氏が感じる「世界との一体感」とは何か?
https://libpsy.com/higashidanaoki/2053/
ドグラ・マグラのように「空」を悟り、
ドロモロジー(<今ここ>ではない<いつかどこか>の前方へ競わせ走らせ、追いたてる原理)の洗脳から抜け出した者は、
プルーストの「瞬間生(レアレテ)」が感覚的に分かる。
もはや元の世界へは帰れなくなる。
悟りの道へ向かうしかない。