あなたは猫になったことがありますか?

VRのアバターには猫のアバターがたくさんあります。

私は猫アバターにおける外国語表現で興味深いものに出会ったので紹介します。


吾輩は猫である

私はVR世界で猫のアバターを使う外国人とグーグル翻訳で日本語の会話をしいました。

すると日本語訳の読み上げで、いきなり「吾輩(わがはい)は猫である」という発言があったのです。

私が気になったのは「私は猫です」と翻訳されずに、「吾輩は猫である」と翻訳されたことです。

「吾輩は猫である」は夏目漱石の小説のタイトルです。

吾輩は猫である

英語から日本語に戻すと「吾輩は猫である」が出てくる

グーグル翻訳で「私は猫です。」と訳してみます。

「I am a cat」と翻訳されます。

今度は「I am a cat」を翻訳してみます。

すると「吾輩は猫である」と翻訳されます。


なぜ日「私は猫です」→英「I am a cat」→日「吾輩は猫である」と翻訳されるのか?

なぜこうなったのか推察するに「私は猫です(I am a cat)」の文の構造です。

Iの後に存在や説明を示すbe動詞までは固定です。
しかしその後に「the(その)」になると「その猫」という「猫と私は別」というニュアンスが強くなりすぎてしまいます。

そこで「a」を使用するので、日本語訳で夏目漱石の本のタイトルになってしまうのです。

なぜ英語教師の夏目漱石は変なタイトルをつけたのか?

英語教師である夏目漱石は英国へ留学して英語の存在としてのbe動詞にびっくりしました。

なぜなら日本には自分の存在を西洋ほど深く哲学した歴史なんてなかったからです。

「be」は「~が在る」と言う「存在」や構文を「説明」する意味があります。

だから「吾輩は猫である」という日本独自の比喩の表現の斬新なタイトルにしたのです。

(参考文献)
BeとHaveからわかる英語のしくみ―英語国民の思考がわかれば、本当の英語が身につく! 


擬人化された物や動物も主語になる面白さ

「吾輩は猫である」はダイレクトに言えば、「I am the cat」で「私はその猫です」。

英語では主体は常に人間になります。

しかし英語教師の夏目漱石は、日本語で擬人化存在も主語にされ、be動詞をつけて存在説明するおかしさを知っていたのです。

あえて「I am a cat」とタイトルにつけたのです。

擬人化の猫アバターを通してこの哲学に触れることができたのがとてもおもしろかったです。