私も最初このニュースを聞いて耳を疑ったのですが、アスペルガーの診断が2013年のDSM-5(米精神医学会の診断の手引-第5版)で消えるそうです。(詳細はこの記事一番下にソースを貼りました)
わかりやすく図を書いてみました。今までの自閉症スペクトラムの上の図(↑)が、「自閉症」に一本化されてこうなります↓
自閉症スペクトラムをよくご存知の方ならびっくりすると思います。
先に結論を書くと、これは今まで薬(処方箋)を出せなかったアスペルガーなど中途半端な自閉症に対して「自閉症」と断定させることで、お薬を出すことで保険点数を稼ぎ、医者と製薬会社が儲けようという魂胆が丸見えです。
「高機能自閉症」も消えます。「知的障害のない自閉症スペクトラム障害」という呼称になります。
診断の簡易化を目指した分、昔の診断に退化しているようにも見えます。
自閉症やアスペルガーに関して、よく知らない人も多いと思うので、図から簡単に記載します。(詳しい方には多少の語弊もあるかもしれませんが導入のためにご了承ください)
自閉症は、社会性や他者とのコミュニケーション能力に困難が生じる障害の一種です。先天性の脳機能障害ですが、脳機能上の異常から認知障害の発症へといたる具体的なメカニズムについては未解明の部分が多いです。
まだ未解明だからこそなるべく断定して固定せずに、「広汎性発達障害」の1つとして数えられています。
(広汎性、つまり発達障害の中で広くいろんな症状があるうちの1つということです。例えるなら、海は広くたくさんの魚がいますが、まだ他の魚と比べて独特で未知の魚もいます。でも未知ゆえに正体を断定できないので、とりあえず背びれやウロコなどの似た特徴で未知の魚を分けているような感じです。)
自閉症状の典型的(定型)として
1、コミュニケーションの欠け(言語障害や言語遅滞など)
2、社会性の欠け(独自のこだわり、理由なしに嫌がったりなど)
3、想像力の欠け(表情からの気分の読み取り、場の雰囲気の理解、共感能力の欠如など)
の3つがあります。
このような典型的(定型)な自閉症を「カナー症候群」と言います。
逆に、1~3の全てに当てはまらないが、どれか1つか2つは当てはまる非典型的な自閉症を「非定型自閉症」(特定不能の広汎性発達障害)と言います。
典型的は自閉症に近く(左矢印)、非典型的な自閉症は健常者に近い(右矢印)、という見方もできるかもしれません。
そして知能指数(IQ)のおおむね70を境に、知的障害がある自閉症か、知的障害がない自閉症かに分かれています。(縦軸)
「知的障害者で自閉症の人」と、「知的障害者ではないけど自閉症の人」がいるわけです。
「知的障害者ではないけど自閉症の人」のうち、1~3に全て当てはまる典型的(定型)な自閉症を「高機能自閉症」と言います。
「知的障害者ではないけど自閉症の人」のうち、1~3の全てに当てはまらないが、どれか1つか2つは当てはまる非典型的(非定型)な自閉症を「アスペルガー症候群」と言います。
この高機能自閉症とアスペルガー症候群の境界は明確には分かれていません。
なので光の虹色のように境界がない「スペクトラム」を例えて、「自閉症スペクトラム」と呼ばれています。
さて、今回のDSM-5ではどうなっていたでしょうか。↓
内容によると、すべて「自閉症スペクトラム(連続体)障害」に一本化する、とあります。
アスペルガー症候群(知的障害がない)や、非定型自閉症(知的障害がある場合もあるし、知的障害がない場合はアスペルガー)や、高機能自閉症(知的障害がない)を全て消して、すべて「自閉症スペクトラム(連続体)障害」に一本化する、とあります。
こうなるとどうなるかというと、「自閉症」(自閉症スペクトラム障害)の診断が大安売りされます。
「診断が分かりやすくなってよかったよかった」「アスペルガーの人が減ってよかったよかった」なんてことにはなりません。
特にアスペルガーは、非典型的(非定型)の自閉症であって、(言い方が雑で申し訳ないですが)健常者との境界に位置していたからこそ、救いがあったのです。
それを「自閉症スペクトラム障害」という名で一本化されてしまうと、診断された本人も幼ければ幼いほど先天的な障害というイメージを刷り込まれるでしょうし、周囲の人からも「あぁ自閉症なんだ。知的障害かもしれなんだ。」と見られます。
ある意味、垣根がさっぱりして、差別がなくなってよかったというメリットがあるんじゃないかと思うかもしれませんが、もっと別の目的があります。
それが「お薬を出せる」ということです。
例えるなら、今まで非定型の自閉症やアスペルガーという魚の住む海は、まだ魚が未知だったので禁漁(お薬を出せない)されていたのです。
今回、それを解禁させて、未知の魚でも、既知の魚と一緒ということにして漁をしてもよくなったということです。(お薬を出してもいい)
通常なら、簡単にアスペルガーなんて診断ができなくなり、自閉症なんて重い印象の診断なんて滅多に出ないだろうと思われるかもしれませんが、どうしても自分の子どもや、あるいは自分自身が、コミュニケーション障害や社会性・想像力の欠けから馴染めずに悩み、受診すると、どこかで「今の症状の答えがほしい」と思ってしまうものです。
なのでお医者さんの方も、その気持ちを汲み取って実際にお薬が出せるような病名の診断をどんどん出していくのです。(逆に保険点数かせぎで儲けるために安易に診断を出していくお医者さんも山ほどいます)
同じことを自閉症の専門医において、東京大学名誉教授(医学博士)の栗田廣氏も指摘していました。すでに現在でさえ、まだ未知の非定型自閉症(特定不能の広汎性発達障害:PDD-NOS)なのに、アスペルガーと診断されていると言います。
(転載はじめ)
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「海外ではPDD-NOSとして診断される障害者がPDDの2分の1であるのに対して、日本ではPDD-NOSはほとんど診断されず、アスペルガーとして診断されている。実際、信頼できるイギリスの診断結果の報告文によると、比率的にPDD-NOSがやはりPDDの2分の1、アスペルガーはPDDの13%(全人口の0.1%)にすぎない。どちらも高機能であり、診断は難しいが、日本でアスペルガーとして診断されている障害者(全人口の0.3 – 0.4%)の多くは実はPDD-NOSではないか」
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(転載終わり)
栗田廣 いのちのホームページ アスペルガー症候群
https://www.geocities.jp/johnhealing/JDDNET/jddnet1.html
だから、この動きに代表されるように自閉症スペクトラム障害に一本化なんてさせれば、自閉症を軽い印象にさせて「大安売り」されるのが必然なのです。
そもそもお医者さんが診断基準に使う「DSM」、精神障害の診断と統計の手引き(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、DSM)とは、
「アメリカ精神医学会」の基準です。
アメリカの診断基準をドメスティックに日本人にそのまま当てはめているのです。
アメリカというのは多国籍・多民族な国家で、医者も日本よりもハードルが低いです。NHKの病院ドラマ「ER」など見たことある人にはその様子はよく分かると思います。
(ER Season10 アビーは看護師として働きながら医師になる)
そのため「どんな国籍の人でも簡単に診断できる。医者の裁量の幅が効かせられるように、簡単で分かりやすいものを。」という目的で、どんどん内容を簡略化させていきます。
だから同じDSMである精神病診断も、最も重いはずのうつ病や統合失調症などの診断が大安売りされてしまうのです。
精神科医は当然、診断に片手にアメリカのDSMを持っていて、それをドメスティックに日本人に当てはめて「悩んでいます」→「はい。うつ病。」とやって、「悩んでいます」と言ってる人の納得できる答えを病名で与え、薬を出して保険点数を稼いでいるだけなのです。
精神科医・和田秀樹氏がこのことに関して同じように指摘していました。
痛快心理学 和田秀樹
「不安障害」や「人格障害」などの精神病スペクトラムの軽度のレベルを通り越して、一気に一番重い「うつ病」「統合失調症」などの精神病の診断がされているのです。
この話は、精神医学会だけでなく、心理学会でも大きな議論になります。
「発達障害」でも同じです。発達障害専門医の岡田尊司氏も「発達障害でさえ、環境的な”愛着障害”と混同され、本当は愛着障害なのに発達障害の診断を連発されてる。」と著書の中で述べています。
発達障害と呼ばないで 岡田尊司
現時点でさえ医師は心理的な「愛着障害」を「発達障害」として混同して診断しています。
つまり心理的な問題で済む話を、脳の「発達神経障害」としてそれを「自閉症」と括りを入れて処理します。すると自閉症が増えます。
例えば、言語障害ないのがアスペルガー、あるのが自閉性障害。
同じ「人前で黙ってしまう」という「緘黙(かんもく)」でも、愛着障害なら親の心理的抑圧が強すぎるとか、発達障害なら新しい状況に脳の処理が追いつかないとか、自閉症なら認知障害なんじゃないかとか、多種多様な要因や解釈がありますが、これを全て自閉症にすると大変なことです。
私自身も研究者として、論文を読みますが、国際比較学において他の国との日本との文化の差異なんて山ほど先行研究があるのに、なぜ精神病や発達障害などDSMでアメリカ人基準にされているのか不明です。
アメリカでさえ、DSMは、権威のある“曖昧なマニュアル”、”カネを生み出すベストセラー”と呼ばれているようです↓
(転載はじめ)
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DSM-IVには347の病名があるが、病名及びその病名の症状はアメリカ精神医学会の委員の挙手による多数決によって決められている、権威のある“曖昧なマニュアル”であるとの批判がある[8]。アメリカの臨床精神医学教授のローレン・モシャーは「DSM-IVは、精神医学が概して医学によって認められるように模造して作ったものである。内部の者はそれが科学的というよりも政治的な書物であると知っています。DSM-IVはその最大の欠陥にもかかわらず権威ある書物となり、カネを生み出すベストセラーになった。
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(転載終わり)
戸﨑貴裕 日本語では知らされない精神医学の嘘
https://antigangstalking.join-us.jp/AGSAS_Step01_Plus.htm
・・このようなアメリカ精神医学会DSMの明らかに金儲けのために診断基準を広げて、しかも日本は何も疑わずに診断を大安売りしている現状に首を傾げるばかりです。
消えるアスペルガー症候群 米診断手引19年ぶり改訂で -朝日新聞 2013年4月30日
https://digital.asahi.com/articles/TKY201304290158.html?ref=comkiji_txt_end
(転載はじめ)
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日本でも広く使われている米精神医学会の診断の手引(DSM)が5月に改訂され、発達障害の一種「アスペルガー症候群(AS)」の分類が消える見通しだ。「適切な支援が受けられなくなる人が出る」などの不安が米国で出ており、日本の臨床現場への影響も出そうだ。
ASは、言語発達の遅れや知的障害はないが、対人関係を築くのが苦手なのが特徴で、「アスペルガー障害」とも呼ばれる。「軽い自閉症」と見なされることもあり、19年ぶりに改訂されるDSM第5版では、重い自閉症からASまでを連続的に捉える「自閉症スペクトラム(連続体)障害」に一本化される。
診断に使う項目も改訂版では、「社会コミュニケーションの障害」「限定した興味や反復行動」に絞る。改訂に関わったグループは「第4版の基準は医師によって診断名が違ってくる」などとし、「より正確な診断が可能になる」としている。
だが、米エール大の研究グループが、第4版でASと診断される人のデータを第5版で診断し直したところ、4分の3の人が、自閉症スペクトラム障害に該当しなくなった。
そのため、今後は同じような障害を抱えていても診断で除外され、コミュニケーション技術の支援教育などが受けられない可能性があるという。さらに、現在、ASと診断されている人の間でも、診断名がなくなることへの不安の声が出ている。
日本の発達障害情報・支援センターによると、ASの人は約4千人に1人と言われている。ただ、障害が軽くて厳密には自閉症と診断されないが、ASと似た状態を含む広義のASは、数百人に1人とされる自閉症よりも多いという。
「ニーズに合った適切な支援が望ましい」とされるが、日本自閉症協会会長で精神科医の山崎晃資さんは「臨床の現場でどのような影響が出るか注意深くみていく必要がある」と話す。
発達障害は多様な障害を含み、何度も診察して診断する必要がある。山崎さんは今回の改訂で「よく診察されず、『自閉症スペクトラム障害』と診断される人が逆に増えるかもしれない」といい、適切な支援が遠のく可能性を危惧する。
国立精神・神経医療研究センターの神尾陽子・児童・思春期精神保健研究部長は「診断基準を理解しやすくするため、学会が指針を作成したり、診断が難しい場合に評価、助言をする専門機関を整備したりするべきではないか」と話す。
〈自閉症スペクトラム障害とアスペルガー症候群〉発達障害情報・支援センターによると、
自閉症は
(1)対人関係をうまく築けない
(2)他人との意思疎通がうまくできない
(3)興味や行動がパターン化している
という特徴を持ち、半数以上は知的障害を伴う。
「自閉症スペクトラム障害」は、近い状態を一体として扱う考え方で、日本でも定着してきている。
広い意味で自閉症に含められることもあるアスペルガー症候群は、言語発達の遅れがなく、知的障害も見られないのが特徴だ。
「状態を正しく理解し、個々のニーズに合った適切な支援につなげていく」ことが必要とされる。
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