機内で乗客が倒れて「この中に医師か看護師の方は…」なドクターコール場面に出くわして、近くの座席すぎて、まさか自分がやるとは思わなかった。
結果として私が「対応した」「患者は助かった」
良かった。
具体的に何をやったかはここでは書かない。書けない。
同じ医療者に分かるようにヒントとして「体位」と「バイタル」「フィジカルアセスメント」と「安静経過観察」とだけ書いておく。
機内でドクターコールがあった場合、医師や看護師が取る行動は経験者のアンケート通り80%は経過観察か安静するしか選択肢はない。
機内ドクターコールに応じた医師200人(26%)が実施した処置は,安静を保つが52%,経過観察が33%,内服薬,外用薬使用が17%,注射薬使用が10%
医療コラム『航空機内のドクターコールで問われる医師の法的責任は?』
そもそも機内に使える道具がない。あったとしても確信は持てないので行為のエビデンスが担保されない。
そりゃ80%は安静経過観察しかない。
そもそも機内で仮にバイタルと内服薬から推定できたとしても、確定できないなと、それに対して何が出来るかのリソースがない。選択肢が少なすぎる。
頭の中で疾患関連図が何枚かレイヤーで重なってきたが、最も平凡な選択肢しか使えない。
日本ではドクターコールでどう対応したか?は安易に言わない方がいい
何をやったとしてもクリティカルに「それが正解」にならず、
最も平凡な方法で当たり障りなく対応するが「それだけ?」となり
何かすれば「他の可能性は?」となり、その可能性をやっても「他の可能性は?」で何やっても間違いでキリがない。
検査がないので「分からない」ので行動の不確定要素が高い。
例えば、救急時に「駆血」が先か、「輸液」が先かという選択肢がある。
どっちかやってしまって、どっちかが置き去りされるという、あちらがたてばこちらが立たずなことも起こりうる。
駆血すればあとで「なんで輸液しなかった?」と責められ、輸液すれば「なんで駆血しなかった?」と責められる。
むしろ「緊急時にどんな対応をしたか」を具体的に言うと、
事が終ってから「あれが悪い、ここは悪い」と救助した人の良い動機自体も否定してくる第三者の自称医療警察がやってきて善人の善意をボコボコにして来るので、言わない、書かない方が良い。
「対応した」「患者は助かった」オワリ。これでいい。
例えば、2022年の安倍元首相銃殺事件ですぐ現場で心臓マッサージしてた人もあれも間違い。やってはいけない。
前提の「救助するのに安全な場所」ではないから。まだ二次災害の恐れもあった。
…がそんなことを指摘するのは野暮すぎて、もし放置しても「放置とか何してんねん」と責められる話になるのと同じである。