【概要】
小児期特有の病気。外鼠径ヘルニアの次に多い。
【原因】
臍帯付着部の臍輪閉鎖不全が原因。臍輪の下方には正中臍靭帯(せいちゅうさいじんたい)、
外側(がいそく)臍靭帯があり、上方には肝円(かんえん)靭帯がある。
とくに臍上部が弱く、出生までに臍輪が閉じられない場合、激しく泣くことや、怒責(どせき)(腹部に力を入れてりきむこと)などの腹圧上昇因子が関係して臍ヘルニアが発症する。
発症には人種差がある。有色人種に多い傾向。
正常新生児の5~21%、未熟児は出生体重1000~1500gで84%。
【症状】
安静時に円形のヘルニア門を臍部に触れます。啼泣(ていきゅう)、怒責によりヘルニア門を通り、皮下に腸管が脱出します。
【検査と診断】
指で圧迫すると、腸管はグル音(腸管が腹腔内にもどる時の音)を伴って容易に還納(かんのう)できる。
臍ヘルニアで痛みがある場合、大網(だいもう)がヘルニア嚢(のう)に癒着(ゆちゃく)している。
小児の臍ヘルニアの嵌頓(かんとん)(腸管がヘルニア嚢内に陥入し、腸管血行障害を起こすこと)はまれである。
【治療】
乳幼児期に自然に治る可能性が高いので、まずは手術はせずに外来で経過観察します。生後1年以内に80〜95%が自然に治ります。2歳までに治らなければ外科的治療を行います。成人の場合は、臍ヘルニア内に腸管嵌頓が起こる頻度が高いので、発見次第、外科的治療をします。予後は合併症がなければ良好です。