心理学の歴史を知っていますか?
過去記事
心理学の歴史的変化の図
おおむねこのような形になっています。
通常は新しい方法論の方が、洗練されているので用いられやすいです。
古い方法論は史学として歴史の勉強にはなりますが、臨床現場ではあまり用いられません。
精神病に催眠療法は悪影響
基本的には精神病に催眠療法は悪影響です。
ただでさえ妄想が膨らんでいるのに、更に妄想を膨らませることになります。
かつてアメリカでPTSD患者に対して催眠療法が流行った際、ニセの記憶がたくさん出て問題を悪化させました。
人の記憶は過去の出来事の再合成で出来ています。
つらい記憶を思い出そうと催眠すると、違うつらい記憶まで合成されて出てきてしまうことがあります。
例えば、追われて不快な夢を見た時、それが犬に追われた記憶なのか、親に追われた記憶なのか、映画を見た記憶なのか分かりませんよね?
しかし連想してしまったものをそうだと決めつけてしまうと問題になります。
本当は映画を見ただけの記憶かもしれないのに「昔、親が追いかけてきた」とウソの記憶で悩ませてしまうことになります。
これでは悪化してしまいます。
認知行動療法、NLP、マインドフルネスが認知心理学の新しい方です。
確かに基礎のロジックは古典的な催眠療法からの積み重ねがあります。
しかしむしろ最近はTFTやHGTが再評価されています。
脳神経科学の対立~薬物療法 vs 手術療法~
大雑把に言うと、
脳神経学も「脳の回路派」か「脳の器質派」があります。
前者が神経電気回路を調節=脳内伝達物質=薬物療法。
後者が脳という臓器を変える=手術療法。
後者はロボトミーの悪評で代表されるように長年タブーとされていましたが、最近は再評価されています。
心理治療の対立~苦痛の抑圧 vs 快楽を刺激~
さらに精神心理治療の方向性として
「苦痛を抑制する派」か「快楽を刺激する派」があります。
「過去の後悔を抑制して止める」か「未来の不安を快楽で上書き保存する」
未来への過度な期待は治療上のノイズになるのでNLPやマインドフルネス等の認知行動療法は前者です。
後者はむしろコーチングに近いです。
治療現場で後者が主体で用いられることはあまりありません。
なぜコーチングは治療では使いにくいか?
コーチングは地盤が固まった後の話だからです。
例えば、ロケットの発射台ができる前にロケットを発射すると暴走します。
コンクリートが固まる前の道路を歩きに行ってしまうと歩けなくなります。
例えば数値化すると、
精神病の状態が-100とすると脳神経精神科の薬物療法で-50になります。
心療内科の心理療法も合わせて0になります。
マイナスからゼロへ戻す感覚です。
やっと妄想や感情等を心理コントロールできて会話できるデフォルト状態になります。そこまでいければ万々歳です。
そこから+50とか+100は難しいです。いきなり目指すと破綻してしまいます。