妊婦の保健指導

目的:全期間をとおして妊娠によって起こる心身の変化に対して正しい知識を与え、安全安楽な生活ができるように助言。病的変化の予防と異常の早期発見ができるように自己管理。
※母子保健法第10条において保健指導の実施および勧奨について規定。
あくまでも生理的過程であることを十分認識させ、生理的変化に対して自然に順応していけるように援助。

●妊娠初期
喜びや不安で精神的に不安定に。内分泌の変化により疲労しやすい時期。
①妊娠の届け出と母指健康手帳
市区町村役場へ妊娠の届け出をする義務(母子保健法第15条)
②日常生活全般
規則正しい生活と十分な睡眠。無理な労働、ハードスケジュールを避け、普通の生活をおくるよう心がける。
夫や家族に協力、相談できる関係を作る。
気が滅入ったときは気分転換するよう心がける。
③つわりの予防
食事は栄養価のこだわらず、食べたいときに食べたいものを摂るように。酸味を利用したり口当たりのよい冷たいもの、十分な水分などに配慮し、また起床時、外出時のために常に手元に食物を置いておくことなどを考慮。
④流産の予防
長時間の立ち仕事、重労働、冷え、便秘などに留意。
⑤服薬
身体の調子が悪いときは十分な休養をとり、安易な服薬は絶対しないこと。(自己判断しないで必ず医師から処方されたものを服用)
※死産の届出は7日以内に居住地または死産のあった場所の市区町村役場へ。出産の届出は14日以内に出生地の市町村役場へ。
妊娠中絶の可能期限は妊娠22週未満。

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●妊娠中期
制限は必要ない。食欲亢進による急激な体重増加や活動範囲の拡大などによる転倒に注意。
また胎児が急激に大きくなる時期なので母体の貧血、Ca不足などが起こりやすいことを認識させる。
妊婦体操により分娩のための心身の準備。

①食事
良質な蛋白質、鉄分を含む食品およびカルシウムを多く含む食品を多く摂取する。体重測定を定期的に行いながら食物の量を調整する。
②服装
楽な衣類と安定した靴を選択(腹帯かコルセットを着用し、母体・胎児双方の保護を行う)(妊娠第5月以降)
妊婦用ブラジャーを使用し、乳頭・乳房全体の締めすぎを避ける。(妊娠第4月以降)
③運動と休息
適度な運動と十分な休息・睡眠を生活の中に取り入れる。
妊婦体操を第5月頃から開始。疲労回復・安全・安楽分娩への準備。
妊婦体操:血液循環を良くし、筋肉の疲労を取り、腰痛を予防する身体を動かすことで気分転換を図り、身体の調子を整える腹筋及び骨盤底筋群を柔軟にすることで分娩をスムーズにする。
④母乳栄養について
母乳の利点を説明しできるだけ母乳で育てる心構えを持つ。

(備考補足)
母乳の欠点と利点
◯利点
①赤ちゃんにとって理想的な栄養である
② 免疫物質(IgA)が含まれており病気にかかりにくい
③消化吸収がよい
④アレルギーを起こしにくい
⑤顎の発達がよくなり、歯並びがよくなる
⑥顎や口をしっかり使うので脳を刺激し、発達を促す
⑦子宮収縮を促し、産後の回復がよい
⑧いつも新鮮で清潔、適温、経済的である
⑨スキンシップにより、母と子の情緒が安定する

✕欠点
①ビタミンKの不足
②環境汚染による母乳汚染(ダイオキシンなど)
③母乳性黄疸
④乳頭の手入れ
・乳頭の手入れを行うことにより母乳の分泌がスムーズになり、さらに授乳開始後の乳頭亀裂や乳腺炎の予防になることを認識させる。(乳頭を丈夫し、乳管を開通させる)
・妊娠20週頃から入浴後にコールドクリームを乳頭に塗布し、指先で軽くマッサージする。
・乳頭が扁平・陥没気味の場合はつまみ出すように行うと徐々に突出してくる。

●妊娠後期
胎児の発育により生理的範囲内といえども母体に大きな変化があらわれ、全妊娠期間中最も異常が起こりやすい時期。
妊娠中毒症、早産などに注意。
①食事
塩分の濃いものは極力避けるとともに、体重測定を定期的に行い増加率をチェック。
野菜・果物・果汁を摂取することで便秘予防。
②運動と休養
腹部の突出による妊婦特有の姿勢からくる腰痛の緩和のため、シムス位で十分に休息を取る。
妊婦体操を行い心身を爽快にすると共に積極的に安全.安楽な分娩への準備を行う。
③乳房マッサージ
妊娠34週間頃より乳房全体を軽くマッサージする。1日1回5分程度。(基底部の血液循環促進して乳汁分泌を促す)
マッサージの終わるころに初乳の圧出があれば、乳管を清潔に保ち少し搾り出す。
④分娩、産褥および育児に必要な物品の準備と産後の家族の生活支援体制の準備。
施設により準備品目に違いがあるので外来指導されたものを準備。
産後の手伝いが必要になるので、家族・友人などのネットワークを活用する。
⑤静脈瘤の手当て(分娩時に多量出血や血腫の形成恐れあり)
長時間の歩行、立位、座位を避ける
足を高くして横になりシムス位
勤労妊婦は休息を積極的にとる
弾性ストッキングの着用(静脈うっ血の予防、起床時に着用)
締め付ける腹帯、コルセット、ガードルを避ける
妊婦体操を推奨
分娩後は早期離床をすすめる
四肢を動かして骨盤の血行促進
下肢挙上
急激な体重増加を避ける
カルシウムやビタミンを多く含む食事を摂る

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記事を書いた人



時田憲一(ときたけんいち)こと時ニール(tokeyneale)です(・ω・)ノ
とある国立大学の教育学部/心理発達科学。心理学者・認定カウンセラー。動機付け理論・自己愛・対人関係が主な研究領域。数理統計データサイエンティスト。
ねこ好き・本好き・禅好き・PC好き。

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