私の実家では「やにこい」という言葉が出てくる。
標準語ではないので気になっていた。
私が生活の中で分析していくと
・古い
・細かい
・面倒くさい
の3つの条件がつくと「やにこい」という言葉が使われている。
例えば、私の父は「やにこい男」と言われる。
セロハンテープが必要になった時「壁のメモを留めてあるセロテープを剥がしてもう一度使え」と言う。
そのセロテープはすでに15年以上も前のものである。
さっさと新しいセロハンテープを使わせてくれればいいのに。
古く、細かく、面倒くさい。
こういう時に「やにこい」という。
全国方言辞典によると
●やにこい
京都府・・壊れやすい。ひよわい。
兵庫県・・弱々しい。
奈良県・・粗悪で貧弱な。
和歌山県・・ものすごい。
●やねこい
石川県・・汚い。むさ苦しい。
岐阜県・・やりにくい。
愛媛県・・めんどう。気難しい。汚い。
となっている。
主に関西圏を中心に「やにこい」は「弱い」というニュアンスで使われている。
派生は同じ語として「やねこい」は「汚い」「面倒」というニュアンスで石川県と岐阜県と愛媛県で使われている。
おそらく愛媛県は関西圏と近いので海を渡って行ったのだろう。
岐阜県と石川県も関西圏から飛び火したと推測される。
昔から脂(あぶら)は「やに」(松脂などの天然樹脂のこと。タバコを吸ったときにたまる褐色の粘液。)とも呼ばれ、これが「濃い」ので、「やにこい」となったのだと考えられる。
私の生活の中で出てくる「古く、細かく、面倒くさい」というニュアンスと少々異なるが、概ね同じであった。
「弱く、汚く、面倒くさい」という意味なのだ。