なぜ日本は「高い給料」よりも「同一労働同一賃金」が好きなのか?

例えば、日産が全契約社員を原則正社員にしました。

これには「すごい!日産!みんな正規職員にするなんて!素晴らしい!」と絶賛の声が上がりました。

私もすごいとは思いましたが、目先は良くても日本の未来にとっては暗いニュースだなと感じました。

元・日産社長のカルロス・ゴーンのように「欧米型の多額報酬で夢見る経営スタイル」から「全員正社員にして一律に賃金を非正規並に引き下げ+出世昇給なし」にする日本型に向かった瞬間でした。

正社員と非正規労働者との間の政府が提唱する「同一労働同一賃金」の原則に

→日産が全契約社員を原則正社員に、財務に余裕で人材確保へ https://bloomberg.co.jp/news/articles/2021-01-18/QN3U7BT0AFBB01

元々カルロス・ゴーンは数十億円もの報酬を得て「欧米型の多額報酬で夢見る経営スタイル」を日本で実践して日産を立て直してきました。

日本の経団連ではトップでも社長上がりなので年収では数億がせいぜいです。

そこに欧米型を導入したのでひどく嫌われました。
結果、日本政府にも嫌われて冤罪逮捕されるということになりました。

そして今回「全員正社員にして一律に賃金を非正規並に引き下げ+出世昇給なし」という日本式に日産は戻されてしまったのです。

「同一労働同一賃金」と聞こえは良いですが、これは「給料を正規並みに上げる」のではなく「賃金を非正規並みに下げる」というのがほとんどです。

つまり日産はこれからもっと伸びなくなってしまいます。


なぜ日本人は非正規雇用を受け入れないのか?

なぜ日本人は非正規雇用を受け入れないのでしょうか?

その秘密は行動原理になります。

例えば、持ち家の不動産です。
日本は不動産がそのまま一生の負債になるので、その場での安定を求めます。
なので収入が低くても正規職の安定を取るのです。
賃金が低くても福利厚生が良い方を選んでしまいます。

欧米のように不動産価値を上げて→売って→移住して→新たな雇用契約を更新する
非正規の雇用形態は合ってないし、エートス(行動慣習)が受け付けないのです。

このように「奴隷根性に特化」したのが日本人なので、一生かかってもこの集団行動は変わらないまま損をし続けるのです。

(参考)
「追われる国」の経済学: ポスト・グローバリズムの処方箋