コロナウイルスで分かれた2つの派閥が「本物の政治思想」を教えてくれています。
「福祉派 vs 経済派」という対立です。
ひいては「規制・増税派 vs 緩和・減税派」です。
これが世界学問の共通認識での「左翼 vs 右翼」の対立です。
世界が同時に同じ対立構造で悩んでいるので、いい機会なので学んでおきましょう。
規制・増税派の主張(左派)
コロナは主に高齢者や高血圧や糖病など免疫力の弱い人が重症化しやすいです。
現役の労働者や若年層は比較的に罹(かか)りにくく、罹っても無症候性で症状が出ないか、インフルエンザ程度の風邪症状で終わります。
しかし「ウイルスが弱いから」「罹(かか)っても大したことないから」と、症状の自覚のないまま、不特定多数の高齢者や病人に感染拡大させてしまうことが問題です。
なので現役の労働者や若年層もステイホームで家にいて、移動せず、仕事なども在宅テレワークにして経済活動を自粛するように国から規制を促されています。
これで高齢者や病人の命は守られます。
これが税金で行う医療や福祉を最大限に活かした方法です。
・高齢者や病人を守ろう
・医療や福祉のために増税しよう
・無自覚に感染拡大させないように経済を自粛しよう
・経済を自粛した分は給付金で補おう
・みんなでワクチンを注射して免疫を獲得しよう
これが増税での医療や福祉を重視する=左翼(リベラル)の立場です。
緩和・減税派の主張(右派)
これに対して規制・増税派の主張は、「仕事が自由にできない」「働けずにお金がない」ので、
・行動自粛せずに自由に仕事しよう
・経済悪化した分は負担を軽くする減税で補おう
・みんなでウイルスに罹って集団免疫を獲得しよう
となっています。
これが減税での経済の自由や規制緩和を重視する=右翼(コンサバティブ)の立場です。
アメリカの場合は?
2020年上半期のアメリカの場合、トランプ大統領という共和党(右派)の大統領だったので、当然「緩和・減税」の主張を取りました。(右派的な行動)
一時的に非常事態宣言を出したものの、感染者数が増え続けようとも、マスク着用を支持せず、減税や経済活動を最優先にしました。(右派的な行動)
FRB(アメリカ中央銀行)がドルのお札を無制限に刷る金融緩和をして、苦しい企業に対しては補助金・給付金を出しました。(左派的な行動)
日本の場合は?
同時期の日本の場合、安倍首相はアメリカに追従して緊急事態宣言を出して行動の自粛を最優先しました。(左派的な行動)
すでに2019年の消費税10%で大赤字が出たのに、減税を一切しませんでした。(左派的な行動)
日本銀行が円のお札を無制限に刷る金融緩和をして、苦しい企業に対しては補助金・給付金を出しました。(左派的な行動)
何が違うのか?
一言でいうと日本は「減税」がないということです。
アメリカの場合は、政治的な右派の立場を貫徹しています。
しかし一方で、企業に対して給付金を行うという財政出動的な左派の行動も取っています。
日本の場合は、すべて増税を貫徹して、規制をしていくという左派の行動をとっています。
しかし個人や医療や福祉に対して十分に補助金や給付金でお金を拡充させたわけではありませんでした。
これは右派以前の、左派でもなく、もっと悪質な独裁の「全体主義」と言います。
いびつなねじれ現象
なぜか左派独裁の行動をする自民党安倍政権に対して、支持者は右派(保守)の行動だと意味不明なまま信奉し、
左派の牙城である日本共産党が、アメリカの共和党(右派)と同じように「減税」を叫ぶという、いびつなねじれ現象が起こっています。
共産党は、医療と福祉での福祉国家を理想とするので、増税は外せないマニフェストです。
だから今まで増税反対とは言っても、減税とは言いませんでした。
日本の自民党が自称保守右派を語りながら、一党独裁の中国共産党や北朝鮮と同じような全体主義の行動を取り、
日本共産党は自称左翼左派を語りながら、アメリカの共和党のような純粋な資本主義を目指そうとする。
福祉と経済は両立することもできる
さて、そもそも政策として福祉と経済は両立することもできます。
アメリカや世界各国がやっているように減税しながら、緩和もして、給付もすればいいのです。
アメリカの右派に言わせれば、医療や福祉は国の税金の増税に頼らなくても、経済活動が潤えば、投資する人が出てくるという論理です。
だからアメリカの共和党支持者や議員でも、医師で医療や福祉を支援している人もいます。
なのでそもそも「医療や福祉は必要ない!」という論理は成り立ちません。
そもそも医療や福祉職は本当に必要か?は前の記事で書きました。
例えば、レーサーのサーキットをイメージしてください。
ピットと呼ばれる車両を整備する場所があります。レース中にそこに入ると、大急ぎでピットクルーが、タイヤ交換したりして車を整備してくれます。医療や福祉職はそれと同じです。
サーキットのレーサーが一般的に社会で働くサラリーマンなどの一般労働者。
サーキットのピットクルーが医療福祉の従事者です。もしピットがないままレーサーがサーキットをやったらどうなるでしょうか?
故障やクラッシュをしたらレースに復帰できません。
ナイチンゲールが登場するクリミア戦争の頃、1850年頃までは負傷した人(軍人)はもう放っておかれて死ぬだけだったのですが、直して修理して再度レースに参加したほうが全体の経済効率が良いと証明されました。医療や福祉職は「本来ある力」を失ってしまった場合に、それを支援・整備して助けています。
同時に、「どこを整備すれば、また走れるようになるだろうか」と発見・発掘することも医療福祉職の役割です。
おわりに
日本人はちょうどコロナを通して「規制・増税派 vs 緩和・減税派」という本物の対立構造を学ぶことができました。
日本もいよいよ「減税」こそが、本当の自由思想の根本であると知る必要があります。