「他力本願」と「甘え」は誤用されやすいワードのトップクラスです。
「他力本願」は人に頼ることではなく「仏様に任せる」こと。
「甘え」はわがままで勝手に振る舞うことではなく「周りに好かれたいとする感情」。
どちらも悪い意味では全くありません。
なぜ日本は「良い」意味の言葉が悪い意味に転じてしまうのか?
元々は良い意味だったのに、悪い意味に転じてしまう言葉には共通点があります。
それは「自分以外に頼る」「他人に頼る」という意味を連想させる単語です。
「他力本願」も「甘え」
他力=仏様に、本願=救済を望む。
甘え=周りに好かれたい感情。
「他力本願」はいわば「世界平和・世界救済」のような意味。
「甘え」はいわば「愛着」という意味です。
どちらも何の否定される要素もない。素晴らしい意味です。
集団から抜きん出ても悪い意味にされる
「破天荒」(はてんこう)という言葉も誤用されやすいです。
破天荒は、「誰も成し得なかったことを成し遂げること」が正しい意味です。
例えば、「研究でノーベル章まで取る破天荒な人だ」と使います。
とても素晴らしい良い意味です。
しかしなぜか「荒っぽい性格の人」「わがままな性格な人」と誤用されています。
これも「出る杭は打たれる」という「でしゃばり」という悪い意味で誤用されている例です。
日本では集団の「空気」のカウンターを食らう
日本では「空気」のカウンターを食らって悪い意味として変質しているのです。
どの言葉も「集団の空気に逆らう」という意味合いを含んだようなニュアンスがあると、悪い意味に誤用する人達がいるのです。
本来良い意味であったはずの「他力本願」や「甘え」や「破天荒」。
「他人に頼ることは良くない」という善悪二分法の日本の世間の価値観から流れ出た「空気」のカウンターを食らって変質をしています。
今これが誤用だと言える人がどれだけいるでしょうか。
「もう転じてるからそれで良い」という「空気」に流されているのではないでしょうか。