前回(↓)の続きです。
アルツハイマー型認知症の症状と進行1~体験当事者として経緯と症状~
https://libpsy.com/ninnchisyou1-alzheimer/2090/
認知症診断に抵抗があったので、先に介護認定をした
本来ならもう病院へ行き、認知症と診断してもらって薬を飲むのですが、この程度ならまだそこまでは早いかな…と感じ、先に要介護認定を取っておこうと思いました。
「介護度はこれくらいだよ」という要介護認定をしておくことで介護保険サービスが利用できます。
「あっ介護が必要そうだな」と思ったらこれだけでも先にやっておくといいです。
先にやっておくメリットとしては、
- 今後の施設入所・通所がスムーズになる
- いきなり寝たきりになった場合など、いざというときに介護ベッドが使える(まともに買うと高すぎます)
- 福祉用具などが借りれる
が一番大きいです。
認知症と診断されると「精神障害者保健福祉手帳」が取得できますが、「障害者」という響きに抵抗ある人は、それならあえて申請せずに先に「要介護認定」だけを受けておくこともできます。
今回の場合、どのみち認知症と診断されなければ、精神障害者保健福祉手帳の取得も無理なのです。
精神障害者保健福祉手帳のメリットは、所得税、住民税、相続税の控除や自動車税の軽減、生活福祉資金貸付、使用料割引などあります。
しかし認知症の場合、そんな税制上の負担軽減のことより、介護負担軽減のための要介護認定の方が重要です。
私一人で役場の福祉・健康保健課(市町村によって名前は違いますが大体こんな名前です)に相談へ行き、
自宅に要介護認定の調査員(介護支援専門員=ケアマネージャー)さんに来ていただき判定してもらいました。
まだこの時点で認知症の診断を受けていませんでしたが、要介護2と判定されました。
(※)要介護は1~5まであり5ほど重い。軽い要介護1以下には、更に軽い「要支援」というのもある。
要介護度2は、中程度の介護が必要な状態で、一人で立ち上がったり歩けないことが多い、排泄や入浴などに一部または全介助が必要な状態です。
例:要介護2の場合
1日1~2回程度のサービス
週3回の訪問介護
週1回の訪問看護
週3回の通所系サービス
3カ月に1週間程度の短期入所
福祉用具貸与(認知症老人徘徊感知機器)
まで受けられます。
要介護認定をすることで、別に絶対に利用するわけではなくても、利用する間口だけは開けておいたほうがいいです。
一番困るのは急に進行していきなり施設利用することになったり、いきなり倒れて介護ベッドが必要になった場合です。
どちらとも高額の出費になりますし、それから要介護度認定を受けようとすると、公務員仕事なので半年後に結果が来たりします。
公務員ならではですが、今すぐに必要という時に、ものすごく仕事が遅いのです。
学校で受けた教育に反して、明日提出の宿題を半年後に提出するのが、お役所仕事の構造なのです。
転ばぬ先の杖で、最初から要介護度認定は受けておきましょう。
脳神経外科・物忘れ外来(認知症外来)へ行こうと決めた瞬間
私がいよいよこれはまずいぞ、と確定的に思ったのは「薬を飲み忘れていた」ことです。
それまで祖母は血圧調整の薬だけ飲んでいました。
毎月1回、「薬を病院へもらいに行きたい」と言うので、「さすが看護師。痴呆症状が出てきても薬の管理は忘れないのだな。」と思って送迎してたのですが、
もらった薬は全く飲まれることもなく、1年分押入れに放置されていました。
なんのために薬をもらいにいっていたのか、そのことすらも忘れていたのです。
内科病院の奇妙な処方箋
いつもかかっている病院の内科に「認知症のような症状が出ている」と話したところ、NMDA受容体拮抗薬のメマリーという錠剤を処方されました。
CTも何も脳内の検査をせずにです。
私は「なんで脳内の画像を見ることもなく、見た感じだけで認知症と断定して処方できるんだ‥?」と疑問に思いました。
そこで薬を飲み始める前に、セカンドオピニオンとして他の脳神経外科・物忘れ外来(認知症外来)に受診してCTを撮った所、確かにアルツハイマー型の認知症でした。
しかし、当時まだそんなに進行していなかったので、軽度として絆創膏のように貼るイクセロン(※)というパッチ型の薬を処方されました。
認知症の薬で錠剤をイメージしていたのですが、初期は単に体に貼るだけの絆創膏だったのでほっとしました。
(※)イクセロンは海外のオリジナル、リバスタッチは国内のジェネリック薬品です。成分は同じです。
脳内のアセチルコリンエステラーゼ(AChE)やブチリルコリンエステラーゼ(BuChE)などの酵素が必要以上にアセチルコリンを分解してしまうのがアルツハイマー型認知症の原因の一つです。
アセチルコリンエステラーゼやブリチルコリンエステラーゼの酵素を阻害するのがリバスチグミン(イクセロン・リバスタッチ)という薬です。ブリチルコリンエステラーゼ阻害薬と呼ばれます。
調べてみると「メマリー」は「認知症治療薬の併用剤」でした。
つまり何か他の認知症薬と一緒に飲むのです。グリコのキャラメルのおまけのようなものです。
確かに軽度の認知症でも興奮症状が高い人にはメマリーは単剤投与することはあるようです。
それでも普通は
軽度の認知症は、コリンエステラーゼ阻害剤であるパッチ型のイクセロンやリバスタッチから始め、 中度の認知症から、メマリーを併用して継ぎ足し、 重度の認知症になったら、主要薬剤はアリセプト(ドメペジル)になり必要に応じてメマリーも継ぎ足していく
・・がスタンダードです。
第一三共株式会社のホームページによると軽度認知症患者に対するメマリーの単剤投与の臨床効果は証明されていないようです。
メマリーは軽度アルツハイマー型認知症には効果はないのですか?
→効能効果を取得していません(第一三共株式会社 公式)
https://www.medicallibrary-dsc.info/di/faq/memary.php
なんでそんな科学的に無根拠のことをしたのか、軽度認知症患者に検査もなしにいきなりメマリーを単独で処方した病院に対して疑念を隠しきれませんでした。
おそらく保険点数がそちらのほうが高いので、病院が儲かる薬を出したのだろうと思います。
認知症の薬物療法を開始してから(イクセロン・リバスタッチを貼り始めてから)、1ヶ月ほどで幻聴や幻覚は少なくなりました。
実際には少なからず幻覚や幻覚はあるのですが、興奮して真夜中に起こしに来たり、近所に電話をかけるなどの行動化することは激減しました。
会話も理性的にできるようになりました。
ただ普段は「何もしない」でぼーっとテレビを見続けるだけになり、私はこれはこれでまずいぞ、と感じるようになりデイサービスに通ってもらうことにしました。
アルツハイマー型認知症の症状と進行3~介護保険福祉サービス利用と自宅生活~