ベトコンラーメン食べていました。ベトコンラーメンは中部地方発祥のラーメンです。
味噌味がベストです。
カリカリの揚げニンニクにシャキシャキのもやしとニラ野菜。すり鉢の器に味噌ゴマスープが奥深い。ご飯が合う。美味しすぎる逸品。
ベトコンラーメンは「ベストコンディション」の略と言われていますが本当にそうでしょうか?
それだったら「ベスコン」になっていないといけません。明らかにおかしいのです。調べてみました。
ベトコンラーメンの発祥と由来
「ベストコンディション」の略だといつの間にか言われてるベトコンラーメン。
私は中部地方の生まれなのですが幼少期の20年以上も前から「ベトナムのラーメン」と聞かされて育ち、「ベストコンディション」の略なんて話を聞いたことはありませんでした。
スマホが普及して口コミが広がってご当地グルメのラーメンブームの2015年頃から急に「ベストコンディションの略だよ」と聞くようになりました。
発祥は愛知県の中華店。店主の方のゆかりで昭和44年(1969年)に看板メニューとなった中国満州由来だそうです。
しかしメニューとして登場した1969年。
1960年頃から1975年頃までのベトナム戦争のベトコン Viet Nam Cong San(ベトナム共産勢力 Vietnamese Communists)の背景と一致します。
さすがに無関係ではないと感じます。
やはり「ベトナムのラーメン」だろう
ベトナム戦争で戦闘中のベトコン(南ベトナム解放民族戦線)の勇敢な姿を見てベトコンラーメンと名付けた。戦闘が激化すると食事の名称にふさわしくないと考えてこの由来を否定した。客が「食べると体調が良くなる」と語ったことからベスト・コンディションの略であると説明
wiki
ベトコンラーメン
引用はウィキペディアですが、新聞の裏取り記事があるのでおそらくこれが正しいでしょう。
本来は「ベトナム共産主義ラーメン」の由来であったが、戦争が激化したら不謹慎になって由来を変えた。
当時、60年代の日本では日本中で共産主義が流行っていました。ベトナム戦争でもアメリカよりベトナムの味方の世論が強くありました。
実際にアメリカが負けたわけですが。
なのでベトナム共産主義者を応援しようとベトコンラーメンと名付けた経緯はものすごく分かります。
戦争を憂いて応援しようと国の名前を冠することはよくあることです。
たださすがにダイレクトにはアクが強すぎる呼称なのです。
「ベトナムラーメン」であれば「台湾ラーメン」や「中華そば」のように問題なかったのですが、「コン(Communism:共産主義)」をつけたのが衝撃です。革命的です。
ベトコンの単語自体に差別的な意味合いはありません。しかし「ベト=ベトナム、コン=共産主義」という政治的な意味合いは強くあります。
ベトコンラーメンの名前が奇跡的に回避している
疑問は「ベストコンディション」の略が「ベスコン」になっていないことに加えて
「なぜベトコン=ベトナム共産主義なのに、呼称は自由主義陣営(当時)から見た英語ヨコ文字なんだ…?」という違和感です。
日本式のスタンダードな醤油・味噌・とんこつ・塩ラーメン以外を除けば、
中国発祥のラーメンなら「タンタンメン」とか「チャーシューメン」とか「パイタンメン」とか「中国読み」になっていないとおかしいのです。
これは元は中国語で「越共拉麺」だったとしても語呂音韻がほぼ「ベトコンラーメン」で同じだから幸いにも回避できたのでしょう。
例えば、回鍋肉(ホイコーロ)を日本で「回し鍋お肉」と呼ぶ人はいません。中国語のままホイコーロと呼びます。しかし英語では「Twice-cooked pork(トゥワイスクックド・ポーク))」です。
仮に、越共回鍋肉(ベトコン・ホイコーロ)という商品を開発していたとしたら、日本語でそのまま呼称でも、英語にしたら「Viet-Cong Twice-cooked pork」(ベトコン・トゥワイスクックド・ポーク)になるので、「ベトコンポーク」と略しても言い訳ができません。
奇跡的に「越共拉麺」「ベトコンラーメン」は、中国語でも日本語でも英語でも「ベトコンラーメン」と同じ発音をするために、後付けで「ベストコンディションだ」と言い訳できる余地が生まれたのでしょう。
「ベストコンディション」なんて言わず、そのまま隠しながら「ベトコンラーメン」の名前を残してほしい
ただ実際にベトナム戦争ではベトナム共産主義がアメリカに勝ったわけで。「ベストコンディションだ」と西側諸国に忖度してアメリカ英語の変な言い訳した隠し方をしなくても良い気がします。
政治時代背景や民族的誤解を背景に名付けられた食べ物はいくつもあります。
・奴隷制の中でアフリカ系アメリカ人の伝統料理を「ソウルフード」音楽を「ソウル」と呼ぶように。
・娼婦の片手間のパスタを「娼婦風パスタ(プッタネスカ)」と呼ぶように。
・税金に反対するアメリカ保守系運動をボストン港紅茶投げ捨て事件から「ティーパーティー」と呼ぶように。
・ベーコン+ポテトの炒め物(シュペックカルトッフェル)を「ジャーマンポテト」(ドイツポテトではなくゲルマン民族ポテト)と呼ぶように。
・日本人を大量虐殺した広島長崎の原子爆弾。アメリカではその第二次大戦の戦勝記念酒を「アトミック・カクテル」と呼ぶように。
戦勝祈願の由来で実際にベトナムが勝ったので、そのまま「ベトコンラーメン」(ベトナム共産主義ラーメン)で良いのではないでしょうか。