2019年10月22日、平成の明仁(あきひと)天皇が上皇として生前退位され、令和から徳仁(なるひと)天皇の即位礼正殿の儀の大嘗祭(だいじょうさい)が行われます。

天皇の即位の衣装の麁服(あらたえ)と呼ばれる麻の織物です。

この衣装は徳島県の古代氏族・忌部(いんべ)家の者が作ると伝統的に決められています。

忌部家は徳島県の剣山の麓(むもと)に家を置く一族です。

忌部家は徳島県の剣山の麓にあるということで、日ユ同祖論で徳島県の剣山の「失われたアーク伝説」を知っている人だとピンとくる人がいるでしょう。

ただここでは「失われた十二支族のカド(帝)が徳島県の剣山でアークを隠した」という日ユ同祖論はややこしくなるので言及しません。あくまで純粋に古代氏族の忌部氏について書きます。


忌部氏の先祖

日本神話、古事記に出てくる布刀玉命(ふとだまのみこと:フトダマ)を先祖とする古代氏族です。

忌部氏の先祖である布刀玉(フトダマ)は、日本の最高神である天照大神(アマテラスオオミカミ)が天の岩屋(あまのいわど)に隠れた際、天児屋命(あまのこやねのみこと:中臣氏=藤原氏の先祖)と一緒に、出てくることを祈祷したとされています。

忌部氏の意味

「部」と付く名字は昔の朝廷に属していた高級な役職を示しています。

忌部氏の場合、忌む部、つまり「ケガレを忌む」と書きます。
これは斎戒(さいかい)と言って「心身を清める役職」という意味です。
現在は忌部氏は「斎部(さいべ)氏」と一部改称しているのは斎戒していたがためです。

主に天皇の持ち物を揃えていました。

忌部氏には、
・玉を納める出雲忌部(島根県)
・木を納める紀伊忌部(和歌山県)
・木綿・麻を納める阿波忌部(徳島県)
・盾を納める讃岐忌部(香川県)
の4種類があります。

どれも朝廷の装飾品や建物を作る「工人」であることに注目です。


渡来人を「すごい!」と言いまくる忌部氏

平安時代の神道資料「古語拾遺」(こごしゅうい)では主に渡来人との外交関係が書かれています。

神社検定公式テキスト9 神話のおへそ『古語拾遺』編 (扶桑社BOOKS)

「古語拾遺」は、官人であった忌部家の斎部広成(さいべひろなり)が書いたものです。

忌部家の斎部広成は日本の古来氏族です。

しかし「古語拾遺」の中で、意外にも「渡来人が律令制の時代に漢語が読めたので朝廷の重要な役職で重宝されていた」と渡来人のことを主として好意的に書いています。

加えて「渡来人はこんなに国家に貢献しているのに、なんで渡来人の氏族の神社は国家的祭祀を受けてないんだ!」とまで問題提起しています。

なぜここまで忌部氏は、渡来人を擁護しようとするのか?

それは忌部氏の更に前の先祖に秘密があります。

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古代日本の起源と歴史