入院拒否の感染者に懲役刑~感染症冤罪が生まれる~

医学

入院拒否の感染者に懲役刑

政府は13日、新型コロナウイルス対応を話し合う与野党との連絡協議会で、感染症法改正により、入院拒否の感染者に対して1年以下の懲役または100万円以下の罰金を想定していると説明した。

政府、入院拒否のコロナ感染者に懲役刑想定 2021/1/13 16:13
https://this.kiji.is/721985680068526080

「そもそも病院に入院できない状況なのに患者が拒否したら懲役刑!?意味不明だ!」と飛ばし読みしてしまうところですが、
入院希望どころか「反抗的に拒否」しているなら問題です。

ただこの問題の本質は「感染症冤罪が生まれる」ことです。

刑事罰は重い

なにより刑事罰は強すぎます。

大前提として
・本人は感染症にかかりたくてかかったわけではない
・職場や家族等と離れられない理由があって拒否する可能性もある

起こしたくて交通事故を起こして刑事罰を受けたがる人はいません。

感染症も交通事故と同じく行政罰のように非犯罪化すべきです。

問題は、ペナルティを科す(課す)ことが必要最小限なのかどうかです。
ペナルティを科す(課す)ことで、萎縮してしまい、かえって病状を申告しなくなるのではないか、入院中の生活費などをどうするか、などの問題が生じます。また、そもそも入院したくても入院できない場合もあるとの指摘もあります。
(中略)
結局のところ、前者については「安心して療養できる環境を作る」、後者については「入院や療養できる施設を確保する」ことに尽きるのではないかと思います。
こうした状況が整っていない段階で罰則だけできるのは、あまりにも国民の生活を制限しすぎるきらいがあります。

さらに、刑事罰というのはいわゆる前科にもなり、やたらに使うのは強すぎるといえます。
交通事故などでは、行政罰を使い、一定の類型では非犯罪化することで均衡を保っています。
――広く一律に刑事罰を科すとしたら、必要最小限な手段といえるのか疑わしいということですね。

そこで、たとえば、次のようなメリハリのある施策が必要と考えます。
(1)入院していてかつ医師から外出禁止が出ているにも関わらず抜け出したような、積極的に蔓延させたと評価できる場合に限定して刑事罰を科す
(2)入院施設などを一定以上確保することを先行させ、施設が充実してから入院拒否の罰則を導入する
(3)疫学調査は、例えば重症化リスクの高い集団との接触の有無などに絞って罰則を導入する(今年に入って国立感染症研究所が改定した実施要項なども参考になります)
(4)事項によっては、法的権限を明確にすることを目的とし、罰則までは設けない

新型コロナ「入院や調査の拒否は犯罪」感染症法改正で刑事罰は必要か…正当性を考察 2021年01月13日 12時04分
https://www.bengo4.com/c_18/n_12320/

拡大解釈されて冤罪の温床にされる可能性

懸念される「感染症冤罪」とは、「感染症にかかっていることにされて、入院拒否して逮捕される」ということです。

例えば
「感染しています。入院しましょう。」
→してないけど。なんで?
→入院拒否
→懲役刑

と冤罪の温床にならないか危惧します。

個人の自由意思決定への国家の法的な強制介入になっているからです。

今後、国は安楽死や尊厳死と同じような論理で拡大解釈され、
「あなた以外の誰かもあなたの自己決定権をもつ」と拡大解釈されていくと、
見ず知らずの全然知らない人から自分の病気の意志まで勝手に決められるようになっていくことが懸念されます。

「死の自己決定権」の議論~ALS患者嘱託殺人事件を受けて~

タイトルとURLをコピーしました