最近「コロナは単なる風邪」という主張を聞きます。コロナ対策は「過度に怖がる必要はないが、予防することに越したことはない。」です。

しかし「コロナは単なる風邪」はあまりに暴論です。

「コロナは単なる風邪」という主張を一発で論破する方法を紹介します。

「ではその風邪の”原因”を治す方法を教えて下さい。」

こう聞けば完結します。

結論から言うと「コロナは単なる風邪」という人は、
・結果だけ見て原因を無視している。
・「疾患」(原因)と「症状」(結果)の区別がついていない。

です。

一番コロナが危険なのは「致死率の高さ」と「治療法が確立されていない」ことです。

症状として「よくある風邪」でもいいですが、
「治療法がない」ので「一方通行」でブレーキがついていないのです。

コロナはよくある軽自動車と同じ。しかしブレーキはついていない。


「コロナは単なる風邪派」は2020年2月の古い情報を引用している

「コロナは単なる風邪」と言っている人が教典のように引用してくるのが、まだ日本で流行していない2020年2月中旬頃の厚生労働省の当初での見解です。

現在はこの資料は厚生労働省からのページからも削除されています。

なぜか削除された資料を「厚労省も風邪と言っている!」と引用してくるのです。

まだ日本で流行る前の資料にせよ、

ここでは「ウイルス性の風邪の一種」と書いています。

表現としては正しいです。

しかし問題は「コロナは風邪」という人は

「風邪の一種」のところだけ強調して、その前の「ウイルス性の」という部分の意味を知らないのです。

最新の定義はどうなっているの?

最新の厚生労働省の定義を引用しましょう。

問1 「新型コロナウイルス」とは、どのようなウイルスですか。
「新型コロナウイルス(SARS-CoV2)」はコロナウイルスのひとつです。

コロナウイルスには、一般の風邪の原因となるウイルスや、「重症急性呼吸器症候群(SARS)」や2012年以降発生している「中東呼吸器症候群(MERS)」ウイルスが含まれます。

厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q2-1

厚生労働省のページには上記のように書かれています。

コロナウイルス=風邪
と勘違いする人が増えたためか、
一般の風邪の原因となるウイルス
と「原因となる」とわざわざ丁寧に書き加えてくれています。

コロナウイルスと急性呼吸器症候群(COVID-19、MERS、SARS)はコロナウイルスなので同列に扱うのは当然です。

では

一般の風邪の原因となるウイルス

とはなんでしょうか。


一般の風邪の原因となるウイルスとは?

一般の風邪の原因となるウイルスというのは
一般の風邪の原因となるウイルス、つまり風邪症候群の原因(病原体80~90%を占める)ライノウイルスやコロナウイルス、RSウイルス。
あるいは夏風邪で代表的なアデノウイルス(プール熱)、コクサッキーウイルス(手足口病)、エンテロウイルス(ヘルパンギーナ)。

これらをすべて含んでコロナウイルスなのか?
ライノウイルスもコロナウイルス?
インフルエンザウイルスもコロナウイルス?

そういうわけではありません。

これらは検査で判別が可能だからです。

まだコロナウイルスは、他のウイルスとの鑑別方法や全貌がはっきりわからないために、
症状として「風邪」が出ていれば、コロナウイルスも前提として考えるという意味です。

一般的な症状は発熱、頭痛、悪寒、咳喉、の痛み、倦怠感、筋肉痛、息切れ、呼吸困難などがあります。

これらの「風邪症状」が出ていたら、即コロナウイルスだ!
・・というわけではなく、感染症迅速検査をして鑑別していきます。

コロナウイルスの場合、

・味覚障害や嗅覚の障害の有無
・発熱が7日以上継続しているか
・起き上がれないほどの強いだるさがあるか
がポイントとなり、肺炎があれば可能性は高まります。

なので風邪症状=いきなりPCR検査(コロナウイルスの検査)をするわけではありません。

上記の症状が出ていたらコロナウイルスの疑いをするということです。

「疾患」と「症状」の区別をつけよう

「ウイルス性の」ということはウイルスが「原因」で、風邪の症状が「結果」で起こるということです。

医療従事者であれば当たり前の基礎知識ですが「疾患」と「症状」は違います。

中心となる「疾患」があって、その周辺に「症状」があります。

例えば、
「お腹が痛い」という「症状」があって、その「原因」の「疾患」が盲腸。
「出血」という「症状」があって、その「原因」が交通事故による損傷・骨折。

高熱、全身のだるさ(倦怠感)、食欲不振、頭痛、関節痛・筋肉痛の「風邪の症状」があって、その「原因」が「インフルエンザ」。

ではコロナウイルスでは?

同じよう「風邪の症状」があって、その「原因」が「コロナウイルス」なのです。

なので「風邪の症状」を治しても、根本的な治療にはなっていないのです。


考える順番がおかしい

「コロナは風邪だから治る」という人は、

例えば
「がんで心臓が停止したから、がんではなく単なる心臓病なんだ」
「事故で出血死したから、事故死じゃなくて出血死なんだ」

「火事で煙が立ったから、火事ではなくて単なる煙なんだ」
というのと同じです。

だから、
「がんは問題ではなく、心臓病だから心臓病の薬で簡単に治る」
「事故は問題ではなく、出血を包帯で止めれば簡単に治る」

「火事は問題ではなく、煙を止めれば消火できる」
というトンチンカンなことになるのです。

火事で例えると、
コロナは風邪
→「火事で煙が出たから、火事ではなく単なる煙」
コロナもインフルエンザも同じ
→「火事の煙も、タバコの煙も同じ」

肺炎の風邪は治る
→「火事は問題ではなく、煙を止めれば消火できる」

疾患と症状、原因と結果の区別がついてないので、本末転倒なトンチンカンな思考をしています。

そして「がんなど存在しない」「事故など存在しない」という本末転倒の結論に至ります。

病気には原因があって結果があるのですが、「コロナはただの肺炎だから簡単に治る説」は、

「結果しか見ていない」ので、「原因が消えている」のです。

肺炎を誤嚥性肺炎と勘違いしている?

コロナウイルスによって「肺炎」が起こりますが、これで「肺炎だから治る」と軽率に勘違いしている人もいます。

これも「ウイルス性肺炎」を「誤嚥性肺炎」と同じという勘違いから来るものです。

誤嚥性肺炎は、
食べ物が肺に落ちて→肺炎になります。

しかし同じように
コロナウイルスが肺について→肺炎
ではありません。

ウイルス血症で血を通して肺を内部から損傷することでの肺炎です。

これを「ウイルス性肺炎」と呼びます。

同じ肺炎でも原因が全く違います。

炎症を起こす=発熱等の感冒(風邪の)症状は共通です。

しかし原因が全く違うのです。

ウイルス血症だと感冒症状(風邪症状から)
敗血症
播種性血管内凝固症候群(DIC)

に伴う肺炎や脳梗塞や腎不全等の各臓器損傷。

これが後遺症になり得ます。
だから「ウイルス性」というのは危険なのです。


風邪の原因を特定するのは難しい

夏風邪と新型コロナウイルス感染症を症状のみで見分けるのはとても難しいです。

・味覚障害や嗅覚の障害の有無
・発熱が7日以上継続しているか
・起き上がれないほどの強いだるさがあるか
がポイントとなり、肺炎があれば可能性は高まります。

夏風邪の原因となるウイルスは、

「医師の側もむやみに迅速診断をせず、症状から病名を判断するようになっている」と指摘する。

 夏風邪かどうかわからないときに、新型コロナかどうか確かめるのも難しい。迅速検査キットが普及しておらず、多くの場合は帰国者・接触者外来などでのPCR検査に頼るしかない。

 ただ、PCR検査はいまのところ、発熱などの症状があっても、すぐに受けられるわけではない。国の方針では医師が必要と判断すれば検査が受けられるが、患者が希望してもすぐに受けられなかったという報告も相次いでいる。

 「周囲の流行状況やほかの人との接触歴、家族の感染状況から新型コロナの可能性を見極めていくしかない」

夏風邪と新型コロナ 症状で見分けられる?マスク有効?朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASN7Z543VN7WPLBJ00B.html

コロナウイルスか原因かどうかを見分けるのも難しいのが現状なのです。

このような不確定要素が多い状況で、「単なる風邪」と片付けるのはあまりに知識が足らないとしか言えません。

まとめ

以上のことから
「コロナは単なる風邪」という主張を一発で論破するには、

「ではその風邪の”原因”を治す方法を教えて下さい。」

こう聞けば完結します。

「コロナは単なる風邪」という人は、
・結果だけ見て原因を無視している。
・「疾患」(原因)と「症状」(結果)の区別がついていない。

のです。