日本では「あの世(天国・地獄)」「魂」の存在が、言えば通じる程度に何の疑問もなく当たり前のように定着していますが、
そ ん な 教 え は 仏 教 の ど の 宗 派 に も 本 当 は あ り ま せ ん。
【Q1:「そんな馬鹿な!?浄土系では浄土(あの世、死後の世界、地獄極楽)の存在を説くではないか!?」】
【A1:】
あの世(死後の世界)の存在を説いている宗教は”イスラム教以外にありません。”
仏教は、現に般若心経のどこにも地獄極楽は書いていません。維摩経(ゆいまきょう)にもありません。法華経には譬(たと)え話としてしか出てきません。
キリスト教でも最高教典「福音書」でもその他の「新約聖書」でも例え話、もしくはダンテの「神曲」などのフィクション文学作品としか出てきません。
終末論で最後の審判の後、”この現世”において魂が「神の国(キング・オブ・ゴッド=天国)」に至るのです。だから死後の世界や、来世、あの世ではないのです。
イスラム教のみ、最後の審判の後の、緑園(天国)と地獄の存在を説いています。 だから仏教において地獄・極楽は方便です。無知蒙昧な人々を仏教に引き付けるための方便です。古代インド宗教のバラモン教文学の残滓にすぎないのです。位の高いお経では譬え話で、位の低いお経では盛んに述べられているのが死後の世界です。
「地獄に堕ちる」と言われて悩むのはナンセンスなのです。
終末論のハルマゲドンとか、地獄に永劫に苦しむとかそんな考え方も、仏教には一切、ありません。
仏教やキリスト教を語りながら、あの世の存在(例え話と前置きも入れず)を説く人がいたとしたら、間違いなく大嘘付きです。騙されてはいけません。
【Q2:「では魂は存在するの?」】
【A2】
仏教は、魂の存在を”否定しています。”
敷衍(ふえん:詳しい説明)をすれば、仏教の場合は「空(くう)」なので実体を考えてはいけないのです。霊や、守護霊や、眷属霊などの存在も否定します。
従って”魂もなければ地獄も極楽もない”のです。
仏教を語りながら魂の存在を肯定する人も、間違いなく大嘘付きです。
自分が禅宗だからそう言う唯物的な信条を持っているわけではありません。
どの宗教の経典を見ても、そんな教えは本当にありません。
「嘘だッ!」と思うなら調べて見ると良いです。
【A3:】
そうではないです。確かに仏教は唯物論に最も似ています。
”だからこそ、そうやって実体を認める唯物論を否定します。”
仏教は「すべては仮定、仮説である」と考えます。
実在論(世界が心の外部に独立して存在するという説)は認めません。
だから魂などという実在を認めることもありません。
仏教が魂を否定するとは、魂という実体事態が存在することを否定するという意味なのです。
昔、古代インドで仏教が誕生して以来インドでは仏教批判が頻出しました。
その批判の一つが「仏教は魂の存在を否定したのだから唯物論だ」というものです。(中村元「インド思想の諸問題」中村元選集第十巻春秋社)
「自我(魂)は存在するのか?」「自我(魂)の存在をいかにして確かめられるか?」というものです。これは古来より哲学の大問題でした。
そこでインドの一般哲学者は肉体の根底に、「自我(アートマン=魂)」の実在を想定しました。
肉体が死んでも主体であるアートマンは生まれ変わり死に変わりして実在を続けると説きました。
これがバラモン教となり、ひいてはヒンドゥー教の輪廻転生の思想となり、仏教はそれ受け継いでさらに精密化しました。
仏教ではその存在を否定しました。
人間には「われ存在す」という自覚のあることが認められていましたが、それは(われ)が実在することを証明するものではなくて迷妄にすぎないと考えました。
諸々の煩悩が起こるのは「われ存在す」という思いが根底に存在するからであると言っていました。
だから仏教によると「われが存在する」という自覚は断ぜられるべきものなのです。それは我執のもとであるからです。 仏教の目的は、悟り。
すなわち諸々の煩悩をなくして解脱(げだつ:輪廻の繰り返しから抜け出して)して涅槃(ねはん:輪廻しなくなる)に入ることです。
煩悩が生じるというのも「われが存す」という迷妄が根底に存するからです。ゆえに「われが存す」という迷妄を断ずれば涅槃に直行できるわけです。
これが仏教の蘊奥(うんのう:奥義、極意)であり、「魂はない」ということの意味です。
【Q3:「じゃあ、どうせ人間は死ねば無になるんだ、無神論・唯物論が正しかったんだ。ザマァ見やがれ。」】
【A3:】
だから、このように何も理解していない何か悟ったことを言うような輩(やから)が、マルクスの科学崇拝(キリスト教ユニテリアン)や、ユダヤ教の拝金主義に、見事に騙されて無自覚にも入信して破滅的な人生を送るのです。
終末論や、奇跡や、魂や、あの世や、霊の存在を肯定する、大嘘だらけの分けの分からん狂信的な新興宗教(カルト)に入信して身を滅ぼすのと同類です。
”「輪廻転生」の思想は仏教の根本思想としてあります。”
仏教に「地獄極楽」の存在はありません。
仏教は「魂」の実在も存在も認めません。
「ハァ!?地獄極楽(あの世)も、魂もないのに、輪廻はあるの!?」
と思うかもしれません。
・・この辺りの疑問を次回、記載致します。
「地獄極楽(あの世)もない、魂もない、しかし輪廻転生はあるのか・・?」
この疑問解決は、仏教においての最大の難問です。
今までの流れを踏まえて少し考えてみると面白いです。