【概要】
低出生体重児・・出生体重が2500g未満の児。
また在胎数週に相当する体重を有する児をAED児、在胎数週に比べ体重が少なく、身長が小さい場合SED児。
原因としては、早産によるものや胎児発育不全(FGR)によるものがあり、早産児はAED児、胎児発育不全(FGR)ではSFD児となる。
あるいは出生時が1500g未満の児を極低出生体重児、出生体重1000g未満の児を超低出生体重児。
【症状】
体温調節中枢の機能が不完全。体重あたりの体表面積が大きく、皮下脂肪が少ないため環境温度に左右されやすく体温が変動しやすいので低体温に陥りやすい。
低体温、電解質異常、感染への抵抗力が弱い、貧血もみられる。貧血に関し、骨髄造血機能不全により、生理的貧血よりも早く程度も強い。低出生体重児は臓器が未熟であるので、呼吸窮迫症候群(RDS)、無呼吸発作、未熟児網膜症、壊死性腸炎なども併発。
RDSは35週未満の早産児に多く発症し、肺胞サーファクタントの欠乏により生後間もなくで発症。
早産児とFGRとでは、早産児はFGRに比べ高ビリルビン血症が強く、低血糖症はFGRのほうが強いなどの特徴。
またFGRは未熟性や呼吸窮迫症候群などは発生しない。
【治療と看護】
出生前の情報を把握(在胎日数、推定体重、母体など)、挿管器類、人口換気類、心電図モニター、パルスなど必要。そのほかに、保育器の準備も必要。
保育器の温度は児の体重により設定が異なる為、体重が不明となるときは、32~34℃に保っておく。保育器内の湿度は50~60%(極低出生体重児や超出生体重児は皮膚からの不感蒸泄が多いため、80%以上)。異常の早期発見をする。「
酸素投与に関し、動脈血酸素分圧(PaO₂)が50mmHg以下の場合、口腔粘膜や体幹にチアノーゼが生じている場合、酸素投与が必要。必要以上の高濃度の酸素投与は未熟児網膜症をきたす危険があるため長期使用はしない。
2000g未満の低出生体重児は水分補給と血糖維持のため静脈内持続点滴が開始。輸液内容、滴下速度、刺入部の異常、固定など注意、観察。
栄養開始が早かったり、授乳量が多いと、呼吸抑制や嘔吐を誘発する。開始が遅いと、脱水、低血糖、代謝性アシドーシスを起こす。授乳時は、哺乳の状態や顔色、呼吸状態を観察。
低出生体重児で、出生直後から保育器での生活が開始された場合、母子の接触が一時途絶えるため母親の気持ちを考慮し、保育器内にいる児への面会やタッチングを行う配慮が大切。できない場合でも搾乳し授乳させるなど母児のつながりをつくる支援が大切。