自体愛→自己愛→対象愛への発達2(自己愛とは?)

心理学・精神医学

 

自己愛とは?自体愛とは?←の続きです。

この「自己愛」(self-love)(※1)という言葉なら、「あの人は自己中」「あの人は自己愛が強すぎる」「自己愛性パーソナリティ障害(自己愛性人格障害)」などで聞いたことがあるかもしれません。

(※1)narcissism(ナルシシズム)と言うと病理的な意味も含まれるので、ここでは肯定も否定も中立に「自尊心・自己愛」の意味の「self-love」を用います。

おさらいですが、心理学では、愛の段階を自体愛→自己愛→対象愛へと3段階で進化していくと考えます。

 

自体愛とは?で書いた通り、フロイトは自体愛(リビドー:口唇期・肛門期・男根期・潜伏期など)で全てを説明しようとしました。

心理学の話で出だしのこの、自体愛の性欲で説明するところで多くの人は「?」となり、「それだけでは説明できないんじゃないの?必ずしもそうとは限らないんじゃないの?」と疑問に思う人が多いと思います。

実際にフロイトの弟子は何人も、そんなフロイトを疑問に思い、独自に心理学の派閥を作って来ました。

特に自己心理学派の「ハインツ・コフート(Heinz Kohut)」という人は、自体愛は、自己愛となり、対象愛へと移行すると言いました。

性器期を堺に分かれるのは、人格(パーソナリティ:Personality)とは、幼少期だけではなく12歳以降の青年期・思春期の他人との相互の関係性(自己)を通じて形成されてくるからです。

フロイトは「自己愛」(ナルシスト)が大嫌いで、重度の「精神病」寄りの病気と考えていました。精神病ということは会話で共感することすらできないので治せないということです。

要するに、自己愛の人は、わがままで自分のことしか興味もなく自分のことしか話さないので、手の施しようがないと精神科医フロイトはさじを投げていました。

コフートは、この自己愛を嫌って、自体愛だけに固執するフロイトモデルに対して「愛(自体愛)→未熟な自己愛(自己愛)→成熟した自己愛(対象愛)」というモデルを主張しました。

コフートが自己愛の段階を「未熟な自己」「成熟した自己」に分けたのは、フロイトが「利他的な愛(対象愛)を持っていないのは大人ではない。」と考えていためです。

フロイトは、自己愛の人は、自分のことしか考えてないので「他人のため」なんて考えもしないと思っていました。

しかし、フロイト以後の研究の歴史の中で、フロイトが言うような自分勝手で自己中なナルシスト(narcissist)、つまり自己愛性人格障害(自己愛性パーソナリティ障害)、会話で共感できる部分があり、薬に頼らずカウンセリングでも改善するということが分かりました。

よって、自己愛性人格障害(自己愛性パーソナリティ障害)も、自分だけでなく他人も愛せる「成熟した自己」(対象愛)=健常な状態に改善するという展望、

それに対し、まだ自己愛性人格障害(自己愛性パーソナリティ障害)の段階に留まっているのを「未熟な自己」と分けました。

この「未熟な自己」「自分のことしか考えず、他人はモノ扱い」という、未だに自体愛へ根深い囚われがある幼い段階として定義されています。

 

自体愛とは?

自己愛とは?

対象愛とは?

参考にどうぞ(更に理解を深めたい方へ)

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