「ツノを折られたばいきんまん」に芸術的価値が高い理由

警察によりますと、先月19日の午後9時すぎ、高知市はりまや町2丁目の電車通り沿いの歩道に設置されている「ばいきんまん」の石像のツノが折られていると、通りかかった人から警察に通報がありました。

警察が確認したところ、「ばいきんまん」の石像の頭の部分にある2本のツノのうち、片方が折られていたということです。

また、石像をベンチに固定するためのボルトから外れ、本来の位置から横にずれた状態になっていたということです。

「ばいきんまん」石像のツノ折られる 器物損壊で捜査 高知市 | NHK

不謹慎ながら芸術的な価値が上がってる稀有な事例です。

なぜ芸術的な価値が高いのか?

ヴァンダリズム(Vandalism:破壊行為主義)と呼びます。18世紀の啓蒙思想。

バイキンマンという現在の感染症を彷彿とさせる生き物の角を折ることで、風刺と終息祈願。

そして残った一本が連想させる形状が乳幼児期の成長の象徴を示しているからです。

【美術解説】ヴァンダリズム「破壊行為主義」 Vandalism

ばいきんまんのツノを取ることが芸術的な価値があって、押し倒したり、落書きしたりしても価値がありません。
「あったものを、なくしていること」に意味があるのです。

ただこれは社会的には器物破損罪であり、決して許されない行為です。

訴えかけている対象が絶妙

フィレンツェで当時禁止されていた裸体ダビデ像を作ったミケランジェロを思い出した。

加算される魔改造とは逆方向に、減算される形での芸術的なルネサンス。

アンパンマンを卒業する頃、4歳頃の肛門期から男根期へ向かう過程で必要だったことなのかもしれない。

アンパンマンは自らの身体の一部を無限に分け与える自己犠牲(神の恩龍:Grace グレイス)によって関係構築しますが、
バイキンマンは同じことをしても存在自体が害悪なので迷惑なのです。

やってみた結果、現実的に失った不可逆的な「角の痛みを他人に想像させる」という心理的な対照構造。

1.普通に返す(接着痕を残して歴史に刻む)
2.角だけ御神体として祀る(性器崇拝)
3.誤ってアンパンマンの股間に返す(ダビデ像)
4.紛失したままにする(サモトラケのニケ)

いずれも芸術的な価値がありますね。

繰り返しますが、ただこれは社会的には器物破損罪であり、決して許されない行為です。

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