「共産趣味」という言葉があります。
「共産主義」ではありません。「共産”趣味”」です。
これが非常に面白いと思ったので紹介します。
前記事の「波打際のむろみさんに学ぶ手話講座」でも紹介しましたが、この「波打ち際のむろみさん」のオープニングテーマを歌う歌手・声優の上坂すみれさんがカテゴライズされています。
まず普通の「共産主義」「資本主義」を説明しようとすると難しいのですが、
ものすごく簡単にいうと「スタート」(前提)の違いです。
「どうしたらみんな(経済・社会)が良くなるか」というゴールを目指すのは同じです。
資本主義の国では、有神論(神様がいる)を前提として、経済(個人の経済活動=神の予定説)を重視します。
共産主義の国では、無神論(神様はいない)を前提として、個人(その集合体である集団・社会=人間)を重視します。
これに関してはまた詳しく説明します。
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「資本主義」「共産主義」とは?
しかし2つとも過激化して最終的にたどり着くのは共通して「ファシズム」という国の公務員・官僚(税金で生きる人々)による独裁体制です。
資本主義は、競争により発展はしますが、貧富の差が激しくなります。
いずれ富裕層はその立場を固定するために国と手を結んで私有財産や増税や警察強化をして実質的に社会主義・共産主義あるいはファシズムになります。
共産主義は、競争がないので発展することなく停滞していきます。
資本主義よりも早い段階で、富裕層はその立場を固定するために国と手を結んで私有財産や増税や警察強化をして実質的にファシズムになります。
資本主義は今のアメリカ、共産主義は(変わりつつありますが)今の中国・北朝鮮や、旧ソ連の崩壊で例えるのは好例です。
両方ともシステムとして崩壊しています。
資本主義は共産主義よりも少し寿命が長いくらいで、共産主義・社会主義は寿命がもっと短いと言う違いです。
目に見えて分かりやすかったのは、資本主義は2007年のアメリカ発による世界金融危機、共産主義・社会主義は1991年のソ連崩壊でしょう。
もっと早い段階での例えもありだと思います。
数学的(論理的)には、1900年代後半には両方とも間違っていると証明されています。
もう崩壊してしてしまっているので、論理的に成り立つようなものではなく、人の「趣味」と例えるのはかなり面白いと思います。
実は「共産趣味」の歴史は、1997年頃のネットが普及しはじめた時代と並行しています。
定義としては、左翼陣営・左翼思想、特に新左翼・過激派や旧社会主義国の指導者の行動・言論等を観察する嗜好です。
河上チロー氏によると共産趣味の用語や源流は、1997年誕生したサイト・マルチメディア共産趣味者連合、あるいは1996年niftyに登場した国際共産趣味PATIOも「共産趣味」の源流とされています。
サイバースペースからの挑戦状 河上イチロー
今でも2ちゃんねるなどで「集え!同志諸君!」とかスレが立って、共産主義ごっこが展開されることがあります。
日本では、元共産趣味者の米沢泉美(1965年~:IT技術者、プログラマ、ライター、労働組合活動家)や、
最近はもう上坂すみれさんくらいでしょう。
正直なところ、どこまで本気な「共産主義」の発言なのか分からないので、
当然、資本主義者にも疎遠されるだけでなく、本質的な共産主義者にも疎遠されるので、理解されるニーズが限られてくると思います。
ただ確かに、1950年代後半~1960年代に流行った反体制の文化・芸術活動であるアンダーグラウンド文化のようにエログロナンセンスな世界観、
そこからの1960年代のアメリカやヨーロッパを起点として西側社会に対する文化的な対抗、権威主義や主流派・保守階層、政治家、資本家への反発、商業主義への抵抗からのヒッピーのカウンターカルチャーなどの潜在的に突き動かすエンパワーメント(Empowerment:自律行動を促せる力)は持っています。
上坂すみれさんの「波打ち際のむろみさん」のオープニング曲である「七つの海よりキミの海」では、
強烈にバックにデスメタルの「デスボイス」が叫ばれていますが、これがまさに象徴的です。(パッケージも寺山修司や横尾忠則のようなアングラデザインになっています。)
私の過去の記事↓
人の動力源にあるのは何か?~エロ・グロ・バイオレンス~
でも書きましたが、人間の本質は、エロ・グロ・バイオレンス・ナンセンスです。
それを抑圧せず、認めた時に初めて、理性的な行動が取れるのです。
そんな意味では、資本主義が崩壊した今、「共産趣味」が流行るのは興味深い傾向であり、アノミー(無秩序)となった人たちのエートス(行動慣習)の救いとなるかもしれません。
少なくても、自分を自称保守・右翼で真なる愛国者とか言いながら、どこまでも単なるアメリカ従属の親米派で、北朝鮮と中国と韓国(韓国は日本と同じアメリカの属国なのになぜ?)を叩き続けているネット右翼よりはマトモです。
ネット右翼(ネトウヨ)の論理は単なる北朝鮮と全く同じファシズムであり、彼らの目指す増税(官僚)や核武装や軍事拡大による警察国家化(警察は在日朝鮮パチンコなのにそれを強化させようとするのはなぜ?)、原発や東電擁護(資本主義においてはリスク合理性から自然淘汰されるべきものを守るのはなぜ?)や、TPPによる明らかな左翼グローバル化をなぜかナショナリズム(保守)と言っています。
ネトウヨの、自民党こそが愛国であり、中国や韓国人のみの外国人を排斥すればいい、逆らうものは在日朝鮮人と認定して粛清せよ(殺せ)、とする意味不明さよりは、共産趣味の方がまだマトモです。
政治学での正しい本物の保守・右翼とは、資本主義で言われるように「経済を重視して、経済活動を活性化するために国の市場への介入をなくし、徹底的に減税する立場」のことです。
増税や国による軍事拡大(右翼なら国に頼らず自己防衛に徹します)、警察強化、合理性に欠ける原発や東電擁護、グローバル化(アメリカ中心主義)であるTPPの推進、
これらに右翼(保守)の要素なんてどこにもなく、全て極左(極端な左翼)を超えた単なるファシズムの独裁思想です。
なので到底「資本趣味」なんて呼べず、「ファシズム趣味」でもありません。
ネット右翼は、単なる今の行政官僚制の日本を肯定する独裁「ファシズム」です。
ネット右翼と共産趣味は、苗床にあるのはアノミーから来る行き場のないやるせなさや憤りからのエロ・グロ・バイオレンスの爆発ですが、
1960年代の学生運動の頃にあったそれよりも、今は遥かに論理が崩壊しています。
ニセドイツ〈1〉 ≒東ドイツ製工業品 (共産趣味インターナショナル )奥井太一
ニセドイツ〈3〉ヴェスタルギー的西ドイツ (資本趣味インターナショナル) 奥井太一
共産趣味(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E7%94%A3%E8%B6%A3%E5%91%B3
「共産趣味」とは?(ニコニコ大百科)
https://dic.nicovideo.jp/a/%E5%85%B1%E7%94%A3%E8%B6%A3%E5%91%B3
「資本趣味」というワードはまだ普及していません。
なぜならまだ「資本主義が崩壊した」と思っている人が少ないからです。
そんな感じにいえば、私は「資本趣味」なのかもしれません。
このホームページでは「リバータリアン趣味」とでも言った方がいいかもしれません。
いや、むしろリバータリアンこそ「資本趣味」なのかもしれません。
あくまで成り立つのは机上の空論であり、もはや「主義」なんて言っても、個人の中の「趣向・趣味」でしかないのです。
「趣味」という枠組みとして、これを外交のソフト・パワーとして活かすのはいいと思います。↓
アニメ・マンガという日本のソフト・パワー
https://libpsy.com/softpower/895
この上坂すみれという声優・歌手は、ある意味、そんな先見性がある気がします。
クールジャパンなんて国家主導で推進するのは本質に反しますが、特に表現や主張が規制・制限される共産主義・社会主義国において、ソフトパワーとして潜在的な起爆剤になりえます。
上坂すみれ(ロシア語wiki)↓
Уэсака, Сумирэ
上坂すみれさんの声優出演作品↓