A圧・Aライン・動脈圧ライン留置は、手術中や重症患者管理中に、循環動態のモニタリングや血液データモニタリング目的で、より正確な血圧の値を測定するために装着されます。
一般的には橈骨動脈。それ以外では足背動脈、大腿動脈、上腕動脈からのアプローチになります。
A圧・Aライン・動脈圧ライン留置はデメリットが多すぎる
しかし、医療者・患者ともに負担の大きい作業になります。
・動脈を穿刺するのでリスクが高い
・清潔操作で行うのに時間がかかる
・患者が体動時だと装着が困難
・ルートを準備するのにヘパリンを加圧バッグでルートに満たすのに時間と手間がかかる
・シーネ固定するので可動域が制限される
・リハビリの妨げになる
・日常生活動作が制限される
と血圧測定のデメリットが大きいです。
医科診療報酬・保険点数で
D225 観血的動脈圧測定(カテーテルの挿入に要する費用及びエックス線透視の費用を含む。)
1、1時間以内の場合・・130点
2、1時間を超えた場合(1日につき)・・260点
に加算されるとは言うものの、患者への負担が重いように感じます。
動脈アプローチの手技もリスク。
以下の動画ではすでにルートは用意されていますが、そのルートの準備も緊急時の準備に時間がかかるのがAラインの弱点です。
エコーガイド下_短軸像_sweep scan法_右前腕_橈骨動脈穿刺_ビゴンアーテリアルリーダーキャス
動脈圧は穿刺しなくても測定できる
前記事で
パルスオキシメーターを知っていますか?
パルスオキシメーター(SpO2 サチュレーション)は「緊急時に採血して、動脈の酸素飽和度を測定するのが手間だったのでパルスオキシメーターを開発した」という日本人の話がありました。
実はすでにサチュレーションと同様に、非侵襲の非観血式のA圧(Aライン、動脈圧ライン留置)の測定器はあります。
手術の際などに、長時間連続で血圧を測定するには、血管に針を入れて測定する観血式の連続血圧計が一般的だ。viewphii CBPであれば、体を傷つけない非侵襲の非観血式でありながら、連続で血圧を測定できる。さらに「札幌医科大学の実験で、観血式の連続血圧計とviewphii CBPによる血圧測定を同時に行ったところ、ほぼ同じ精度で血圧を測定できていることが分かった」
指先カフで体を傷つけずに連続血圧測定、ソシオネクストがソリューション提案 2016年04月25日 MEDIC JAPAN
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1604/25/news045.html
非侵襲式の非観血的なAライン測定も、他の血圧や脈拍の周辺データから妥当性と信頼性の高い推測値が得られているのです。
日本人のパルスオキシメーターの開発秘話も同様に「緊急時に採血していちいち動脈酸素飽和度を測定してられるか」という手間さが原点にあったでしょう。
動脈ライン留置も同じです。
なぜか昭和から更新されていないと感じます。
早くこれを全病院に実装して欲しいと切に願います。
(参考)
動脈圧ライン留置
https://echo-cvc.com/echoguided-cvc/artery-line/
モバイル連続血圧計ソリューション viewphii CBP
https://www.socionext.com/jp/products/assp/viewphii/cbp.html
血管に針を入れる連続血圧計と同じ性能を非観血式で実現、「viewphii」が拡大
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1604/06/news107.html