●妊娠初期:0~15週(1~4カ月)の時期
「食べたいときに、食べたいものを食べる」という食事。
胃の不快感や吐き気を伴うつわりのときは、十分に食べられなくてもあまり気にしなくてもいい。
意識して食べることを推奨される栄養食品を列挙する。
・タンパク質
胎児の血液や筋肉を作るために必要なタンパク質。
(牛肉、豚肉、鶏肉、牛・豚・鶏のレバー、卵、たら、かつお、いわし、さんま、さけ、牛乳、豆腐に多い)「
・鉄分
妊娠中は鉄分を多く使われるため貧血になる可能性があるので意識して摂取していく。
(牛赤身肉、牛・豚・鶏のレバー、かつお、さんま、いわし、あさり、かき(貝)、煮干し、小松菜、ほうれん草、ひじき、大豆などに多い。植物性の鉄分はビタミンCやタンパク質と一緒に摂ると吸収しやすくなる。)
・カルシウム
身体の機能維持を整えるミネラル。胎児の骨や歯を形成する。
(牛乳、チーズ、ヨーグルト、ちりめんじゃこ、ししゃも、ごま、大豆、豆腐、納豆、ひじき、わかめ、小松菜はカルシウムが豊富に含まれている食材で、ビタミンDを一緒に摂ると吸収が促進される。)
・食物繊維
食物繊維には水溶性と不水溶性の2種類がある。
海藻などの水溶性食物繊維はコレステロールの吸収を抑える働きがあり、根菜やキノコなどの不溶性食物繊維は、排便をスムーズにして便秘を防ぐ効果がある。食物繊維は胃の中でふくらむので、食べ過ぎを防いだり、腸内環境を整えてくれる。
(玄米、ごぼう、きのこ類、青菜類、ブロッコリー、大豆、さつまいも、れんこん、かぼちゃ、海藻類、こんにゃく、もずくから摂取することができる。)
・ビタミンAの摂り過ぎに注意する
ビタミンAは、抵抗力を高め、皮膚などを健康的に保つ。
継続的に過剰摂取をすると、赤ちゃんの奇形発症率が高くなるので妊娠初期は過剰摂取しない。
(レバーに多く含まれる。野菜とバランスよく摂る必要がある。)
●妊娠中期:16週~27週(5~7ヶ月)の時期
母体が安定してきてつわりがおさまると、食欲が増える。
必要以上に食事をしてしまうのに注意する。肥満は妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、出産時の難産のリスクがあるため。
エネルギーの低いものから順に食べると良い。
妊娠中期に必要とされる鉄分は1日15mg。
意識して食べることを推奨される栄養食品を列挙する。
・ビタミンC
(グレープフルーツやオレンジなど柑橘系フルーツは皮膚の乾燥を防ぐ)
・カルシウムやカリウム
(小松菜はカルシウムや鉄分が特に多い。ほうれん草と小松菜は体内の余分なナトリウムを排出して高血圧予防に効果のある働きをするカリウムを多く含んでいる。)
・タンパク質・ビタミン
(サケはは良質なたんぱく質のほか、ビタミンが豊富な魚です。特にカルシウムの吸収を助けるビタミンDが豊富に含まれているので、カルシウムを多く含む食品と一緒に食べるのが望ましい。)
(備考)
BMI[体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)]
BMIが妊娠前に18.5未満であれば
9~12kg増加、
18.5~25未満の方は7~12kg増加、
25をやや超える程度の方は5kg増加、
25を著しく超える場合は医者への相談が推奨される。
●妊娠後期:28週~39週(8~10か月)の時期
妊娠中期以上に塩分を控えた薄味の食事。
妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、腰痛になりやすい時期なのでカロリーオーバーに留意。
カロリーオーバーになると、皮下脂肪で産道が狭くなったり、微弱陣痛になったりしやすく、出産後も会陰切開の傷が治りにくくなる。
妊娠後期に必要とされる鉄分は1日20mgが目安。
意識して食ることを推奨される栄養食品を列挙する。
・ビタミンB1
(玄米・胚芽米・雑穀米:栄養価が高い。糖質の代謝を促す。食物繊維も多いメリットがある。)
・タンパク質・鉄・カルシウム
(ごま:貧血予防、便秘予防に効果。高血圧予防に役立つビタミンEやビタミンB1の含有量も多い。ただし高カロリー食品なので過剰摂取には注意。)
・ビタミンA
(鶏肉:消化吸収に優れている。部位によって脂質の含有率が異なっており、ささみは最も少なく、次にむね肉。もも肉は脂質が多いので、脂身である皮をはずして摂取カロリーを減らす。)