ケアの目的
腹部触診による子宮内の胎児の位置、姿勢、数、羊水の多少の観察。子宮底長測定の子宮底位置・胎児心音聴取の聴取位置、妊娠線、浮腫、腹直筋離開の観察。
実施方法・手順(事前学習)
【準備】
仰臥位で股・膝関節を曲げ、腹壁を弛緩。観察者は妊婦の右側に頭部に向かって立つ。
【手順】
●第1段
観察者は両手を子宮底に置き、両手の先端を合わせて腹壁を軽く押しながら触診。
子宮底の位置(高さ)、形、胎児部分の種類を観察。
●第2段
子宮底に当てた両手を臍の左右の側腹部にすべらせ、両手の手掌で交互に圧を加えて触診。
子宮の形状・大きさ・緊張度、用水の多少、胎向(児の背部と小部分から判断する)、胎動等を観察。
●第3段
右手の拇指と示指を開き、その間に胎児先進部をはさむ。拇指と示指を交互に軽く押しながら触診。
胎児先進部の形状、大小、硬度、移動性、骨盤内進入状況、浮球感などの観察。
●第4段
観察者は、妊婦の足の方に向きを変え、両手の指先をそろえて左右の下腹部に当てる。両手の指先で軽く押しながら触診。胎児先進部の状態を第3段と同様に確認。
根拠・留意点(事前学習)
手指が冷たいと腹壁を刺激し緊張させることがあるので、あらかじめ暖めておく必要がある。
乱暴だと妊婦に苦痛を与え、腹壁や子宮がその刺激によって収縮し、胎児部分の触診ができなくなるため、腕や手先の力を抜き、指腹で腹壁の上を優しく丁寧に触診する。
【胎児部分の特徴】として
◯頭部:児体の他の部位よりも大きく、球形で硬く、表面にでこぼこがない。児頭がまだ移動するときは浮球感がある。
◯殿部:頭部についで大きいが、全体に柔らかく、表面にでこぼこがある。浮球感はない。
◯背部:一様の硬さの弓状に弯曲した長い板状に触れる。多動性がない。
◯小部位:背部の反対側にあり、数個の小さな小結節として触れることが多い。衝突様運動を行い、移動しやすい。