小児の喘息

【概要】

喘鳴とは耳で聴取できる気道由来の雑音。喘息発作では呼気性喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)が吸気性喘鳴よりも優位に聴取される。
①聴診所見では両肺野に呼気性の連続性ラ音を聴取する
②呼気延長を主徴とする呼気性の呼吸障害(多呼吸、起座呼吸、陥凹呼吸、チアノーゼなど)が見られる
③問診上、症状が反復するのがピントで、持続性の場合や初回時は身長に診断する
④気管支拡張薬(β2刺激薬)の吸入・内服が著効することが確定診断に繋がる。

2歳未満の小児喘息を乳児喘息という。
気道感染の有無に関わらず明らかな呼気性喘鳴を3エピソード以上繰り返した場合に乳児喘息と診断する。

小児気管支喘息とは、「ヒューヒュー」とするような呼吸(笛声、喘鳴)を伴った呼吸困難の発作が繰り返して起こり、他の疾患(例えば心臓病や肺炎など)でないもの。気道の狭窄が生じて呼吸困難を招き重症の場合は死亡することもある。

気道の狭窄は、
①気管支の周りにある筋肉(平滑筋)が収縮して気管支を締めつけ、
②気管支内部の粘膜が浮腫を起こしてむくみ、
③気管の内部に分泌物(痰)が溜まることによって生じる。

【原因】

●アレルギー反応によるもの

アトピー素因を持つ小児がダニやホコリなどのアレルゲン(抗原)を吸い込むと、肥満細胞のIgE抗体と結合して、ヒスタミンなどの化学伝達物質が放出される。この物質が血管の透過性を増して、気管支の収縮や分泌物の増加などをもたらし、喘息発作を引き起こす。
抗原の吸入後すぐに即時型反応の発作が起き、さらに6~8時間後に遅発型反応の発作が起きる。

●アレルギー反応によらないもの

気道が過敏なために気管支の粘膜が敏感になり、アレルゲンが入らなくても、少しの刺激で発作を起こすようになる。ウイルスなどの気道感染、精神的な刺激、台風などの気象変化などが原因になる。
激しい運動の際も、ヒスタミンの放出や気道の冷却などによって気道収縮を生じて、発作(運動誘発性発作)を起こすことがある。

【症状】

軽症では、咳 、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴、喀痰。
中等症では、呼気性呼吸困難、陥没呼吸(呼吸補助筋を最大に利用するため、肋間や鎖骨上が陥没して見える)。
重症では、鼻翼呼吸、起座呼吸などがあり、会話が困難になり、チアノーゼが生じる場合もある。

他のアレルギー合併症として、目の症状(眼球粘膜の充血、掻痒)や鼻症状(くしゃみ、鼻汁、鼻閉感)伴うこともある。

【検査と診断】

1、アレルギー検査

・血液検査:アレルギー疾患では好酸球の増加が見られる。また、喘息の原因になっているアレルゲン(抗原)を調べるために、RAST(放射性アレルギー吸着試験)法やMAST(多数抗原同時検出)法などを行う。

・皮膚反応:背部の皮膚にアレルゲンエキスを滴下してから、針を刺す(プリックテスト)か、掻いて(スクラッチテスト)、15分ほどしてから赤く腫れていれば陽性と判断。

・IgE測定:アトピー体質かどうかを調べるため、免疫グロブリンの1つであるIgEを血液から測定する。IgEはアレルギー体質として関係した蛋白の一種で、アトピー(アレルギー)体質の人では、その値が高くなる。

2、呼吸機能検査

年長児以上では肺機能検査を行って気道の閉塞状態を測定する。肺活量、ピークフロー、1秒率(1秒間に肺活量の中のどれだけの息を吐き出せるか)、気道の過敏性などを測定する。

3、胸部X線

発作を繰り返すことによる肺や気管支への影響を調べる。また、発作によって、肺炎や気管支炎、無気肺(肺の一部に空気が入らなくなる)、皮下気腫、気胸(肺の一部に穴が開いて空気が漏れ出す)などの合併症を起こすことがあるので、これらの検査のためにX線写真を撮る。

4、その他の血液検査

治療のために薬を使うことが多いので、定期的に貧血や肝機能の検査を行ったり、薬の血中濃度を調べる。感染症の合併が考えられるときは、CRP(炎症反応)なども調べる。

【治療・看護】

1.発作時の治療法

・小発作
β2刺激薬の吸入(20~30分感覚で3回まで反復可能)、水分補給や腹式呼吸をおこなう。

・中発作
β2刺激薬の吸入を行ってから、必要があればアミノフィリンの静脈注射をする。

・大発作
β2刺激薬吸入やアミノフィリンの持続点滴を行う。必要であればステロイドを静注する。また点滴による水分補給も行う。

2、非発作時の治療

・環境整備
室内のダニ、ホコリ、ペット、タバコ、花粉などがあげられる。従って、これらを除去する。

・根治治療
アレルギーの原因になる抗原物質を低濃度から少量ずつ反復注射することで抗原への過敏性を低下させる。

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