新型コ口ナウィルス(C0VID-19)の症例から改善薬も各製薬会社からたくさん出てきました。
実際の臨床実験から実用化に向けて進んでいます。

もちろんここに掲載してある薬は、現在(2020年3月現在)市販薬としては売られておらず、あるものは医師の処方箋が必要になります。また現時点で確実な効果も副作用も不明瞭なので参考程度としてご留意ください。

代表的なものは以下です。

◎アビガン・・日本の富士フイルムHDと富山化学の開発した抗インフルエンザ薬。

◎レムデシビル・・アメリカのギリアド社のエボラ出血熱の治療薬。

◎カレトラ(ロピナビル・リトナビル)・・アメリカのアッヴィ社の抗エイズウイルス(HIV)薬。

◎シクレソニド(オルベスコ)・・日本の帝人の吸入ステロイド薬。気管支喘息やアレルギー性鼻炎の薬。


アビガン

最初に注目されたのは富士フイルムHDと富山化学の開発した抗インフルエンザ薬の「アビガン」でした。

アビガンは元々はインフルエンザの薬です。

インフルエンザは細胞内の複製で増えます。同じく新型コ口ナウィルスも複製によって増えます。
複製にはポリメラーゼという酵素が必要です。
それを阻害するRNAポリメラーゼ阻害薬が新型コ口ナウィルスにも有効だろうと判断されたため、厚労省は2020年2月22日から試験的に導入していきました。
胎児には副作用があるので妊婦には使用できません。

すでに厚労省の承認を得ており、国が200万人分も備蓄しています。

またアビガンは日本の富士フィルムHDが開発しましたが、ライセンスは中国の浙江海正薬業股份有限公司です。
中国の海正薬業が51%とアメリカのファイザー製薬(PFE:アメリカ製薬会社1位)が49%の株を保有している合同会社です。

レムデシビル

レムデシビルは元々はエボラ出血熱の治療薬です。

世界保健機関(WHO)がレムデシビルを治療効果が期待されると発言したので注目されました。

アメリカのギリアド・サイエンシズ社(GILD:アメリカの大手製薬会社2位)が出している薬です。

ギリアド社はインフルエンザ薬「タミフル」で有名。
スイスのホフマンラ・ロッシュ社のライセンスを持っています。
かつてアメリカ合衆国の政治家ドナルド・ラムズフェルドが株主で、2009年の新型インフルエンザ流行の時にタミフルを世界中に流通させました。


カレトラ(ロピナビル・リトナビル)

元々カトレラはヒト免疫不全ウイルス(最終的に後天性免疫不全症候群 (AIDS:エイズ)を発症させるウイルス)の薬です。

HIVにおいてプロテアーゼという酵素がウイルスを組み立てます。そのプロテアーゼ阻害薬がカトレラです。

カトレラはアメリカの製薬会社のアッビィ社が出している薬です。

アメリカ大手製薬会社1位のファイザーや、2位のギリアドには及びませんが、

他にアッビィ社は吸入麻酔のセボフレンや、抗うつ薬のルボックス(フルボキサミンマレイン酸塩:選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を出しています。

シクレソニド(オルベスコ)

シクレソニド(オルベスコ)は吸入ステロイド薬です。元々は気管支喘息やアレルギー性鼻炎の薬です。

日本の帝人が出しています。

2020年3月3日に、日本で新型コ口ナウィルス(C0VID-19)の患者に吸入させたところ改善されました。

前記事
新型コ口ナウィルス改善例の吸入シクレソニドについて


モデルナのオーダーメイドワクチン

またモデルナのオーダーメイドワクチンも注目されました。

アメリカのモデルナ製薬の場合、個々人のDNAに応じてmRNAを用いて投与された人自身の中で人工的に薬となる、いわばオーダーメイドワクチンです。

例えば、がんだと、人間のバグとして腫瘍からバクの記述の原因まで遡って修正させます。

しかし臨床実験までの速度は早いですが、オーダーメイド薬なので大量生産して大衆実用化までが時間がかかります。

実用化が早いのはすでにある既存薬

◎アビガン・・日本の富士フイルムHDと富山化学の開発した抗インフルエンザ薬。

◎レムデシビル・・アメリカのギリアド社のエボラ出血熱の治療薬。

◎カレトラ(ロピナビル・リトナビル)・・アメリカのアッヴィ社の抗エイズウイルス(HIV)薬。

◎シクレソニド(オルベスコ)・・日本の帝人の吸入ステロイド薬。気管支喘息やアレルギー性鼻炎の薬。

最も実用化が早いのは、すでに出ているこれらの既存薬です。

ただ大切なのは「本当に効果があるかどうかは最低5年後でないと分からない」ことです。


効果が実証されるまで最低5年はかかる

どんな薬や対処法が出てこようとも、EBM(医療の科学的根拠)によるコホート研究やランダム化比較試験という厳密なテストで効果が実証されるまで最低でも5年はかかります。
それからメタアナリシスというメタ分析になります。

アビガンか、シクレソニドか、レムデシビルか、カレトラか。どの薬が本当に効果あるかは最低5年先までは分からない、ということです。

今が最初の新規参入期になります。

一時的に改善しただけで、まだ再発の可能性もありますし、副作用も未知数です。

逆を言えば、このような薬でさえ「治った」というのが難しいのに、2020年から5年以内に「治った」と銘打つ薬や対処法が出てきたら「100%デマのウソである」と断言できます。

続き
新型コ口ナウィルス(C0VID-19)改善薬の裏事情と今後の予想

新型コ口ナウィルス(C0VID-19)の感染防止対策と情報防御策

(参考)
新型コロナの有望薬「アビガン」「レムデシビル」ってどんな薬?
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/022601110/

米国で新型コ口ナウィルスに対する世界初のワクチンの臨床試験を実施へ
米Moderna社のmRNAベースのワクチン、治験薬を初めて出荷
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/02/26/06610/?n_cid=nbpbto_fbbn