上の記事では、人がアノミー(無秩序・無連帯)になって、精神病、殺人や自殺など破滅的な考えになる時は、究極的には「生か死か」「生きるか死ぬか」という「二分法」だけの世界に立ち戻るということを書きました。
この「二分法」の思考とは、「生か死か」だけでなく、
「白か、黒か」「勝ちか、負けか」「善か、悪か」「自立か、依存か」「有能か、無能か」「成功か、失敗か」「大人か、子供か」「メリットか、デメリットか」「有意義か、無意味か」「尊敬か、卑下か」「常識か、非常識か」「理性か、感情か」「玄人か、素人か」「現実か、理想か」「強いか、弱いか」「特別か、典型か」「一貫か、矛盾か」
…などの精神病の手前の不安障害(神経症)や自己愛性や境界性人格障害などに特徴的な、「自分はどちらかに属している」という偏狭に二分されたモノの見方も同じです。
論理はピラミッド構造になっていて、一番最下層に「2つのものが違う」という「矛盾」があります。その「違い」を上層部で包括することで、論理的な抽象性が上がっていきます。
例えば、ニンジンとピーマンは同じではありません。矛盾します。しかし「野菜」と言われた時に、2つの矛盾は上で統合・包括されます。
「二分法思考」とは、精神病は「論理的な抽象性が最も低い」という先行研究とも合致します。
実際に統計で尺度化された二分法思考尺度で数値化してみても、「二分法思考」と精神病は、高い相関関係にあります。(※1)
そして自尊感情や自己効力感や自己肯定感など、リビドー(生エネルギー)を理性で制御する自我の基盤となる尺度とは、無縁なのです。
(※1)小塩真司 2009 二分法的思考尺度(Dichotomous Thinking Inventory)の特徴―これまでの検討のまとめと日常生活で重視する事柄との関連― 人文部研究論集(23号)より
二分法思考との相関関連↓
* p<.05, **p<.01, ***p<.001
あいまいさ非耐性.43***
境界性人格傾向.14**
自己愛傾向.27***
他者軽視.27***
自尊感情.03