新生児の観察全般と実際

ケアの項目 新生児の観察全般と実際
ケアの目的 子宮外環境への適応などについて生理的変化や異常を早期に発見すること
使用物品 体温計、オリーブオイル、アルコール綿、聴診器、黄疸計、ストップウォッチ、新生児体重計、掛け毛布、記録用紙、筆記用具

実施方法・手順(事前学習)
【事前準備】
・明るく静かな環境を保つ
・室温を24~26℃にし、保温に注意する
・隙間風なども新生児の体温を低下させる可能性があるため、注意をはらう
・手指衛生

●視診による呼吸の観察方法
・新生児が落ち着いている場合は胸の動きを視診して呼吸数や呼吸のパターンを観察する
・呼吸数は1分間計測する
・視診がむずかしい場合は、胸に手を置いて触知したり、聴診器をつかって測定する

●聴診器を使用した呼吸の観察方法
・観察は平静時に実施する
・聴診器を使用する際は、新生児用の聴診器を使用する

●新生児の心拍の聴診方法
・心拍の聴診には、チェストピースのベル型を使用
・実施前に聴診器を手で握り、温めておく
・心拍の聴診は、児が平常時に実施する
・測定時間は1分間
・聴診器を第五肋間胸骨左縁にあて聴診

・観察項目は、
心拍数(1分間)
Ⅰ音(収縮期)とⅡ音(拡張期)の聞き分け
心音のリズム
心雑音

●心雑音の強さの表現(Levine-Freemanの分類)

心雑音の強さの表現ですが、6段階で考え、報告する場合もこの基準を使用
Ⅰ度 注意深く聴取することで聴こえる最も微弱な雑音
Ⅱ度 微弱だが聴診器を当てると聴こえる程度
Ⅲ度 Ⅱ度とⅤ度の中間で弱めの雑音
Ⅳ度 Ⅱ度とⅤ度の中間で強めの雑音
Ⅴ度 大きな雑音ではあるが聴診器を胸壁から離すと聴こえない程度
Ⅵ度 聴診器を胸壁から離しても十分聴こえる程度 

●新生児の腋窩温測定
・腋窩動脈に体温計の先端が当たるように固定する

●新生児の直腸温測定
①新生児を仰臥位にして、オムツをはずす
②両足を持ち上げ、支える
③オリーブオイルなど潤滑剤をつけた体温計を肛門に挿入
④直腸温を計測する

●姿勢の観察手順
①衣服のひもやボタンをはずし、前を広げる
②肩関節を持って、腕を袖から引き抜く
③おむつをはずして脚を軽く伸ばす
④関節の可動性、筋肉、皮膚の状態、易刺激性などを観察

●新生児の黄疸観察
①全身の皮膚の色を観察してから、黄疸計を額や胸腹部に当て、経皮的ビリルビン値を測定する
②出生体重や日齢と測定値を合わせて検討する
【クラマー法】
身体全体を下記5つの区域に分け、4つの区域以上(ひざから足関節や上腕から手関節までの範囲より末梢にかけて黄疸が認められた場合)に、採血を行う必要がある

●新生児の頭部・顔面の観察
①看護師は利き手の反対の手で新生児の後頸部を支え、臀部はベッドにつけたまま上体のみ起こすようにする
②利き手で頭部全体を触診
③部を触診しながら顔面の視診
④情や皮膚の色、そして目ヤニの有無などを観察
⑤察が終了したら新生児を静かに寝かす

●生児の下肢の観察
①肢の視診と触診
②診では冷感の有無を確認
③径部から外陰部にかけておむつかぶれなどの有無を確認するために、両足を優しく持ち上げる
④つかぶれ、発赤、発疹などの有無の確認

●生児の背部観察
①方の袖を脱がせながら、側臥位に
②視診と触診で背部の状態を観察

根拠・留意点(事前学習)

チェストピースを手で握って温めておく
チェストピースの使い分け方は、
高い音の成分が多い呼吸音の場合→膜型を使用
低い音の成分が多い心音など→ベル型を使用
聴診器を当てる順番は右鎖骨付近から左右交互に①~⑦
聴診器はぴったりと皮膚に当てる必要があり、圧迫しないように注意
多呼吸・無呼吸・チアノーゼが認められる場合は、継続的な観察と医師への報告が必要
よく聴く異常呼吸音は「ブツブツ」「ブクブク」という低めの粗い断続的な副雑音が多い

心雑音(先天性心疾患による場合)が聴こえる場合
多呼吸がみられる場合
チアノーゼが見られる場合
は医師への報告を行う

腋窩での測定は他の測定部位の中枢温よりも0.5℃程度低く表示される場合があり、注意が必要

挿入時、両足を上から押さえるようにすると挿入しやすい
挿入時、体温計とベッドが水平になるように注意
新生児が動いても体の動きに合わせて体温計を動かすようにし、不意の事故によって体温計の破損や直腸損傷を防ぐ

出生直後の観察で関節可動域を確認している場合は、その後に無理に可動させる必要はない。

新生児の黄疸の進行具合は身体区域の広がりで観察。通常、黄疸は体幹部に強く末梢になるほど弱くなる
※5つの区域
頭部・頸部
へそから上の躯体
腰・下腹部
ひざから足関節/上腕から手関節
四肢末端

特に頭部の観察は重要である。
大泉門の状態、骨縫合の状態、そして頭血腫や産瘤の有無の確認などを行う。

・頭血腫も産瘤も、分娩時の頭蓋骨への圧迫により発生する
・産瘤というのは分娩直後に頭頂後部に出現し、生後2日目には消失する
・頭血腫というのは生後2~3日あたりで出現し、消失まで時間がかかることが多い

新生児湿疹などの有無はよく観察する

まだ腹筋が柔らかいため、内臓の損傷には注意する

看護師は肩と腰に手を添えてゆっくりと側臥位に体位変換する
発赤、発疹の有無など皮膚の状態を観察

皮膚の状態と上肢の冷感の確認も重要
背中は普段見えない場所なので観察を怠らない

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