【概要】

前期破水とは陣痛がくる前に破水すること。卵膜が破れたことで子宮内への細菌感染リスクがある。

陣痛が始まって分娩間近に破水するのは「適時破水」といって正常な状態である。

早期破水は、陣痛が始まり、子宮口が全開する前に起きる破水である。

【原因】

細菌の感染によって卵膜に異常が起こると前期破水が起こりやすい。
胎児は子宮内で脱落膜・絨毛膜・羊膜という3つの膜に包まれているが、絨毛膜と羊膜に炎症が起こって広がる絨毛膜羊膜炎などの感染症は妊娠中にかかるとリスクが高い。
感染症によって卵膜が弱くなったところに子宮収縮が起きて卵膜が破れる。

また子宮内圧の上昇でも起こる。羊水が増える羊水多過症や、妊娠中期以降に子宮に大きな負荷がかかる多胎妊娠などは子宮内圧を上げる。子宮内圧が上がると卵膜は破れやすくなり、前期破水につながる。

あるいは妊娠中期以降の激しい性交渉により、刺激で卵膜が圧迫されて破れ、前期破水を起こす可能性がある。

少量だけ羊水が流れ出る場合は、尿漏れと勘違いして破水と気づかない場合もある。

【治療・予防】

治療法はなく子宮感染を防ぐことである。

妊娠37週未満(正産期前)であれば、入院と安静して妊娠期間を延長するように努める。
1日でも長く子宮にいるほど赤ちゃんの体やさまざまな機能が成長できる。
腟内洗浄、抗生剤や子宮収縮を抑える薬剤の投与。
細菌感染や状態により未熟児対応病院へ行くこともある。

妊娠37週以降(正産期に入ったあと)は、出産準備に入る。
破水した時間と羊水の色、胎動の有無を経過観察していく。