他人を軽視したいが軽視できない葛藤

有能感の4タイプ2


一見、自信に満ちあふれていて、勤勉で、美しくて羨望できるような人でも、

人間というのは皮を剥けば剥くほど、より慢心していて傲慢、そのくせ怠惰であり、嫉妬深い一面が見えてきて嫌になります。

なぜ「嫌」かというと、平たく言えば「自分にも同じ面があると感じるから」です。

これを「投影同一化」と呼びます。

いやいやいや、自分が嫌いなあの人と同じ面があるなんて考えただけで寒気がするし、気色悪い。

・・・と感じると思います。

そう感じれた人は正常です。

それを「自覚」した上でないと、「いじめに対していじめ返してもいじめた側と同類」になってしまいます。単なる「嫌いもの同士」の「同類」です。
その「嫌」な人に対して反面教師(※)になれないのです。
(※)はんめんきょうし・・相手のダメな面を見て、自分は反省して直すこと

「自覚する」とはどういうことでしょうか。

自分にも元々そういう面があったけど、実は見ないようにしていて、それを自分以外の外界で見た時に腹が立って「嫌」と感じるのです。

例えば、不真面目で怠惰な人がいて、その人を嫌だと思うとします。それは、自分の中にも不真面目で怠惰であるという一面もあるため、それを抑圧しているのにもかかわらず、外界で見た時に「不真面目で怠惰なやつは嫌だ」と思うのです。
逆に、真面目で勤勉な人を嫌うのも、自分の中の真面目で勤勉な自分を抑圧していて認めたくないのです。そして「真面目で勤勉なやつは嫌だ」と思うのです。

このようなことは、対人関係だけでなく、親子関係、上司部下、教師生徒などあらゆる関係で起こります。

これを「投影」と言います。

投影とは、自己の悪い面を認めたくないとき、他の人間にその悪い面を押し付けてしまうような心の働きです。
(悪い面を強調することが多いですが、良い投影もあります。)

そして自分も他人と同じように投影してしまうことを「投影同一化」(projective identification)と言います。
(投影同一視というのは古い呼称です。今はクライン派の概念で投影同一化と呼びます。)

例えば、相手が攻撃的な感情を持ち言葉で攻撃してきたとして、自分も同じような感情を持ってしまう、ここまでは「投影」です。
「投影同一化」では、さらに相手が自分と同じような感情を持っているように見えてしまう、自分が相手と同じような感情を持っているように見えてしまうことです。

「他者軽視」の場合も同じです。

自分をバカにしてきた、つまり他者軽視してきた人がいて、それをやり返したら「相手と同類」です。
しかし自分にもそういう面があるからこそ他者軽視を抑圧して「投影」しているからこそ「嫌だ」と感じるのです。

相手のことは明らかに「嫌い」であり、やり返したら同類でさらに「嫌」な自分がいます。(外側でどう見られるか気にする自分)
しかし、他者軽視でやり返したいという抑圧した自分があるからこそ「嫌」だと感じるのです。(内側で抑圧されている自分)

その「自分との葛藤」が始まるのです。

そして、「相手も同じような感情を持っているのではないか」と思うようになってしまう「投影同一化」が起こり、従順に受け入れてしまったり、親近感を持ってしまったりします。

「自分にとって良いこと」の「投影同一化」なら良いですが、少なくても「嫌だ」と思ったことに対しての投影同一化は怖いことです。
さらに抑圧を深めることになると同時に、「相手がどこかで自分のことを分かってくれているんじゃないか」と期待をしたままになるので「嫌なこと」に服従してしまって逃げられなくなります。

「嫌よ嫌よも好きのうち」なんて、実際にはあり得ないことわざが成立してしまうのです。

そもそも、嫌いなら「嫌い」でいいのです。他者軽視したければ「他者軽視」すればいいのです。

繰り返しますが、そういう「自分」を認めて自覚した上でないと「反面教師」になれないのです。

この世では自分の波長と引き合うものが周囲に集まるので、悪い他者軽視・攻撃をする人であれば、その人は自然淘汰されます。

良い他者軽視・攻撃なんてあるのか?・・と思うかもしれません。
そしてなぜ自然淘汰が起こるのか、この仕組みについてはまた記載します。

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記事を書いた人



時田憲一(ときたけんいち)こと時ニール(tokeyneale)です(・ω・)ノ
とある国立大学の教育学部/心理発達科学。心理学者・認定カウンセラー。動機付け理論・自己愛・対人関係が主な研究領域。数理統計データサイエンティスト。
ねこ好き・本好き・禅好き・PC好き。

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