鎮静剤にミダゾラム(ドルミカム)とプレセデックスがあります。
両方とも鎮静、つまり傾眠することができます。
局所麻酔で挿管しない手術や、術中や術後の持続鎮静ときに用いられます。
ミダゾラム(ドルミカム)は、胃カメラの検査や歯科口腔外科でのインプラント等で用いられます。
もう一つ、プレセデックスという薬もあります。
スイスとアメリカの製薬会社
ミダゾラム(ドルミカム)はスイスのサンド(親会社ノバルティス)が売っています。関連企業でスイスのエフ・ホフマン・ラ・ロシュも出資しています。日本では丸石製薬が請負です。
プレセデックスはアメリカのファイザー社が売っています。
しかしプレセデックスは2018年から薬価切り下げ改定されました。
結果としてあまり使われなくなった傾向があります。
(プレセデックスの代わりに持続でプロポフォールを使う傾向があるようです。)
なぜプレセデックスは切り下げられたのか?
プレセデックスの薬価切り下げにはアメリカのファイザーの経営不振があると言われています。
2016年にアイルランドのアラガンを買収して会社の親子関係を逆転させ、9兆円の税未払いを租税回避しようとして失敗した落ち目のしわ寄せです。
当時、アメリカのファイザーは、租税回避国であるアイルランドのアラガンという会社を買収しました。
表向きはよくあるM&Aの話なのですが、そのあとにアメリカのファイザーは親会社をアラガンに逆転させようとしました。
ファイザーには9兆円の税金未払いがあったので、子会社であるアラガン(租税回避国の会社)と親子関係を逆転させてしまえば、負債は帳消しになると計画しました。
しかしアメリカの法律で禁止されて失敗したのです。
製薬会社は租税回避する
租税回避の国は、基本イギリスのロンドンシティの銀行様のお墨付きのある属国です。
GAFA(Google・Apple・Facebook・Amazon)のダブル・アイリッシュ・ダッチ・サンドイッチ(アイルランドとオランダ税制のコンボ)の租税回避手法も同じです。
すると2018年に武田製薬がアイルランドの製薬大手シャイアーと買収したのも、
2019年にアメリカのアッヴィ製薬がアイルランドのアラガンを買収したのも、
やろうとしたいことはM&Aに見せかけた親子関係の逆転による租税回避なのです。
アメリカの投資銀行 vs イギリスの銀行
アメリカの投資銀行であるゴールドマン・サックスが、パナマ文書でイギリスの租税回避地域の企業を暴露してイギリスを貶めたように、大きくはアメリカとイギリスという、ウォール街とシティ・オブ・ロンドンとの金融の戦いがあります。
銀行 vs 投資銀行。
イギリスの銀行とアメリカの投資銀行の戦いです。
イギリスのシティ・オブ・ロンドン筆頭の銀行と、アメリカのウォール街のゴールドマンサックス筆頭とする投資銀行の対立としてみると、イギリスEU離脱ブレクジットも、イギリス領の香港の中国対立も、どちらのサイドでどう動いてるか読みやすいです。
こんな戦いに巻き込まれてプレセデックスは衰退していきました。
患者のことを思えば薬剤に関する選択肢は多いほうが良く、ケースバイケースですがプレセデックスはドルミカムよりも鎮静の副作用が少ない場合もあるので消えていったことが残念です。