規則正しい生活で栄養ある食事と適切な運動をしていても認知症にはなります。

高齢化の波が“塀の中”にも押し寄せる中、全国の主要10刑務所で入所時の認知症簡易検査が始まった。重症化するまで見過ごされてきた認知症を早期に把握することで、個々の受刑者に合った対応を取るとともに、出所後速やかに福祉につなげて再犯を防ぐ効果も期待される。

毎日新聞 受刑者に増える認知症「刑執行に意味はあるのか」 福祉につなげないと再犯の恐れ 2020年6月27日
https://mainichi.jp/articles/20200627/k00/00m/040/160000c

刑務所の高齢化は10年程前から問題視されています。
「元々悪いことして刑務所にいるんだから受刑者がボケようとも知ったことか」
というのが市民感情としてあるかもしれません。

「わざと認知症になって同情をひこうとしているんだ」
と勘違いする人もいるかも知れませんが、
認知症は脳が縮んだり出血したりして起こる病気なので、わざとなろうとしてもなれません。CTやMRIで脳を見れば一発で分かります。

この問題は、刑そのものが自省を促す目的もあるのに本人が自省できず、刑を終えて出所しても認知症が継続しているのでまた再犯罪(再犯)の恐れがあることです。

これら出所前からケアプランを想定して社会福祉サービスに繋げていく必要があります。

また受刑者は刑を償わなくてはならないので、病気ではなく健康である必要があります。
そのため刑務所では徹底した栄養管理と適切な運動の生活習慣を強制されます。

しかしそれでも認知症になってしまうということです。


栄養管理と運動以外に何が必要か

では認知症(痴呆)にならない人はどのような性格でどのような生活習慣をしているのでしょうか?

認知症にならない人は栄養管理と運動の生活習慣に加えて
・常に新規的なものに興味がある
・建設的で楽観的な性格
・教養が高い(読書している)
・社会的な交流がある(人に頼られる)
・(何歳だろうと)将来の夢がある

私もいろんな患者さんを見てきて自身も実践しています。

「死にたい」「消えたい」と思うことは日常生活で多々あります。

この言葉を誰かに言う時は、「誰かになんとかしてもらいたい」という言葉の裏返しでもあります。

もし「なんとかしたい」という思いがあるなら、

「自分が明日死んだらどうしよう」ではなく

「自分が明日、肢体不自由になったり、五感がなくなったりして、寝たきりで植物状態の要介護になったらどうしよう」と考えて生きた方が現実的な切迫感があるのです。