「俺は集団免疫獲得派だ!だから罹(かか)って治ればいい!耐えれなかったら死ぬだけだ!だからマスクや予防はしない!自己責任だ!」という人がたまにいます。
問題は「自分以外の免疫力の低い人が巻き込まれて死ぬ」ということを全く考えていないことです。
その肥大した自己愛の心性は、2020年に世界的流行した感染症のウイルスの特性にそっくりです。
他人を攻撃しながら無自覚であることが最も怖い
あの人はサイコパスだとか、あの人は自己愛性パーソナリティ障害だとか、あの人は自閉症だ、あるいは自分がそうなのではないか?と思うことはありませんか?
しかしこれらはほとんどがレッテル貼りであり、多くはそうでないことが多いです。
見分け方として「本人がそれで生活で困っているかどうか」ということが大切です。
いくらサイコパス(反社会性パーソナリティ障害)であろうとも、自己愛性パーソナリティ障害の性格であろうとも、自閉症のアスペルガーの性格傾向があろうとも、
本人がその性格で困っていなければ診断はされていないので問題はないのです。
「いや、しかし周りに問題を植え付けている」と思ったとしてもそれで生活に支障が出ていなければ問題ないことになってしまいます。
逆にいうと、他人を攻撃しながら「本人が無自覚である」ということが最も怖いのです。
感染症と肥大した自己愛がそっくりな件
2020年2月から世界的にコ口ナウイルスの感染症が流行りました。
感染症・伝染病には「無症候性」というものがあります。
本人は罹っているけど、症状が出ていないという状態です。
しかし感染しているので症状はなくても、他人に罹患させることになります。
・目に見えない
・拡大する
・無自覚に他人を攻撃する
この傾向が自己愛の心性によく似ています。
感染症に罹らない「俺TUEEE(俺強い)」と根拠なく肥大した自己愛の心性。
無症候性(無自覚)のまま他人を攻撃するという行動。
リスクを犯していく思考、その後に根拠なく他人を見下そうとする思考まで、あまりに似ていて親和性があります。
自分は大丈夫だけど、他人は免疫力が弱ったら活動できるというウイルスそのもの。
まるでウイルスそのものに脳内の理性の思考まで乗っ取られたように見えました。
ワクチンか集団免疫か
ウイルスに対しては、集団免疫を獲得するか、ワクチンで予防するかしかないです。
集団免疫を獲得するには2つの方法が存在する。ワクチンと自然感染である。ワクチンは比較的安全かつ迅速に免疫を付与することが可能で、方法としては最適だろう。ただし、順調に進捗したとしても開発には12カ月以上必要とされ、広く投与可能となるにはさらに時間がかかる。
(中略)
以上をまとめると、新型コ口ナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)は、1年から5年程度の部分的な収束を経た上で、ワクチンもしくは自然感染による集団免疫が成立した時点で収束する、というのが合理的な道筋となる。■収束までの期間は標準シナリオで「3年から5年」
ただし、ワクチンや自然感染による集団免疫獲得が成功しないリスクもある。それは、免疫の成立や持続性に関する問題に起因する。ウイルスに感染しても、免疫ができない、または短期間で免疫が弱ってしまう場合、集団免疫は獲得できない。最近、軽症で回復した患者のうち3割程度で免疫が十分でなかったとの報告や、再感染の可能性があるとの報告が出てきている。新型コ口ナ収束まで3~5年? 集団免疫の獲得が条件 2020/4/30 日経新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58641150Q0A430C2000000/
簡単に言うと
・集団免疫とは病気にかかってしまって身体に免疫力をつけることで感染しても対処できるというもの。
・ワクチンは予防接種で事前に免疫力をつけるというものです。
この2つのバランスで対処する必要があります。
しかし
「俺は集団免疫獲得派だ!だから罹(かか)って治ればいい!耐えれなかったら死ぬだけだ!だからマスクや予防はしない!自己責任だ!」
という人がたまにいます。
確かにその通りなのですが、
問題は「自分以外の免疫力の低い人が巻き込まれて死ぬ」ということを全く考えていないことです。
イギリスが集団免疫路線をやろうとして失敗
実際2020年の新型コ口ナウイルスの対策で「みんなでかかれば怖くない!」の「集団免疫」という手段を行って失敗し、方向転換しました。
出口戦略ではなく入口戦略で「集団免疫」論に惑わされ、大きな痛手を被ったのがイギリスです。
【教訓1】治療法がないためICU病床や人工呼吸器に余裕があれば必ずしも患者の生命を救えるとは限らない。人工呼吸器を装着しても患者の約半分は死亡している。
【教訓2】施設に出入りするケアワーカーとの接触が避けられないため老人ホーム内の感染を防ぐのが難しい。
欧州連合(EU)離脱を控える英政府は当初、経済への影響に配慮して感染の緩和策をとり「集団免疫の獲得」をゴールにしていたフシがありありとうかがえます。
当初、緩和策をとった結果、ジョンソン首相自身も感染、一時はICUに運び込まれ、生死の境をさまよいました。
「集団免疫」論が恐ろしいのは一体どれだけ感染者が広がり、何人が犠牲になるのか正確には読めないところです。生命の取りこぼしが出るのを承知の上で「集団免疫」論をとるかどうかは究極の選択と言えるでしょう。
新型コ口ナの出口戦略でよみがえる「集団免疫」論の幻惑 日本は感染を制御しながら経済を再開できるか 木村正人 | 在英国際ジャーナリスト 5/1 YahooNEWS
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20200501-00176383/
このように集団免疫を現代でやろうとすると失敗します。
教訓にもある通り、
・ウイルスは未知数。
・治療法がない段階で集団免疫をやるべきではない。
・無限にICUや人工呼吸器があるわけではない。
・あったとしても死亡する可能性は高い。
・完全に人間同士の接触を断つのは難しい。
このような最低のリスクは考える必要があったのです。
自分以外の免疫力の低い人が巻き込まれて死ぬ
集団免疫路線とは、手段が尽きた時にやる最終的な手段です。
「みんなでかかれば怖くない」という原始的な方法です。
これの大きな問題点は「他人のことを考えていない」という点です。
この世にその人一人だけで、一人で自己責任でやる分には良いですが、人間社会では他人との接触は避けられません。
「自分の家が燃えているので、他人の家にも火をつけて燃えてしまえ。」では何の解決にもなっていません。
その人の家には建て替えるお金があったとしても、他人の家にはそのお金はないかもしれません。
現代では治療薬、ワクチン、集団免疫と併行して対処する必要があります。
最初から「集団感染して予防しよう!」とやってしまう人が、最も他人を巻き込んで死者を増やしているのです。
その心性が根拠なく肥大化した自己愛性そのものなのです。