疫病などの病気の流行の影響で「石鹸・消毒液・ハンドソープが売り切れでない!」という声をよく聞きます。

ではボディソープの手洗いでも効果あるのでしょうか?

結論から書くと、ボディソープ(ボディウォッシュ)で手を洗っても良いです。

ビオレuのボディウォッシュ

もちろんハンドソープや消毒液や石鹸があればベストであることは最初に念を押しておきます。

しかし品切れだったり、高くなっていたりして、ボディソープ(ボディウォッシュ)でも代用できます。

使わないよりはマシです。

ちなみに私は海外旅行へ行く時、いつも小型のボディソープで手洗いも一つで併用しています。


ハンドソープとボディウォッシュの違い

結論として、消毒目的であれば、そこまで大差はありません。

手か体のスキンケアで、皮膚への刺激、使用目的の配慮で成分が少し異なるだけです。

例えば、花王のビオレuのハンドソープとボディウォッシュの成分内容を比較してみましょう。

ハンドソープ

イソプロピルメチルフェノール、水、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム(1E.O.)液、PG、アルキルグリコシド、POE(21)ラウリルエーテル、エタノール
濃グリセリン、POE(3)ラウリルエーテル、POEラウリルエーテル酢酸、DL-リンゴ酸、ラウリン酸ポリグリセリル、安息香酸塩、エデト酸塩、塩化トリメチルアンモニオヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、水酸化ナトリウム液、香料
花王公式サイト:ハンドソープ成分表
https://www.kao.com/jp/bioreu/bru_handsoap_00.html

ビオレuのハンドソープ

ボディソープ(ボディウォッシュ)

水、ラウレス-4カルボン酸Na、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリルグルコシド、ラウラミドプロピルベタイン、PG、ジステアリン酸グリコール、エタノール、ラウリン酸、コカミドMEA、PEG-65M、(ジメチルアクリルアミド/メタクリル酸ラウリル)コポリマー、ポリクオタニウム-39、PPG-2ヒドロキシプロピルトリモニウムセルロース、PEG-14M、ラウレス-16、ラウレス-4、ラウレス硫酸Na、硫酸(Al/K)、エチルヘキシルグリセリン、リンゴ酸、クエン酸、水酸化Na、安息香酸Na、フェノキシエタノール、香料
花王公式サイト:ボディウォッシュ成分表
https://www.kao.com/jp/bioreu/bru_bioreu_01.html

ビオレuのボディウォッシュ

消毒・殺菌する分には、ほとんど同じです。

基本的には「エタノール」で消毒・殺菌するからです。

ウイルスへの対策としても厚生労働省が推奨しているのはアルコール系の消毒薬。
消毒成分のアルコールとは「エタノール」成分のことです。

その他の抗菌剤を見てみましょう。

保湿剤かつ大腸菌の抗菌剤としても用いられるPG(プロピレングリコール)も、ハンドソープとボディソープの両方に含まれています。

ハンドソープの方には、ニキビのアクネ菌殺菌のイソプロピルメチルフェノールが使われています。
これはニキビ予防の抗真菌作用(防カビ作用)の有効な殺菌成分です。

何が違うのか?

結論から言えば、スキンケアの違いです。

大雑把に書きますが、以下のとおりです。

脱脂剤、界面活性剤の違い

脱脂剤とは、脂を取り除く成分です。
成分表に「ラウリル」や「ラウレス」という名前が多く出てきます。

ラウリル硫酸(強力な脱脂力)、ラウレス硫酸、ラウレス-4カルボン酸Na、ラウレス硫酸アンモニウムラウレス、-4酢酸Na(弱酸性の脱脂力)・・
これらが主に脱脂剤です。

「脱脂力の強弱」で、ハンドソープとボディソープは調節されています。

また同時に界面活性剤(表面活性剤)の役割もあります。

界面活性剤(表面活性剤)とは、界面(表面)、水と脂の間を、親油性といって脂に馴染みやすいようにする成分です。

例えば、POE(3)ラウリルエーテルや、アルキルグリコシドがそれです。

いずれにしてもスキンケア目的で「肌触り」や「馴染みやすさ」の違いになります。

調整剤と保存料と保湿剤

その他として、
ph調整剤の、中和剤の水酸化ナトリウム液、
保存料の、安息香酸塩、リンゴ酸、クエン酸、
保湿剤の、グリセリン等々・・
です。

これらは食品でも洗剤でも共通してよく使われる典型的なものです。


細菌とウイルスの違い

間違われやすいのですが、
細菌とウイルスの違いを先に知っておきましょう。

細菌は、ブドウ球菌、MRSA、緑膿菌、大腸菌、結核菌、サルモネラ菌、コレラ菌などのことです。

今回の感染症・伝染病であるコ口ナウイルスは「ウイルス」です。

インフルエンザウイルスやノロウイルスやアデノウイルスと同じ「ウイルス」と呼ばれる種類のものです。
「ウイルスを殺菌する」という言葉は当てはまりません。
「殺菌」することが目的ではありません。

ではどうするのでしょうか?

細菌は「殺菌」、ウイルスは「浮かせて洗い流す」

「細菌」は、エタノール(アルコール)の入った石鹸やハンドソープで「殺菌」「除菌」します。

「ウイルス」は、「浮かせて洗い流す」のです。

このための手洗いの成分が「界面活性剤」です。

ウイルスの脂質を分解して浮かせます。

そこで流水と一緒に「洗い流す」のです。

だからボディソープであっても効果があるのです。


実際に花王さんに聞いてみた結果

実際に花王(Kao 花王株式会社)さんに聞いてみました。

◯ハンドソープとボディソープの各エタノールの濃度はどれくらいですか?

花王(Kao 花王株式会社)消費者相談室

また、誠に恐れ入りますが、弊社では配合量など具体的数値についての
お答えは控えさせていただいております。

エタノール(消毒アルコール)の具体的数値は教えられないようです。

◯ボディウォッシュ(ボディソープ)のエタノールと殺菌成分について

ボディウォッシュ(ボディソープ)のエタノールと殺菌成分について

花王(Kao 花王株式会社)消費者相談室

「ビオレu 泡ハンドソープ」の需要増大が続くなか、供給が追いつかず、ご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません。

「ビオレu 泡ハンドソープ」は、手指の洗浄・殺菌の効能・効果をもつ医薬部外品です。
製品には、エタノール(アルコール)を配合しておりますが、有効成分である殺菌成分はイソプロピルメチルフェノールとなります。
あいにく「ビオレu」ボディウォッシュには殺菌成分は含まれておりません。

花王さんは自社の論文で「エタノール」と「イソプロ」が殺菌消毒に有効と書いています。
しかし一方でそのエタノール濃度の数値は明らかにできない。
なので建前上の殺菌の有効成分はイソプロピルメチルフェノールとしているようです。
エタノールも有効だけど濃度が明かせないので、建前ではイソプロが有効と言っておかないと、ハンドソープの独自性がなくなってしまうという背景は察しました。

実際に花王さんの公式ページの実験論文を見てみましょう。

エタノール濃度と死滅時間

1~8%・・細胞内外のH +イオン濃度句配、トランスポート系酵素阻害、ATP、RNAの合成題害
→静菌作用

8~20%・・細胞膜が傷つき菌体内成分が漏出、トランスポート系酵素阻害などで菌が餓死
→30~48時間

20~40%・・カタラーゼが失活し、過酸化水素が生成し、菌体内構造物が酸化変性し、死滅する。細胞膜が傷つき菌体内蛋白RNAなどが漏出する
→10~30分

40~80%・・細胞膜、蛋白構造などが急速に変性、破壊する
→5分以内

80~99%・・細胞膜、蛋白構造などの変性。破壊が40〜80%よりも少し遅くなる
→10~30分

(参考)
花王 アルコール(エタノール)と殺菌の話(花王) 表1 微生物に対するエタノールの作用メカニズムより
https://www.kao.co.jp/pro/hospital/pdf/08/08_05.pdf

花王さんはエタノール濃度は40~80%含まれているのが5分で効くので最適。
20%~40%であれば10分で効くと書いています。

花王さんはハンドソープもボディソープもエタノール濃度を公表しませんでした。
しかし商品の論文を出しているので、少なくても花王さんはエタノールの殺菌濃度が分かっていて濃度を20%以下にして販売しているということはまずないでしょう。

いずれにせよ「細菌」の殺菌の話なので、浮かせて洗い流す「ウイルス」とはまた別です。

だからこそ次の結論に繋がります。

◯ボディウォッシュ(ボディソープ)を手洗いに使えますか?

ボディウォッシュ(ボディソープ)を手洗いに使えますか?

花王(Kao 花王株式会社)消費者相談室

「ビオレu」ボディウォッシュは全身にお使いいただけるよう設計しておりますので、手洗いにもお使いいただけると考えております。

また、配合しております界面活性剤の作用で手に付着した汚れを浮かすときに一緒にウイルスも水とともに洗い流されて、感染症予防に役立てることが出来ると考えております。

厚生労働省と経済産業省によるポスター
『新型コ口ナウイルス対策 身の回りを清潔にしましょう。』では、石けんやハンドソープを使った丁寧な手洗いを推奨しており、

「手洗いを丁寧に行うことで、十分にウイルスを除去できます。」

と記載されています。

詳しくは、下記リンク先をご参照ください。
・「新型コ口ナウイルス対策 身の回りを清潔にしましょう。」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000614437.pdf

結論として

「ボディソープは手洗いに使える」

納得です。

ビオレuのボディウォッシュ

こう考えるとウイルス対策を考えるとボディソープ(ボディウォッシュ)の方が、全身に使うため商品の内容量が多くて安いのでお得ですね。

まとめ

ハンドソープ(石鹸)や消毒液や石鹸があればベスト。

ビオレuのハンドソープ

しかし品切れだったり、高価であれば、ボディソープ(ボディウォッシュ)でも代用可能。

ビオレuのボディウォッシュ

皮膚刺激性、眼刺激性、皮膚感作性(アレルギー性)、皮膚感作性(接触皮膚炎の場合)、光感作性にも配慮されています。