人間のエネルギーの動力源は、非現実的で非日常的なカオスから来ます。
カオスがなければ何も始まらず、やる気も起きません。
カオス-ノモス-コスモスとは何か?
これは社会学者のP.Lバーガーの概念で、
カオス(chaos 混沌)とは、例えばお祭りのようなもので非現実的で非日常的な出来事です。
ノモス(nomos)は、周縁の決まりごと(世俗秩序)です。
コスモス(cosmos)は、ノモスを正当化する、社会規範、昔で言う宗教規範のことです。
個人から家族などの親近者、親近者から社会や国という拡大をします。
人はカオスからエネルギーを吸収して動いている
エネルギーの動きとしては、
カオス(chaos 混沌)からエネルギーを吸収して、
ノモス(nomos 世俗秩序)に持ち込み、
コスモス(cosmos ノモスを正当化する、社会規範)
にしていきます。
原動力となる突き動かすカオスがないと何も始まりません。やる気も起きません。
なのに社会はカオス(chaos 混沌)を徹底的に嫌って攻撃して抑圧します。
それが非現実的で非日常的で非合理で、大多数にとって安定感がないからです。
精神病やひきこもり治療は「悪魔祓い」をすること
例えば、スリランカでは「孤独な人に悪魔は憑く」と言います。
病の人が出たら村人総出で「悪魔祓い」の儀式を行い治してしまいます。
これは精神病治療やひきこもり治療の基本ですが、
「社会でやっていけない」とか「自立しなくては社会人として良くない」と、コスモス(社会規範)を押し付けようとするのは効果がありません。
なぜならそれをやられた結果、そうなっているからです。
過去記事
川崎市・児童20人無差別殺傷事件と練馬区・官僚息子殺人事件は表裏一体の関係
【ひきこもり】長期的な社会的孤立に追いやる社会環境こそが諸悪の根源
実は、祭りのカオス(混沌)に連れ出す方が、非合理的ですが結果的には合理的になります。
日本でも古事記から「天照大神(アマテラス)」という「最強ひきこもり女神」を日本国民の総氏神として今でも日本全国で崇め奉っています。
引きこもってたら、天岩戸の外で祭り(カオス)やられて出てくることになった物語。
日本には、こんな参考になる素晴らしい物語があるのになぜかひきこもりを攻撃します。
人の心も外の世界を取り込みながら回っている
飯田剛史 宗教社会学における現象学的視点と存在論的視点 P.Lバーガーとデュルケーム p.53より
心理学・精神医学でアセスメントをするときにこの図をイメージします。
人は外に見える「客体化」された世界を、「内化」という「意味づけ」をして、「主体化」という自分のものとします。
それを外に「外化」という形で表現して、「客体化」した世界を作ろうとします。
この一連の流れがあります。
客体化されれば「I:私は」と社会を変革して同一できます。
主体化されると「me:私の」という内で維持している状態です。
これがどこかで崩れるとアノミーという精神病に近くなります。
(参考文献)
宗教社会学における現象学的視点と存在論的視点:P・L・バーガーとデュルケム
Phenomenological Perspective and Ontolgical Perspective in the Sociology of Religion:P.L.Berger and Durkheim 飯田 剛史
https://ci.nii.ac.jp/naid/130005402357/