東方Project 第14弾の情報です より
https://kourindou.exblog.jp/20469044/
ゲームの東方の制作者の神主ことZUN氏の博識な元ネタの裏設定や音楽のコンセプトが好きがゆえに、一部でZUNのストーカーみたいだと言われて、実はコアファンといういい意味でちょっと嬉しかったりする時田憲一です。
実は地元が近場だったりで、いつもウォッチャーしてるせいで、ZUN氏と同じ本を読んだり、趣味がカブったりしてしまうことは仕方ないことです。
だからこそ「予想が当たってしまう」のかもしれません。
別に予想してどうにかなりたいわけではありませんが、予想せざるを得ないほど東方が大好きでウキウキして楽しみなのです。外れたら「そうきたかぁ~」とそれはそれで関心します。
まず結論から書くと、今回の「東方輝針城」は「童話」がテーマになっています。
最終的には「白雪姫」や「鏡の国のアリス」などの童話と、日本民族・日本神話の何か(おそらく雲外鏡・玉藻前伝説でしょう)を掛けあわせた話になると思います。
少し略歴とZUN氏の定番コンセプトを書きます。アレだったら読み飛ばしてください。↓
私が最初に東方と出会ったのは2005年頃。高校時代にパソ研の友人に音楽を勧められたのが始まりでした。
ちょうど東方永夜抄(2004)~東方花映塚(2005年)の時期でした。
東方風神録(2007)まで2年の停滞期間があったので、風神録の初プレイで諏訪信仰と日ユ同祖論を発見した時は興奮しました。
過去にもいろいろブログにまとめています↓
ネット功徳な日々(時田憲一ブログ)
東方風神録の六芒星の秘密(諏訪信仰と日ユ同祖論)
https://netkudoku.seesaa.net/article/141364360.html
ZUN氏(神主)の読書歴史【総まとめ】 ~何が東方のゲームに影響を与えたか~
https://netkudoku.seesaa.net/article/149911695.html
東方神霊廟のストーリー予想が大当たりした件↓
https://twitter.com/tokeyneale/status/59360061499248640
ZUN氏は東方神霊廟で聖徳太子=蘇我入鹿の同一人物説を支持?
https://netkudoku.seesaa.net/article/226462255.html
東方風神録で、旧約聖書と諏訪神話を採用したZUN氏は、
東方地霊殿では、諏訪神から八咫烏(核融合)
東方星蓮船では、天空の毘沙門天信仰(元はインド神話の財宝神クベーラ信仰)と真言宗
東方神霊廟では、真言宗の密教部分へ移行して道教→聖徳太子=聖人として旧約聖書
・・という感じに一見、法則性がないように見えてちゃんと共通点があります。
パターンとしては3面ボスあたり(体験版)までは題材テーマの基盤のキャラが出ます。
だいたいは基本的な「妖怪」です。
これはZUN氏が幼き頃に読んだ荒俣宏(水木しげるの弟子、もっと古ければ柳田國男)や京極夏彦などの日本の民俗学者の基盤として、現代のオカルト・SF系で外国の民俗学・神話との共通点を意識しているからです(おそらく並木伸一郎、一柳廣孝などを読んでいたことも分かるように、この系譜で飛鳥昭雄などUFOやムーの関連も読んでいます。)
そして3面あたりまでは「和風」が中心あればそれ以降は「洋風」を織りまぜた何か、
「洋風」中心であれば3面以降は「和風」を織りまぜた何か、を出します。
なので5面~6面(Ex)は、今までの流れをひっくり返すような「権威・権力的な何か」が出てきます。
日本の○○宮の神様が、基本的に「本体」と「魂」の2つの構造で、別の場所に祀られている二重構造と似ています。
伊勢神宮一人旅 前編 2013式年遷宮 -内宮-(1日目)-心を支える心(時田憲一ブログ)
https://aikansyheiwa.blog21.fc2.com/blog-entry-1660.html
このようにZUN氏は「和洋折衷(わようせっちゅう)」の二重構造を重んじます。
元々「東方紅魔郷」も、「東方紅茶館」(これが上海紅茶館になった)という「上海」という「西洋と東洋の文化の接合点」のテーマからスタートしている(そして上海アリス幻樂団)ことからも明らかです。
さて、今回の東方輝針城ですが、十六夜咲夜という久々の洋風自機の採用に加え、
湖の氷精 チルノ(1面中ボス)
淡水に棲む人魚 わかさぎ姫(1面ボス)
ろくろ首の怪奇 赤蛮奇(2面ボス)
竹林のルーガルー 今泉影狼(3面ボス)
という、妖精から始まり、人魚姫、赤ずきん、オオカミ男・・と、明らかに童話の見た目な登場人物が続いています。
タイトル画面にすでに「鏡」が出ていること、「城」とついていることから関連付ければ、「白雪姫」か「鏡の国のアリス」が出てくるのは大いに予想できます。
両方とも「鏡」と「城」が出てきます。
グリム童話でも最初の王妃は指に針を刺してしまいその血から
「雪のように白い肌、血のように赤い唇、黒檀のように黒い髪を持つ少女が欲しい」
から始まって、その次の王妃が「鏡に聞いて」→「毒リンゴで殺す」という流れになっているので、「白雪姫」の方が確実かもしれません。
ほかにディズニーで言えば、シンデレラ、眠れる森の美女、ピーターパン、グリム童話も合わせれば、ヘンゼルとグレーテル、ブレーメンの音楽隊、ラプンツェルまでの童話が候補に上がります。
あるいは人魚姫の系譜で考えれば、雪の女王、マッチ売りの少女、赤い靴、裸の王様、みにくいアヒルの子などのアンデルセン童話から引っ張りだすかもしれません。
どちらにしても「グリム童話」に代表されるような「血生臭さ」と、十六夜咲夜とレミリア・スカーレット(吸血鬼)との共通点で御察しの通りです。
しかし、単純にそのままキャラクターに使わないのがいつものZUN氏です。
ここまで洋風に徹すれば、必ず日本民俗学との共通点を見つけてキャラ付けしてきます。
「鏡」で真っ先に連想されるのが、三種の神器の「八咫鏡(やたかがみ)」です。
そしてその女神といえば「天照大御神(アマテラス)」です。
「やっと天照大御神(アマテラス)が出るのか!」と思いたいのですが、
今までの流れを考えれば、白雪姫=天照大御神、鏡の国アリス=日本の天照大御神、なんて天皇に直撃に関わるような愚直な不敬はZUN氏はしません。
理由は2つあります。
1つ目として、ZUN氏は「設定の外堀りを埋める」という傾向があるからです。
仮に鏡を既存のテーマに結びつけるとすると閻魔大王(四季映姫・ヤマザナドゥ)の「浄玻璃鏡(じょうはりのかがみ)」(引き出された人間の罪業を暴き出す)にして、白雪姫の魔女を「聖白蓮」にしつつ、日本神話の「八咫鏡(やたかがみ)」との「共通点を匂わせる」くらいが落とし所にすると思うからです。
(きっとスペカで鏡のように画面を反転させるような攻撃がありそうです。)
2つ目として、そして今泉影狼(3面ボス)でワーウルフ(werewolf)=人狼が出てきているということです。
すでに東方では東方永夜抄で上白沢慧音(かみしらさわ けいね:上白沢=うわはくたく=ワーハクタク)が出ています。正確には「予言」する「件(くだん)」という牛の妖怪ですが、満月で変身するという「オオカミ男」設定でカブっています。
その上白沢慧音(けーね)のスペカには唯一、光符「アマテラス(天照大御神・太陽神)」(東方文花帖)があります。
その他にも永夜抄での上白沢慧音は、
産霊「ファーストピラミッド」、始符「エフェメラリティ137」、野符「武烈クライシス」、野符「将門クライシス」、野符「義満クライシス」、野符「GHQクライシス」、国符「三種の神器 剣」、国符「三種の神器 玉」、国符「三種の神器 鏡」、国体「三種の神器 郷」、終符「幻想天皇」、虚史「幻想郷伝説」、未来「高天原」
・・など、明らかに天皇を意識した歴史問題のアンチテーゼをしているので、
ここであえてまた国符「三種の神器 鏡」と同じく「八咫鏡(やたかがみ)」を直撃で出してくるような気は、あまりしません。
どちらにしてもZUN氏なら、直接的に有名人物に当てはめることなく、その「外堀を固める」というキャラ設定をします。
おそらく理由1にあるような「ありきたり」がなければ、
江戸時代の鳥山石燕の妖怪浮世絵「百器徒然袋」にある雲外鏡(うんがいきょう)に結びつけて来るのではないでしょうか。
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「百器徒然袋」によると雲外鏡は「照魔鏡(しょうまきょう)」とあります。照妖鏡とは、魔物や妖怪の正体を明らかにする(人間の持つ魔性の部分を映し出す)という鏡です。
高井蘭山の読本「絵本三国妖婦伝」では、紀元前1100年頃に殷(いん)の帝辛(ていしん、紂王:ちゅうおう)を堕落させた美女・妲己(だっき)の正体をも見破ったとされ、
日本においては、玉藻前伝説(たまものまえ:鳥羽上皇に仕えた絶世の美女)と結び付けられ、妲己と同じく白面金毛九尾の狐が化けたものとして紹介されています。
九尾の狐といえば東方妖々夢の八雲藍(やくも らん)です。
この時点で、「白雪姫」に必要な「鏡」と「王妃」。
つまり「鏡」=妖怪・雲外鏡(うんがいきょう)、白雪姫の王妃=妲己(だっき)=玉藻御前という共通点が見えてくるのではないでしょうか。
鏡の国のアリスのように、鏡を「境界」として考えれば、八雲藍から八雲紫の方が設定としては近いのかもしれません。
サブタイトルがDouble Dealing Characterとなっているので、どこかで性格が2つに分かれてしまう展開があるのかもしれません。
あるいは「玉藻御前と狐」という鏡のような二重人格のキャラクターが出てくるかもしれません。
ZUN氏の場合、最終的には日本神話(日本祭祀)から、その源流である「道教(陰陽道)」(仏教だと密教、自然信仰的なアニミズム)の関連に落ち着けたい傾向があります。
それはいつも主人公組を、和風な博麗霊夢(巫女=神道=道教=日本では陰陽道)と、洋風な霧雨魔理沙で固めていることから明白です。
今作では敵として鳥羽上皇を苦しめた玉藻御前を狐と見破った陰陽師・安倍晴明がいよいよ出てきてくれると期待したいです。
すでに東方神霊廟にて、道教の仙人・蘇我屠自古(そがのとじこ)は、道教徒・物部布都(もののべのふと)、道教徒(聖徳道士)豊聡耳神子(とよさとみみのみこ)とここまで道教を出してきているので、
そろそろ「五斗米道」(ごとべいどう:三国時代の魏で、道教と仏教が混ざって土俗化して流行った宗教)、日本では「陰陽道」、その祭祀が「神道」の源流であると、もっと全面に出してくるかもしれません。
長々と書いてしまいましたが、「東方輝針城」。発売が楽しみです。(2013年5月28日 筆)