心理学者・カウンセラーとして精神医療に関わるようになって気付いたことがあります。
精神病(うつ病・統合失調症。気持ちの問題ではなく脳神経の物理的疾患)の方は、その人が「勝手にそうなった」わけではありません。
必ず
「その病を作り出した”環境”」があります。
「その病を植え付けた”人”」がいます。
診断後は、精神病院に入院したり、デイケアサービスや、就労移行支援、就労継続支援等を通して、個別段階的に「社会復帰」を目指していくわけですが、
本当にこれでいいのか?
と感じています。
そもそも家庭や学校や職場そのものが、精神病であるからです。
疑問に思いませんか?
家庭や学校や職場でストレスがあるのに、
戻してどうする。
例えば、治安の悪い国でスリに会って襲われたとして、逃げたら「甘えだ」と言われたり、「しばらく距離をとって休養できたら戻ろうね」では、なんの成長もしてないのです。
そんな場所は事前に避けるのが賢明です。
「復帰」と言って「戻る家庭や学校や職場こそが、治療が必要な精神病的な環境」なのです。
「治安の悪い場所」なのです。
記事トップの図は、私がDSM(精神障害の診断と手引)より作成した「神経症→人格障害→精神病へ悪化していく過程の図」(↓)を参考に簡略化しました。
精神病に至るのに段階的な過程があるように、
「精神病的な環境」にも段階的な過程があるのです。
精神病への過程と、精神病へ至る職場環境は同じなのです。
1つずつ説明していきます。
神経症的環境(フェーズ1)
フェーズ1の神経症的環境では、
比較による見下しや、非現実的欲求が増えます。
またミスに対して改善するのではなく、公開処刑(※1)や首実検(※2)が積極的に行われます。
(※1)公開処刑・・多数、他人の前で個人の失敗をあげつらうこと。
誹謗・中傷・嘲笑にかけては超一流の自己愛性人格障害
(※2)首実検・・答えられなくなるまで質問攻めにして苦痛を与えること。
「根拠は?」と聞かれて答えたのに「根拠は?」と聞かれた時の返し方
語尾に全て「べき」をつけることで他人への強迫的行為が増えます。
会社では大企業でも零細企業でも事業所でも起こります。
その環境の人数の多さや規模の起きさは関係ありません。
その中の人員に精神病的な人がいるかいないかで決まります。
7割方の会社はこれです。
特に強迫障害的な環境だと以下のようなループが行われます。
職場・学校などであなたがどう転んでも極悪人にされていく仕組み~すぐ人のせいにして逃げる人の思考回路~
人格障害的環境(フェーズ2)
フェーズ2の人格障害的環境では、
業務結果よりも、他人を見下して威張ることが主目的にされます。
誰かがやったことを自分のせいにされることが増えます。
環境自体が人格障害的になれば、多くの人が幼児的な状態まで退行するので「万能感」が出てきます。
「幼児的な万能感」とは「私はママに守られているから悪くない」という万能感です。
皿を割っても、皿を割ったのを他人のせいにすることで防衛します。
誰もが「私は悪いはずがない」という万能感で、他人を見下します。
実体験の伴う正常な有能感とは異なるので、これを専門用語で「仮想的有能感」(他者軽視)と言います。
口答えしなさそうな弱い人を見つけて、その人のせいにします。
これを人格障害の「アリ地獄」と言います。
自己愛アリ地獄のエサにされる優しい人~「小さな物語」という蟻地獄~
https://libpsy.com/arijigoku/4359/
精神病的環境(フェーズ3)
フェーズ3の精神病的環境では、
妄想や幻覚による指示や怒りがきます。
妄想により会話が成立しなくなります。
環境の中で統合失調症(分裂病)のように「まとまりのない話し方」をします。
この環境下では、防衛の限界が来て、自我の崩壊が起こり、妄想に生きる統合失調症か、自分を過度に責め立てるうつ病かに人員が分かれます。
フェーズが高くなるほどIQ低くなります。(※)
攻撃性が高くなり、客観性が欠如します。
感情が先行し、非現実的欲求が増加します。
(※)IQとは変動値です。固定値ではありません。
現実検討・客観的能力、IQが高くても、IQの低い環境によってどんどん70以下までみんなIQが下がっていくということです。
この精神病的な環境下で、精神病者が増えるのです。
暴力的な行為、罵詈雑言のお汚症、
神経症・人格障害にもある「善か悪か、勝ち負けか」だけの単純な二分法思考がより広く蔓延します。
売り上げが足らないのは社員やバイトが万引きしていることとして、
「やってもいないことを自分のせいにされる」ようになります。
このようにそもそも「認知が歪んでいる」のです。
どうすればいいか?
実際に職場全体に自己愛のアンケートしてみればどのレベルか分かります。
こんな環境に戻ってもなんの成長にも勉強にもならないのです。
まして昭和の老人のように年功序列と終身雇用という崩壊した制度を信じて「給料は我慢料だ!」と言う
我慢では現代のラッパ兵(※)と同じです。
我慢して耐えたのに、何も得ることなく死ぬだけです。
(※)ラッパ兵
木口 小平(きぐち こへい:1872年-1894年)が有名。日清戦争で戦死した日本陸軍兵士。戦争を盛りたてるためラッパを死しても口からラッパを離さなかった。明治35年から昭和20年まで小学校の修身教科書で「素晴らしい人物」として賞賛・美談にされる。
本来、精神的苦痛のある家庭、いじめや犯罪のある学校、過労死のある会社・・
そんな悪質なところはつぶれないといけません。
社会はアフリカのサバンナです。
美しいと言われていても、出たら死ぬのです。
出ることが素晴らしいと言われても、出たら死ぬのです。
何の悪いこともしてなくても食い殺されるのです。
社会環境自体が、野生動物までにIQが低下しているというのはそういうことです。
問題は「弱肉強食。それが人間です」と肯定化している「人間」がいることです。
おかしいです。
「私はチンパンジー程度の脳みそです」と言っているのと同じです。
猿とヒトの違いは「理性」があることです。
前頭葉で未来予測、未来を変えていく抽象思考ができるようにヒトは、チンパンジーから進化してきたのです。
退化を目指してはいけません。
確かに人間の根本にあるのはアニマル・スピリットという動物的な欲求本能です。
ただそれが社会という大きな枠になると違ってきます。
弱肉強食で奪ったり、騙したりすることはマイナスに働きます。
これはゲーム理論というので「奪うものは損」「協調行動をとった方が得」ということが数学的に証明されています。
例えば、昔の中国人はカネとって逃げて「騙されるほうが悪いんだよ、ざまぁ。」とやっていましたが、
それだと「信頼を失って次の仕事が来なくなる」「損だ」と気付いて、真面目にやってる会社だけ残って伸びました。
奪う、騙す、陥れる行為には、何の生産性もないのです。
常に意識を高いところに向けておく必要があります。
私自身も経営者として色々見てきました。
(冷たい言い方ですが)会社を見ていると「自動車」を連想します。
「動いてくれればいい」のです。
代わりが必要なら、部品(ヒト)が交換できればいいのです。
残酷ですが経営上はそう考えます。
これに逆らう方法は「自分を自分だけのオーダーメイドをする」ことです。
「この部品しかダメ。交換できない。」という個人のパワーを付けることです。
事故を防ぐには?←「だって私は起こさないんですよ!」で進まない議論~自己愛・アスペルガーとの会話~
https://libpsy.com/jikoai-asperger-kaiwa/4852/
「私、それ嫌い!」な自己愛性アスペルガー
https://libpsy.com/narcissus-asperger/4821/
「私それ嫌い」「早くしろ」という人はだいたいアスペルガー
https://libpsy.com/asperger-communication/5246/